おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、ある整備工場の女性フロントお話しです。
ある工場で、フロント改善指導の際に、フロント担当者が頼りないので、メンバーチェンジをしたいという相談を受けた。何人か候補が挙がったが、帯に短し襷に長しで、ピッタリの条件を満たした人材が見当たらない。
そこで、私は、一人の女性に目をつけた。この女性は、パート社員である。この女性は、民宿でフロント的な仕事の経験者だ。明るく、活発、しかも前向きな28才だ。この女性を社長に推薦し、社長の決断でフロントに抜擢した。身分は、パートから正社員として採用した。
当然、本人からは「できない」「無理だ」といった抵抗があったが、我々が全面的にサポートするからという条件で、フロント業務に就かせた。3か月間は今までのフロント担当者や検査員などのサポートを受けての担当で、その間で徐々に要領を掴み、メカニックに指示できるまでになった。
この女性は、愛嬌も抜群でお客さまからの受けもよく、売上も少しづつ上がり、車販へもいい影響が出てきた。現場経験がないことが幸いし、少々きつい部分もあったが、指示した時間に終わらないと、メカニックに問いただし、作業時間を意識させ、生産性も改善していった。
本人の努力は並ではなく、毎日朝7時には出社し、納車・引取の段取りをつけ、朝礼後即座に指示をし、その後は飛び込み作業に臨機応変に対応しコントロール、集金の指示、部品商や用品卸店に仕入交渉を行った。
部品名、作業名、PC操作、標準作業点数表の見方も覚えた。終礼後は納品請求書の整理と翌日の伝票等の準備、売上の集計(毎朝発表のため)、顧客フォローや入庫促進コールなどで、9時前に退社したことがない。
旦那さんや姑さんに嫌味を言われれたことなどもあり、私に涙を見せることもあった。でも、本人は、持ち前のガッツと責任感でフロントを担当し、何時しか「フロント兼工場長」となり、社長の右腕にまでなった。社内で一番の高給取りにもなった。
当然だが、フロントの役割や業務の進め方、標準化などの指導も同時に行いながらのことである。問診が出来るように問診票を作りロープレも行った。電話による車検・点検の入庫促進コールおよびアフターコールの話法の標準化も作った。
フロントという整備工場の中枢的な部署を、素人の女性が担い整備工場を蘇らせた、一例を紹介した。人材がいないと嘆く前に、抜擢しやらせてみる人事の手もある。駄目でもともと。時には、こうした冒険も必要な時がある。
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