リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

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安曇総合病院、再構築に向けて・・。

2012年11月21日 | Weblog
全職員が参加できるように同一内容で3日連続で全体集会があった。


アリバイ作りみたいな集会であったが、全員で再構築をやるんだという空気を作るのが目的だろう。
再構築はリニアックの問題で足止めしていたため、地域医療再生交付金を使っての事業の期限は迫っており本当に時間がない。
その中でもめいいっぱいみんなの希望や夢を取り入れるために意見を言える場を設けるのが目的である。




新倉先生がリーダーシップをとってこれまでの経緯を説明する。
再構築に向けて、いくつかの課題が残っている。

まず経営体力の課題である。正直言って経営体力はない。
それから地域とのつながり。大町病院なども含めた大北地区全体での医療再編も課題である。
最期に、執行部は?病院のリーダーは一体どうなるのかという問題もある。

そんななかで何故、今再構築に踏み切らなければならないのかというと・・・。
それは築43年の古い病棟が、耐震基準をクリアせず、今、大きな地震が来たら患者さんと仲間の命が危険にさらされるからだ。
しかし他の厚生連病院も建て替えの次期を迎えており、この時期を逃すと安曇病院の建て替えは10年、20年先の話になってしまう。
それでも市民病院や日赤病院のように地域の事情で他の病院のように自治体からも多くの支援は望めない。
そんな中、がん、救急、地域医療に使える4億円弱の地域医療再生交付金を建て替えに使えるという公算となった。
しかしこのお金は平成26年3月までに着工しなければ使えない。

最終的には来年2月の厚生連の理事会で了承をえなければならないが、それまでに地域のニーズと職員の希望をいれた病棟の計画を作らなければならない。
本当に時間はない。

再構築に向けての大きな方針として

・救急としてそれほど高度なことがいきなりできるわけはないが、HCUを整備する。
・がん診療としてリニアックは入れないことになったが、緩和ケア病棟や外来化学療法など本当に充実したものを充実させていく。
・在宅支援科ができ訪問診療の体制ができてきているが、それをさらにおしすすめ地域・在宅・医療支援の仕組みをつくっていく。

アイディアをふくらませ、みんなに声をあげていく機会をつくっていきたいとのこと。
でもね、とできない理由をさがすのではなく、それはいいね、どうすれば?とふくらませていくべし。


(研修医も発言)

ついで、事務局から職員からこれまで出た案や病棟の建て替えの場所のいくつかつかの案が発表された。
これまではいくら議論しても全然具体的でなく、現実感はなかったが、いよいよ具体的になってきたためか、院内職員の目つきもかわってきて、いろんな職種から積極的な意見もどんどん出るようになった。

自分も「各職種がそれぞれの巣にこもってしまわずに、自然に院内外の多職種、多職域のスタッフが顔をあわせられるような仕掛けの病棟を」と発言させてもらった。

地域の医療の未来を真剣に考えてみませんか?

デスカンファレンス

2012年11月21日 | Weblog
先日、今の病院にきてはじめてデスカンファレンスを小規模多機能事業所で行った。
ケアマネが声をかけ、主介護者、主治医、訪問看護、福祉用具、ディケア、小規模多機能のスタッフなどが参加した。

認知症をかかえ高齢夫婦で通院していた方で数年間外来に通い、通院も困難となり、病院からの在宅訪問診療の仕組みをつかってフォローしていた。嫁が戻ってきて主介護者になり小規模多機能も利用するようになり、終末期には訪問看護も加わって在宅での看取りまで関わらせてもらった。

夏の間に徐々に食が細りベッド上となり、肺炎となり3日間だけ点滴をしたが結局入院はせず家で過ごされた。
新規にできた小規模多機能のスタッフも訪問看護と連携しながら終末期まで連日訪問してくれた。

家族は当初、病院につれて行かなきゃと思っていたそうだが、主治医の「この段階で肺炎になるのは自然の経過でこれが治っても繰り返して亡くなっていくのですよという言葉で、そうかと気持ちが楽になりました。」とおっしゃってくれた。

カンファレンスではディで活き活きと過ごされている写真や、ひもときシートを見ながら経過をみんなで振り返って、医療はいちばん後ろから支えてみまもることが役割(でも大事な役割)で家族や介護スタッフが最前線だったんだなぁと改めて感じた。

うまくいったケースも、まずかったかなぁというケースも看取りのあとに皆で振り返ることが大切なのだろうと思う。
デスカンファレンスはケアのあり方を見直したり、またグリーフケアとしても意味があることだと思った。