2006年に英国核燃料公社から東芝がウェスチングハウス社を買収したとき、私は東芝経営陣は気が狂ってるのか?」と思った。
当時、すでに原子力産業は斜陽であり、放射能の大規模な実害が明らかにされるにつれて、原子力に未来など存在しないと確信していたからだ。
当時は、西室・西田体制の佳境で、東芝の経営陣は、業界の覇権を争って、自分たちが「業界の雄」であると広く顕示することで自己満足に浸る、大組織特有の「思い上がり病」に冒されていた。
彼らは一様に、競争意識から生み出された「科学技術に対する憧憬」があり、最先端の技術だけが、人類の未来と自分たちの利権を保障するとの妄想に支配されていたのである。
2011年、私たちの予想通り、東京電力福島第一原発が、巨大地震に伴って破局的大事故を引き起こしたわけだが、この後に及んでも、東芝首脳は、原子力への幻想に拘泥し、原子力が未来の主力になるかのような妄想の泥沼にどっぷりと浸かりこんでいた。
我々は、事故前から、フクイチは必ず大事故を起こす。日本で破局的原子力災害を引き起こすとすれば、それはフクイチと、もう一つ美浜原発だろうと予想していたが、その通りになった。
美浜は、まだこれからだが、悪魔のような事故を繰り返した美浜三号機は、2020年3月に再稼働が予定されている。
https://mainichi.jp/articles/20171216/k00/00m/020/072000c
自民党政府は、といえば、フクイチの人類史上最悪の巨大事故を引き起こしておきながら、何一つ反省せず、数百万、数千万の犠牲者が出るにもかかわらず、原発事故での死者は皆無だったかのようなデマを流し、事故から一ヶ月後、大熊町で千体もの累々たる放射能汚染遺体が放置されていたにもかかわらず、素知らぬ顔で「死後被曝であり、震災死者」と決めつけた。
しかし、これらの遺体は、震災の被害を直接受けなかった東平地区を中心に散乱していて、後に、ここでは平米5800万ベクレルと、地球上最悪の放射能汚染が報告されていた。
「死後被曝」なんて共同時事通信の解説は、上部から指示された捏造である。これらの遺体は、フクイチが莫大に環境汚染した放射能によって殺害された以外の説明は絶対にできない。

フクイチ事故による犠牲者は、今後も数十年の間に、膨大な数に上るであろう。事故後、政府は原子力政策を守るため、全メディアや大学、研究機関、医療施設の大半に圧力をかけて、凄まじい被曝被害の隠蔽を図ってきた。
そうした上で、核兵器製造への未練からか、莫大な犠牲者を無視して、再び、原発の再稼働を始めた。
なぜ、民主党→立憲民主党が、そうした愚か極まりない原発政策に強硬に反対しないのかといえば、フクイチ事故時の民主党政権は明らかに東電に買収されて、被害隠蔽に走っていたし、事故後でさえ、ベトナムやトルコへの原発輸出を、枝野幹事長が推進していたのである。
https://getnews.jp/archives/129939/gate
早い話、民主党→立憲民主党も、原子力村の一員であるといってよい。
社民党も、社会党を継承するというなら、1995年村山富市政権が、それまでの原発反原発方針を覆して原発支持に大転換したことを、明確に批判せず、枝野の原発輸出政策を批判しない以上、同じ穴の狢と見られても仕方ない。
共産党に至っては、福島のエートス被曝を容認するなど、言語道断の被曝実態隠蔽に走っていて、結局、40年前の「正しい政権(東側政権)なら、原発を推進する」との基本姿勢を変えていないことが明らかとなった。
つまり、日本の野党は、ほとんど原発の恐ろしさを何もわかっていない。
以下は、本日のニュースからの引用である。
*******************************
新小型原発、開発へ 温暖化対策を名目に経産省
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018120190070739.html
地球温暖化対策を名目に、経済産業省が新たな小型原発の開発を進め、二〇四〇年ごろまでに実用化を目指す方針を固めた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが世界的に普及している中、経産省は温室効果ガス削減には原発が必要と判断。将来の建設を想定しており、原発の新増設に道を開くことになる。
新方針は十一月十四日、経産省内で開かれた非公開の国際会議で、同省資源エネルギー庁の武田伸二郎原子力国際協力推進室長が表明した。本紙は武田室長に取材を申し込んだが、応じていない。
出席者らによると、武田室長は地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」実現のために、原発を活用する方針を表明。国内の多くの原発が四〇年ごろに寿命を迎えることを受け、「将来も一定の原発比率を維持するには、新原発の建設に向けて今、準備を始める必要がある」と述べた。
開発目的は「再生エネが増えていくので、これをサポート(補完)する必要がある」とした。天候で変わる太陽光などの不安定な出力をならす必要があり、既存の大型原発より出力を調整しやすい小型原発が必要との見解を示した。
また、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムが国内外に大量に蓄積し、核不拡散の観点で各国の懸念が高まっていることから、プルトニウムを大量に燃やす原発が必要としている。東京など大都市圏の需要を満たすには大型の原発も必要とし、従来の軽水炉の改良も目指す。新しい方針は近く正式発表される。
日本は今年から、原発を温暖化対策として進めるための国際的な枠組み「クリーンエネルギーの未来のための原子力革新(略称NICE(ナイス) Future(フューチャー))」に、米国やカナダと共に主体的に関わり、参加国を募っている。今後、参加国の政府や企業との連携を検討し、三年以内に具体的な計画を策定する。
政府が今年夏に決定したエネルギー基本計画は新型炉の研究を進めるとしたが、新設には言及していなかった。世耕弘成(ひろしげ)経産相は国会で「新設、建て替えは全く考えていない」と答弁しており、新増設を想定した新方針は、従来の立場を翻すことになる。
◆将来に大きな負の遺産
<解説> 東京電力福島第一原発事故から八年目、今も多くの人が避難生活を強いられている中で、政府は新型原発の開発方針を打ち出した。「温暖化対策」という国際的な約束を盾に、再生可能エネルギーとの共存を模索する。原発の生き残りを図ろうとする「原子力ムラ」の思惑が透けて見える。
政府は、二〇三〇年度に発電量の20~22%を原発で賄う目標を立てたが、稼働期間を最長の六十年としても、達成は難しい。さらに、世界的に再生可能エネルギーが安くなり、事故対策でコストがかさむ原発は採算が合わない。
そこで経済産業省が持ち出した理屈が「温暖化対策のための原発」。国際的な枠組み「NICE Future」参加国の政府や原子力産業などとの連携をもくろむ。今のうちに新設のめどを付け、将来にわたり原発を一定規模、維持する道筋をつける狙いだ。
だが、地球温暖化問題では、今の世代が責任を持って、いかに「持続可能な社会」を実現するかが問われている。原発は発電時に温室効果ガスを出さないが、核のごみがたまる。小型原発でもこの点は同じだ。
核のごみの最終処分場は、日本では見つかる見通しすらない。原発でごみを増やし続けるのは「持続可能」どころか、将来に大きな負の遺産を残す。矛盾を抱えた政策に巨額の税金を投入することに、国民の理解が得られるとは思えない。 (伊藤弘喜)
<小型原発> 現在主流の軽水炉より小型の原発。従来の原発の出力が100万キロワット前後なのに対し、3分の1未満の出力となる。主要機器を工場で製造して現地で据え付けるため、コストが安くなるとされる。出力を調整しやすいという特徴もある。各国は1980年代からさまざまなタイプを開発しているが、実用化には至っていない。
<パリ協定> 地球温暖化を防ぐため、各国が温室効果ガスの排出削減に取り組むことを定めた国際協定。産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。2016年に発効し、現行の京都議定書を引き継ぎ、20年に始まる。
(東京新聞)
**********************************
もんじゅ廃炉後の高速実証炉計画
三菱重工業、2030年代に建設
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/751493
高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉後の高速炉開発を巡り、中核企業の三菱重工業が、実証炉を2030年代に建設し、40年代に運転開始する計画を明らかにした。また電気事業連合会は、本格的な実用化が21世紀後半になるとの認識を示した。これらの意見を参考に、経済産業省は12月3日、高速炉開発会議の作業部会で開発工程表の骨子案を示す。
同部会に提出された資料によると三菱重工は、もんじゅの建設開始から30年以上が経過する中、技術伝承のためには建設経験のある世代が残る今後5年のうちに大まかな設計をすれば、効率的な開発が可能と主張。主要工程案では、20年代の終わりに基本設計に入り、30年代中ごろに着工。40年代の初めごろに運転開始し、技術実証が可能としている。
また、戦略に柔軟性を持たせるため、これまで検討してきた大出力の高速炉だけでなく、小型高速炉なども幅広く検討し、市場ニーズに応えられるようにする。
一方、電事連は高速炉の実用化時期について、「現状のウラン需給の観点から、既存プラントの廃炉後は軽水炉での建て替えとなる可能性が高い」として、高速炉の実用化はさらにその先の21世紀後半になるとした。
加えて、「研究開発段階から社会および地元に理解されることが重要」と指摘。当面の研究開発段階では、軽水炉の知見を活用し、事業者側の意向を反映させることについて協力するとした。
高速炉開発を巡り政府は、今後10年間の開発目標などを盛り込んだ工程表を年末までにまとめる予定。経産省は16年に高速炉開発会議を立ち上げ、17年3月から作業部会で詳細を議論している。
**********************************
引用以上
日本の原発に対する執着ぶりは、結局、エネルギー問題ではない。それは、核武装への強烈な執着である。
何度も書いたが、そもそも、正力松太郎や中曽根康弘の主導によって1960年に着工した日本第一号原発=東海1号は、当時、すでに軽水炉が世界の主力になっていたのに、わざわざ、英国の非効率な黒鉛炉を導入したのだが、その意味は、核兵器に利用可能な核燃料廃棄物を生成し、プルトニウムを富化する目的しかなかった。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/kksd6.pdf
それ以降は軽水炉が導入されたのだが、当時は、国産核燃料とその処理に自民党政権が血眼になり、人形峠に、その処理施設を設けて運転した結果、周辺地域に恐ろしい健康被害が出た。
この、私のブログを読んでいただければ、人形峠再処理工場が、周辺地域に、どれほど恐ろしい被害を与えたのか、はっきり理解することができるはずで、これだけでも原発=核兵器開発を、我々は絶対許してはならない意識を共有できるはずだ。
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-349.html
(この一連のブログを公開したとたんに私はツイッターのアカウントを永久凍結された。そして、このブログへの反響も、ほとんどない)
上に引用したニュースのなかで、経産省が「小型原発」を導入する計画を打ち出したのだが、この炉型は、どのようなものかというとプルトニウム専用炉だと書かれている。
プルトニウム原子炉は、安全運転帯域が非常に狭いため、コントロールが難しく、ロシア・アメリカ・イギリス・フランスが撤退している恐ろしい代物である。
国内では、現在建設中の大間原発だけに採用されていて、プルサーマルMOX燃料に比べても、さらに危険性の高いものである。
http://kakujoho.net/mox/mox99l_s.html
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/125377
https://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/95de4827ccc57334495b20b6dd306f86
上のリンクに書かれているが、簡単に言えば「石油ストーブにガソリンをぶち込んだ」ようなもので、ウラン燃料の数百倍といわれる非常な高熱と崩壊熱が出るため、制御は、まさしく綱渡りのような危険性を伴うのである。
さらに、莫大な崩壊熱により、使用済み核燃料を100度の安定温度で処理できるようになるには、実に500年以上を要するのである。
これは、もはや、人類の手に負えるような技術ではない。プルサーマルやフルMOX原子炉を稼働させようとする者たち=自民党政権は、子供たちの未来を破滅に追いやるリスクを微塵も考慮していない。
この使用済みプルトニウムが100度の安定温度になる西暦2500年頃に、この稼働を計画した者たちは、もちろん一人も生き残っていないし、企業も政府さえも存在しないだろう。
つまり、日本政府も原子力産業も、子供たちの未来について責任を負う姿勢は絶無であり、原発が「トイレなきマンション」といわれるように、核廃棄物の処理を一切考慮しないまま見切り発車した傲慢で、無責任極まりない姿勢が、反省絶無のまま、はるかにひどい結果を生み出そうとしている。
こんな人類滅亡の企画は、人間の仕業ではない。文字通り悪魔がやらせているとしか思えない。
このままでは、子供たちの未来は100%取り返しのつかない核汚染の世界をもたらし、マッドマックスの映画どころではない、残酷な現実のなかに未来は放りこまれるのである。
下のニュースにある「もんじゅ型高速増殖炉の再現」を三菱重工が性懲りもなく行おうとしていることについても、世界の原子力大国の、ほぼ全部が、あまりの危険性に撤退した増殖炉、十数年にわたってもんじゅで数兆円を垂れ流しながら、結局何一つ成果を上げられないまま廃炉作業がはじまった「もんじゅ」を再現するというもので、これも、驚きやあきれ果てを通りこして、三菱の経営陣は、ウェスチングハウス買収を決めて東芝を破滅させた経営陣と何一つ変わらない馬鹿阿呆の集団でしかない現実を思い知らされた。
高速増殖炉も、もちろんエネルギー問題ではない。それは核ミサイル製造のため、プルトニウム純度を高める富化工程だけに使われるのであり、それ以外の運営理由は皆無である。
要するに、三菱は「核ミサイル製造」を世界に宣言したに等しいのである。
私は、まさか21世紀になって、これほどまでに愚かな日本人の姿を見せつけられるとは予想もしていなかった。
自民党政治屋と産業界は、核兵器だけを狂人ストーカのように執着して追い求め、学会は補助金と賞だけほしさに、名誉と金のためなら人類の未来をも売り渡すようになり、医療界、メディア界も、金のために、良心を平然と売り飛ばしている。
今の日本には、どこを見渡しても「正義」が存在しない。子供たちの未来を思いやる心は絶無である。自分の利権のためなら、未来を破壊することを躊躇しない、人間のクズばかりが表通りを闊歩している。
その有様は、まるでバイオハザードに出てくる死体ゾンビの群れのようだ。
当時、すでに原子力産業は斜陽であり、放射能の大規模な実害が明らかにされるにつれて、原子力に未来など存在しないと確信していたからだ。
当時は、西室・西田体制の佳境で、東芝の経営陣は、業界の覇権を争って、自分たちが「業界の雄」であると広く顕示することで自己満足に浸る、大組織特有の「思い上がり病」に冒されていた。
彼らは一様に、競争意識から生み出された「科学技術に対する憧憬」があり、最先端の技術だけが、人類の未来と自分たちの利権を保障するとの妄想に支配されていたのである。
2011年、私たちの予想通り、東京電力福島第一原発が、巨大地震に伴って破局的大事故を引き起こしたわけだが、この後に及んでも、東芝首脳は、原子力への幻想に拘泥し、原子力が未来の主力になるかのような妄想の泥沼にどっぷりと浸かりこんでいた。
我々は、事故前から、フクイチは必ず大事故を起こす。日本で破局的原子力災害を引き起こすとすれば、それはフクイチと、もう一つ美浜原発だろうと予想していたが、その通りになった。
美浜は、まだこれからだが、悪魔のような事故を繰り返した美浜三号機は、2020年3月に再稼働が予定されている。
https://mainichi.jp/articles/20171216/k00/00m/020/072000c
自民党政府は、といえば、フクイチの人類史上最悪の巨大事故を引き起こしておきながら、何一つ反省せず、数百万、数千万の犠牲者が出るにもかかわらず、原発事故での死者は皆無だったかのようなデマを流し、事故から一ヶ月後、大熊町で千体もの累々たる放射能汚染遺体が放置されていたにもかかわらず、素知らぬ顔で「死後被曝であり、震災死者」と決めつけた。
しかし、これらの遺体は、震災の被害を直接受けなかった東平地区を中心に散乱していて、後に、ここでは平米5800万ベクレルと、地球上最悪の放射能汚染が報告されていた。
「死後被曝」なんて共同時事通信の解説は、上部から指示された捏造である。これらの遺体は、フクイチが莫大に環境汚染した放射能によって殺害された以外の説明は絶対にできない。

フクイチ事故による犠牲者は、今後も数十年の間に、膨大な数に上るであろう。事故後、政府は原子力政策を守るため、全メディアや大学、研究機関、医療施設の大半に圧力をかけて、凄まじい被曝被害の隠蔽を図ってきた。
そうした上で、核兵器製造への未練からか、莫大な犠牲者を無視して、再び、原発の再稼働を始めた。
なぜ、民主党→立憲民主党が、そうした愚か極まりない原発政策に強硬に反対しないのかといえば、フクイチ事故時の民主党政権は明らかに東電に買収されて、被害隠蔽に走っていたし、事故後でさえ、ベトナムやトルコへの原発輸出を、枝野幹事長が推進していたのである。
https://getnews.jp/archives/129939/gate
早い話、民主党→立憲民主党も、原子力村の一員であるといってよい。
社民党も、社会党を継承するというなら、1995年村山富市政権が、それまでの原発反原発方針を覆して原発支持に大転換したことを、明確に批判せず、枝野の原発輸出政策を批判しない以上、同じ穴の狢と見られても仕方ない。
共産党に至っては、福島のエートス被曝を容認するなど、言語道断の被曝実態隠蔽に走っていて、結局、40年前の「正しい政権(東側政権)なら、原発を推進する」との基本姿勢を変えていないことが明らかとなった。
つまり、日本の野党は、ほとんど原発の恐ろしさを何もわかっていない。
以下は、本日のニュースからの引用である。
*******************************
新小型原発、開発へ 温暖化対策を名目に経産省
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018120190070739.html
地球温暖化対策を名目に、経済産業省が新たな小型原発の開発を進め、二〇四〇年ごろまでに実用化を目指す方針を固めた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが世界的に普及している中、経産省は温室効果ガス削減には原発が必要と判断。将来の建設を想定しており、原発の新増設に道を開くことになる。
新方針は十一月十四日、経産省内で開かれた非公開の国際会議で、同省資源エネルギー庁の武田伸二郎原子力国際協力推進室長が表明した。本紙は武田室長に取材を申し込んだが、応じていない。
出席者らによると、武田室長は地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」実現のために、原発を活用する方針を表明。国内の多くの原発が四〇年ごろに寿命を迎えることを受け、「将来も一定の原発比率を維持するには、新原発の建設に向けて今、準備を始める必要がある」と述べた。
開発目的は「再生エネが増えていくので、これをサポート(補完)する必要がある」とした。天候で変わる太陽光などの不安定な出力をならす必要があり、既存の大型原発より出力を調整しやすい小型原発が必要との見解を示した。
また、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムが国内外に大量に蓄積し、核不拡散の観点で各国の懸念が高まっていることから、プルトニウムを大量に燃やす原発が必要としている。東京など大都市圏の需要を満たすには大型の原発も必要とし、従来の軽水炉の改良も目指す。新しい方針は近く正式発表される。
日本は今年から、原発を温暖化対策として進めるための国際的な枠組み「クリーンエネルギーの未来のための原子力革新(略称NICE(ナイス) Future(フューチャー))」に、米国やカナダと共に主体的に関わり、参加国を募っている。今後、参加国の政府や企業との連携を検討し、三年以内に具体的な計画を策定する。
政府が今年夏に決定したエネルギー基本計画は新型炉の研究を進めるとしたが、新設には言及していなかった。世耕弘成(ひろしげ)経産相は国会で「新設、建て替えは全く考えていない」と答弁しており、新増設を想定した新方針は、従来の立場を翻すことになる。
◆将来に大きな負の遺産
<解説> 東京電力福島第一原発事故から八年目、今も多くの人が避難生活を強いられている中で、政府は新型原発の開発方針を打ち出した。「温暖化対策」という国際的な約束を盾に、再生可能エネルギーとの共存を模索する。原発の生き残りを図ろうとする「原子力ムラ」の思惑が透けて見える。
政府は、二〇三〇年度に発電量の20~22%を原発で賄う目標を立てたが、稼働期間を最長の六十年としても、達成は難しい。さらに、世界的に再生可能エネルギーが安くなり、事故対策でコストがかさむ原発は採算が合わない。
そこで経済産業省が持ち出した理屈が「温暖化対策のための原発」。国際的な枠組み「NICE Future」参加国の政府や原子力産業などとの連携をもくろむ。今のうちに新設のめどを付け、将来にわたり原発を一定規模、維持する道筋をつける狙いだ。
だが、地球温暖化問題では、今の世代が責任を持って、いかに「持続可能な社会」を実現するかが問われている。原発は発電時に温室効果ガスを出さないが、核のごみがたまる。小型原発でもこの点は同じだ。
核のごみの最終処分場は、日本では見つかる見通しすらない。原発でごみを増やし続けるのは「持続可能」どころか、将来に大きな負の遺産を残す。矛盾を抱えた政策に巨額の税金を投入することに、国民の理解が得られるとは思えない。 (伊藤弘喜)
<小型原発> 現在主流の軽水炉より小型の原発。従来の原発の出力が100万キロワット前後なのに対し、3分の1未満の出力となる。主要機器を工場で製造して現地で据え付けるため、コストが安くなるとされる。出力を調整しやすいという特徴もある。各国は1980年代からさまざまなタイプを開発しているが、実用化には至っていない。
<パリ協定> 地球温暖化を防ぐため、各国が温室効果ガスの排出削減に取り組むことを定めた国際協定。産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。2016年に発効し、現行の京都議定書を引き継ぎ、20年に始まる。
(東京新聞)
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もんじゅ廃炉後の高速実証炉計画
三菱重工業、2030年代に建設
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/751493
高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉後の高速炉開発を巡り、中核企業の三菱重工業が、実証炉を2030年代に建設し、40年代に運転開始する計画を明らかにした。また電気事業連合会は、本格的な実用化が21世紀後半になるとの認識を示した。これらの意見を参考に、経済産業省は12月3日、高速炉開発会議の作業部会で開発工程表の骨子案を示す。
同部会に提出された資料によると三菱重工は、もんじゅの建設開始から30年以上が経過する中、技術伝承のためには建設経験のある世代が残る今後5年のうちに大まかな設計をすれば、効率的な開発が可能と主張。主要工程案では、20年代の終わりに基本設計に入り、30年代中ごろに着工。40年代の初めごろに運転開始し、技術実証が可能としている。
また、戦略に柔軟性を持たせるため、これまで検討してきた大出力の高速炉だけでなく、小型高速炉なども幅広く検討し、市場ニーズに応えられるようにする。
一方、電事連は高速炉の実用化時期について、「現状のウラン需給の観点から、既存プラントの廃炉後は軽水炉での建て替えとなる可能性が高い」として、高速炉の実用化はさらにその先の21世紀後半になるとした。
加えて、「研究開発段階から社会および地元に理解されることが重要」と指摘。当面の研究開発段階では、軽水炉の知見を活用し、事業者側の意向を反映させることについて協力するとした。
高速炉開発を巡り政府は、今後10年間の開発目標などを盛り込んだ工程表を年末までにまとめる予定。経産省は16年に高速炉開発会議を立ち上げ、17年3月から作業部会で詳細を議論している。
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引用以上
日本の原発に対する執着ぶりは、結局、エネルギー問題ではない。それは、核武装への強烈な執着である。
何度も書いたが、そもそも、正力松太郎や中曽根康弘の主導によって1960年に着工した日本第一号原発=東海1号は、当時、すでに軽水炉が世界の主力になっていたのに、わざわざ、英国の非効率な黒鉛炉を導入したのだが、その意味は、核兵器に利用可能な核燃料廃棄物を生成し、プルトニウムを富化する目的しかなかった。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/kksd6.pdf
それ以降は軽水炉が導入されたのだが、当時は、国産核燃料とその処理に自民党政権が血眼になり、人形峠に、その処理施設を設けて運転した結果、周辺地域に恐ろしい健康被害が出た。
この、私のブログを読んでいただければ、人形峠再処理工場が、周辺地域に、どれほど恐ろしい被害を与えたのか、はっきり理解することができるはずで、これだけでも原発=核兵器開発を、我々は絶対許してはならない意識を共有できるはずだ。
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-349.html
(この一連のブログを公開したとたんに私はツイッターのアカウントを永久凍結された。そして、このブログへの反響も、ほとんどない)
上に引用したニュースのなかで、経産省が「小型原発」を導入する計画を打ち出したのだが、この炉型は、どのようなものかというとプルトニウム専用炉だと書かれている。
プルトニウム原子炉は、安全運転帯域が非常に狭いため、コントロールが難しく、ロシア・アメリカ・イギリス・フランスが撤退している恐ろしい代物である。
国内では、現在建設中の大間原発だけに採用されていて、プルサーマルMOX燃料に比べても、さらに危険性の高いものである。
http://kakujoho.net/mox/mox99l_s.html
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/125377
https://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/95de4827ccc57334495b20b6dd306f86
上のリンクに書かれているが、簡単に言えば「石油ストーブにガソリンをぶち込んだ」ようなもので、ウラン燃料の数百倍といわれる非常な高熱と崩壊熱が出るため、制御は、まさしく綱渡りのような危険性を伴うのである。
さらに、莫大な崩壊熱により、使用済み核燃料を100度の安定温度で処理できるようになるには、実に500年以上を要するのである。
これは、もはや、人類の手に負えるような技術ではない。プルサーマルやフルMOX原子炉を稼働させようとする者たち=自民党政権は、子供たちの未来を破滅に追いやるリスクを微塵も考慮していない。
この使用済みプルトニウムが100度の安定温度になる西暦2500年頃に、この稼働を計画した者たちは、もちろん一人も生き残っていないし、企業も政府さえも存在しないだろう。
つまり、日本政府も原子力産業も、子供たちの未来について責任を負う姿勢は絶無であり、原発が「トイレなきマンション」といわれるように、核廃棄物の処理を一切考慮しないまま見切り発車した傲慢で、無責任極まりない姿勢が、反省絶無のまま、はるかにひどい結果を生み出そうとしている。
こんな人類滅亡の企画は、人間の仕業ではない。文字通り悪魔がやらせているとしか思えない。
このままでは、子供たちの未来は100%取り返しのつかない核汚染の世界をもたらし、マッドマックスの映画どころではない、残酷な現実のなかに未来は放りこまれるのである。
下のニュースにある「もんじゅ型高速増殖炉の再現」を三菱重工が性懲りもなく行おうとしていることについても、世界の原子力大国の、ほぼ全部が、あまりの危険性に撤退した増殖炉、十数年にわたってもんじゅで数兆円を垂れ流しながら、結局何一つ成果を上げられないまま廃炉作業がはじまった「もんじゅ」を再現するというもので、これも、驚きやあきれ果てを通りこして、三菱の経営陣は、ウェスチングハウス買収を決めて東芝を破滅させた経営陣と何一つ変わらない馬鹿阿呆の集団でしかない現実を思い知らされた。
高速増殖炉も、もちろんエネルギー問題ではない。それは核ミサイル製造のため、プルトニウム純度を高める富化工程だけに使われるのであり、それ以外の運営理由は皆無である。
要するに、三菱は「核ミサイル製造」を世界に宣言したに等しいのである。
私は、まさか21世紀になって、これほどまでに愚かな日本人の姿を見せつけられるとは予想もしていなかった。
自民党政治屋と産業界は、核兵器だけを狂人ストーカのように執着して追い求め、学会は補助金と賞だけほしさに、名誉と金のためなら人類の未来をも売り渡すようになり、医療界、メディア界も、金のために、良心を平然と売り飛ばしている。
今の日本には、どこを見渡しても「正義」が存在しない。子供たちの未来を思いやる心は絶無である。自分の利権のためなら、未来を破壊することを躊躇しない、人間のクズばかりが表通りを闊歩している。
その有様は、まるでバイオハザードに出てくる死体ゾンビの群れのようだ。