ムラサキの花
紫根や茜根より生まれる紫色や茜色は
高貴の象徴の憧れの色として
平安朝の人々によって
その色の潤い豊かで優雅な美しさが多くの歌に詠まれました。
万葉集の絢爛豪華な情景を演出する紫草
今では幻の花と呼ばれますが
昔は全国至る所で見られ
ことのほか南部領から出る野生の紫根が極上品とされていました
今、その南部紫根染をただ一人守り続けておられるのが
流霞道工房の沢口ハルさんです。
八幡平市にある流霞道工房での
草木染研修会の10名による西根紫根染の体験は
まりちゃんも一緒の楽しい一日になりました
心配していた雪の心配も大したことがなく
みんなの行が良かったせいでしょうか
高速道も順調
ハルさんの心に響く素敵なお話に
時間が過ぎるのも忘れてしまいました
沢口ハルさんが染めた紫根染
今年の5月に
平泉文化の世界遺産登録に感動した
八幡平市の平舘高の生徒さんが、
平泉町の中尊寺(山田俊和貫首)を訪れ、
紫根染の布で作った「紫薫(しくん)枕」を奉納したことが報道されました。
平舘高は、校章のデザインにムラサキの花が使われており
流霞道の沢口ハルさんの指導で
数年前から紫根染に取り組んでいます。
「西根紫根染」と言われる流霞道工房の紫根染は
媒染剤にこのサワフタギを使います。
ハルさんは、9月頃から
5回もの下染を行って、しっかり先媒染を済ませ
私たちを待ってくれていました
今日の染液の紫根は安代町産ということでした。
この紫根は、当地で栽培している同じ安代産のものです。
いよいよ待望の紫根染の始まり、始まり・・・
初めに、96度のアルコールで抽出した紫根エキスを
大きなポリ容器に注ぎ・・・
下染済みのシルクのマフラーを紫根の染液に入れると・・・
みるみるうちに、白い布が紫色に変わっていきます
紫根の液が布に十分吸収するまで、ゆっくりと布を棒で回すのは
みんなで代わる代わる楽しみながらの作業でした
これが、一人で一時間もやるのは大変ですけどね。
ゆっくりと時間をかけて布を操り・・・
取り出したシルクのマフラーは
あの高貴な紫色に・・・
したたり落ちる紫根の液は透明な色になっていました。
ムラサキの色素が布地に吸収されてしまったのです
最後は染め上がった布地を冷水にさらして、軽く洗い・・・
これで、西根紫根染の出来上がり
一回の染液につけただけで
こんなに見事な染め上がりです
染液の中には、みんなのマフラーの他に
木綿の布地が一緒に入れられていました。
染め上がったシルクの染め上がりと比べるためです。
シルクよりも木綿の方が薄く染まっていて
参加した方々の話では
木綿でもこんなに染まるのは驚きだそうです。
5回もの下地染を念入りにしているからなのでしょうね。
「見えないところで手を抜くことは駄目なんだ。」
と、話すハルさんの言葉
何事にも通ずることだなと、ずしんと心に響きました。
下染回数を変えた染め上がりの違い
長年の苦労がにじんだハルさんの手
紫の勲章ですね
経験によって培われた豊かな知識をもち
ムラサキをこよなく愛し、自然を大切にして
ユーモアあふれるチャーミングで情熱あふれる人柄に
みんなはひきつけられてしまいました
お会いするたびに
ハルさんのように、凛として
素敵に年を重ねて生きていきたいものだと思ってしまいます。
「小さな白い花を咲かせるムラサキを踏んでしまったら
ムラサキに怒られるぞ!」
「根っこを掘ったら必ず半分は残して、そこらに種を蒔いて、
それから、“神様ごめんね”って言ってくるんだよ。」
そんなことを話してくれたハルさんの言葉が
今も耳に残っています。
手で染め、心で染めるハルさんの紫根染
ハルさんだけに染められる素敵な色に出会えたことに
“神様ありがとう”
西根から帰ってきたら、初雪がちらつき
急に冷え込んできました。
安比あたりは雪が積もっているとか・・・
帰りの道中を心配してくれていたハルさんから
「ムラサキが守ってくれてよかったね。」
と優しいお電話がありました。
感激の紫根染体験に感謝、感謝
癒しの庭のムラサキシキブの色が
ひときわ輝いて見えるようです
明日は、紅葉の葉っぱが残っているでしょうか?
温かくしておやすみなさ~い。
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