この日曜日(8/14)、「行基広場に屋根は要らない!」デモが行われた。当日の様子は、ブログ「久延毘古 独言」に詳しく掲載されたほか、月森砂名さんがYouTubeに動画をアップされた。このほかの情報は、当ブログ記事「行基広場の大屋根問題」のコメント欄に、松永さんが紹介されている。
蒼い空は奈良の宝!行基広場に屋根は要らない!(by 月森砂名さん)
そんな折り、あをによし南都さんから、奈良市(都市整備部まちづくり指導室 景観課)が、眺望景観に関する意見を募集している、という情報をいただいた。南都さんによると《最近、奈良市もずいぶん景観政策については熱心になってきた感じがします》《こういった意見募集に対してなかなか市民が気付かないのは残念なことですが。議事録を読んでいると委員の中から市民意見サンプル少ないことを問題視する指摘がありました》。
今朝(8/17付)の読売新聞奈良版にも、この意見募集に関する記事が出ていた。《奈良市は、奈良らしい眺望景観の候補39件を選び、保全、活用の方策を示す「眺望景観保全活用計画」の素案に盛り込んだ。世界遺産の寺社や山並みを望む眺めだけでなく、東部山間地の田園風景など市内の多彩なものを選定した。追加すべきものなど、今月末まで意見を募集している》《市景観課は「奈良を感じる眺めを守っていく必要がある。行政が一方的に規制を押しつけるのではなく、市民との協働で保全活用の方策を考えたい」としている》。奈良市のHPから、詳しく紹介する。
奈良市固有の美しい眺望景観を保全活用していくため、奈良市では、平成21年度から「奈良市眺望景観保全活用計画(仮称)」の策定に向けた取り組みを進めております。
そして、平成23年3月に、眺望景観の保全活用の基本的な考え方となる「奈良らしい眺望景観のとらえ方」「奈良らしい眺望景観の保全活用の目標と基本方針」をとりまとめるとともに、「奈良らしい眺望景観」候補39件と、そのうち特に優先的かつ重点的に保全活用を図る「重要眺望景観」候補12件を抽出し、「奈良市眺望景観保全活用計画(素案)」を作成しました。
眺望景観の保全活用に向けた具体的な規制手法や取り組み方策等については、現在検討中ですが、これまでの検討の成果について、市民の皆様に幅広くご意見をいただき、計画に反映していくとともに、具体的な規制手法や取り組み方策等の検討にも活かしていきたいと考えております。
設問1、奈良らしい眺望景観について
計画素案では、「奈良らしい眺望景観」候補39件を挙げています。その他に追加すべきと思われる「奈良らしい眺望景観」があれば、眺める場所、眺める対象となるもの、奈良らしいと思う理由をお書きください。
設問2、重要眺望景観について
計画素案では、優先的・重点的に保全活用を推進する眺望景観(「重要眺望景観」)の候補として、12件を挙げています。この12件について、優先的・重点的に保全活用していくことが重要であると思われますか。また、その他の眺望景観で、優先的・重点的に保全活用を推進すべきと思われる眺望景観があればお書きください。
設問3、新たな規制誘導について
奈良らしい眺望景観を保全していくためには、あなたがお住まいの地域においても、建築物 や工作物、屋外広告物などに対する新たな規制が必要となってくる場合があります。
奈良らしい眺望景観の保全のための新たな規制について、どのように思われますか。
設問4、計画素案について
計画素案(奈良らしい眺望景観のとらえ方や保全活用の目標・基本方針など)や奈良市の眺望景観の保全活用に向けた取り組みについて、ご意見があれば自由にお書きください。
なお設問2.にある12件の「重要眺望景観」とは、「奈良町から興福寺五重塔への眺望」「平城宮跡から東大寺大仏殿、若草山等の山並みへの眺望」「柳生集落から旧柳生藩家老屋敷や十兵衛杉等の集落の歴史文化遺産への眺望」などである。
南都さんはすでに意見を提出された。かいつまんで紹介すると《東京から連れてきたお客さんに「意外にコンクリートジャングル化してしまっていて残念」とのコメントは再三、正直ベースに貰っています》。
《欧州の古都を歩いた旅人なら比較で感じることですが日本は個々人の土地資産利用における私権の濫用の結果、全体が不幸になるほど景観が毀損され、お世辞にも綺麗な町とは言えなくなっているのが現状かと思います。インターネットその他メディア情報が普及している中果たして屋外広告にどれだけの意味があるのかと思います》。
《イタリアのフィレンツェ、ベネチア、シエナ、アッシジやオーストリアのザルツブルグ、インスブルックなどの諸都市は参考になるベンチマーク都市かと思います。景観政策はそれ自体では存在できず、むしろ観光都市機能との絡みが一番重要です。奈良がサステイナブルな歴史文化資産を維持していく観光都市であり続けその役割を積極的に果たしていきたいなら 観光都市として評価が高い欧州古都の事例を しっかり踏まえるべきです》。
さらに、メールには《ちょっと尖がった見方かもしれませんが景観政策前進のためにはこの程度の意見も必要かと思いました。都市計画、観光政策との整合性、統合が必要かと思いますので市長以下行政ご担当者の縦横行政手腕に期待したいところです》と書かれている。
すぐさまヨーロッパの諸都市との比較が出てくるところが、国際人・南都さんの強みである。アレックス・カーもそうだが、欧州の諸都市と比べて、日本の景観保全はたいそう遅れているのだ。
意見は、郵便、FAX、電子メールなどで送付する。応募の締め切りは今月末である(郵送の場合、当日消印有効)。ぜひ、率直なご意見をお寄せいただきたい。
蒼い空は奈良の宝!行基広場に屋根は要らない!(by 月森砂名さん)
そんな折り、あをによし南都さんから、奈良市(都市整備部まちづくり指導室 景観課)が、眺望景観に関する意見を募集している、という情報をいただいた。南都さんによると《最近、奈良市もずいぶん景観政策については熱心になってきた感じがします》《こういった意見募集に対してなかなか市民が気付かないのは残念なことですが。議事録を読んでいると委員の中から市民意見サンプル少ないことを問題視する指摘がありました》。
今朝(8/17付)の読売新聞奈良版にも、この意見募集に関する記事が出ていた。《奈良市は、奈良らしい眺望景観の候補39件を選び、保全、活用の方策を示す「眺望景観保全活用計画」の素案に盛り込んだ。世界遺産の寺社や山並みを望む眺めだけでなく、東部山間地の田園風景など市内の多彩なものを選定した。追加すべきものなど、今月末まで意見を募集している》《市景観課は「奈良を感じる眺めを守っていく必要がある。行政が一方的に規制を押しつけるのではなく、市民との協働で保全活用の方策を考えたい」としている》。奈良市のHPから、詳しく紹介する。
奈良らしい眺望景観の保全活用に対する意見を募集します
奈良市固有の美しい眺望景観を保全活用していくため、奈良市では、平成21年度から「奈良市眺望景観保全活用計画(仮称)」の策定に向けた取り組みを進めております。
そして、平成23年3月に、眺望景観の保全活用の基本的な考え方となる「奈良らしい眺望景観のとらえ方」「奈良らしい眺望景観の保全活用の目標と基本方針」をとりまとめるとともに、「奈良らしい眺望景観」候補39件と、そのうち特に優先的かつ重点的に保全活用を図る「重要眺望景観」候補12件を抽出し、「奈良市眺望景観保全活用計画(素案)」を作成しました。
眺望景観の保全活用に向けた具体的な規制手法や取り組み方策等については、現在検討中ですが、これまでの検討の成果について、市民の皆様に幅広くご意見をいただき、計画に反映していくとともに、具体的な規制手法や取り組み方策等の検討にも活かしていきたいと考えております。
ご意見いただきたい内容(下記の意見用紙にご記入ください。)
設問1、奈良らしい眺望景観について
計画素案では、「奈良らしい眺望景観」候補39件を挙げています。その他に追加すべきと思われる「奈良らしい眺望景観」があれば、眺める場所、眺める対象となるもの、奈良らしいと思う理由をお書きください。
設問2、重要眺望景観について
計画素案では、優先的・重点的に保全活用を推進する眺望景観(「重要眺望景観」)の候補として、12件を挙げています。この12件について、優先的・重点的に保全活用していくことが重要であると思われますか。また、その他の眺望景観で、優先的・重点的に保全活用を推進すべきと思われる眺望景観があればお書きください。
設問3、新たな規制誘導について
奈良らしい眺望景観を保全していくためには、あなたがお住まいの地域においても、建築物 や工作物、屋外広告物などに対する新たな規制が必要となってくる場合があります。
奈良らしい眺望景観の保全のための新たな規制について、どのように思われますか。
設問4、計画素案について
計画素案(奈良らしい眺望景観のとらえ方や保全活用の目標・基本方針など)や奈良市の眺望景観の保全活用に向けた取り組みについて、ご意見があれば自由にお書きください。
なお設問2.にある12件の「重要眺望景観」とは、「奈良町から興福寺五重塔への眺望」「平城宮跡から東大寺大仏殿、若草山等の山並みへの眺望」「柳生集落から旧柳生藩家老屋敷や十兵衛杉等の集落の歴史文化遺産への眺望」などである。
南都さんはすでに意見を提出された。かいつまんで紹介すると《東京から連れてきたお客さんに「意外にコンクリートジャングル化してしまっていて残念」とのコメントは再三、正直ベースに貰っています》。
《欧州の古都を歩いた旅人なら比較で感じることですが日本は個々人の土地資産利用における私権の濫用の結果、全体が不幸になるほど景観が毀損され、お世辞にも綺麗な町とは言えなくなっているのが現状かと思います。インターネットその他メディア情報が普及している中果たして屋外広告にどれだけの意味があるのかと思います》。
《イタリアのフィレンツェ、ベネチア、シエナ、アッシジやオーストリアのザルツブルグ、インスブルックなどの諸都市は参考になるベンチマーク都市かと思います。景観政策はそれ自体では存在できず、むしろ観光都市機能との絡みが一番重要です。奈良がサステイナブルな歴史文化資産を維持していく観光都市であり続けその役割を積極的に果たしていきたいなら 観光都市として評価が高い欧州古都の事例を しっかり踏まえるべきです》。
さらに、メールには《ちょっと尖がった見方かもしれませんが景観政策前進のためにはこの程度の意見も必要かと思いました。都市計画、観光政策との整合性、統合が必要かと思いますので市長以下行政ご担当者の縦横行政手腕に期待したいところです》と書かれている。
すぐさまヨーロッパの諸都市との比較が出てくるところが、国際人・南都さんの強みである。アレックス・カーもそうだが、欧州の諸都市と比べて、日本の景観保全はたいそう遅れているのだ。
意見は、郵便、FAX、電子メールなどで送付する。応募の締め切りは今月末である(郵送の場合、当日消印有効)。ぜひ、率直なご意見をお寄せいただきたい。
奈良を観光することが好きな東京の主婦です。
いつもブログを楽しく拝見させて頂いています。
今回の奈良で起こっているお話について、私も思ったことを自分のブログに書きました。
そして先ほど、トラックバックをさせていただいたのですが、ブログでのマナーなどに私自身がまだ明るくなく、いきなりトラックバックは失礼だったかと思い、コメント欄にも書かせて頂くことにしました。
URL欄に記入した記事が、私が書いた記事です。
不躾で申し訳ありません。
これからも、楽しくこちらで奈良の勉強をさせていただきたいと思っています。
取り急ぎご連絡まで。
> デザインをネットで拝見して、地元の方々の言い分はもっともだと思います。
> 「屋根」が「雨対策」なのならば、広場に屋根をつける前に、真上
> ビル1階の空きスペースを観光客向けの待合・休憩スペースにして
> くださることの方が、より効果的なのでないかな? なんて思っています。
県のHPには《近鉄奈良駅周辺において、県民や観光客等の方々の利便性の高い環境づくりを進めたいと考えており、待合空間としての機能向上を図る取組の一環として、行基広場における屋根設置を計画しています》とあり、確かに「観光客向けの待合・休憩スペース」が目的のようです。
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_itemid-68352.htm
しかし、そのデザインが問題です。だから「あんなデザインなら、いっそ今のままがいい」となる訳でしょう。
私も通勤にこの駅を利用しますので、何らかの方法で「雨が防げたらいいな」とは思います。しかし、あのデザインでは、ちょっと…。
駅ビル1階には、あのとおり階段やエスカレーター、観光協会の出先などが入っていて、これ以上の利用は難しそうです。「だから外に」となったのでしょう。地下にも、コーヒーショップや土産物店が入っていますし。
それにしても今回のデモのように、奈良市民が景観に関心を持つことは、とても良いことです。今まで、市民は景観破壊に無頓着すぎましたから。さきさんのような、県外からのご意見も、大いに参考にさせていただきます。
奈良市民の皆様には「行基ひろば」として、永年
親しんで来られたのでしょうが、観光に来られた人が奈良駅を降り立ち、奈良の街を一見された時に「行基像の噴水」に出会うより「水辺に憩う鹿たち」に初対面する方がワクワクしませんか?。
わたし、阪奈道路の学園インターの側斜面で「二頭の鹿」が出迎えてくれる風景は「奈良に来た~!」って感慨深かったし、今も好きなのですが・・・。
私は、行基さんの墓所の清掃ボランティアを細々していますが、あの奈良駅前広場の行基さん像は
東大寺南大門前の広場に居られる方が行基さん嬉しいのでは・・・?、なんて思っています。
巨額の税金を投入して観光客をおもてなしする大屋根計画ならば老若男女、誰もが「奈良に来た~!」と瞬時に思える駅前ひろばになればいいな!と、思いました。
行基さんに尋ねてみたいですね。
「どうしたら、よいでしょう?・・・」と!。
コメントへのお返事&トラックバックの承認して下さり、ありがとうございます。
いきなり不躾で、申し訳ありませんでした。
>駅ビル1階には、あのとおり階段やエスカレー>ター、観光協会の出先などが入っていて、これ>以上の利用は難しそうです。
>地下にも、コーヒーショップや土産物店が入っ>ていますし。
そうでしたか。それは残念です。
駅前であれだけのスペースさえあれば、東京だったら利用価値を探してでも入れてしまうのですが。
あとは、私が雨に遭った時のような状態だと、観光客の立場としては、なるべくお金をかけず休息できる場所が欲しいかな? なんて思ったもので。
(奈良は意外にそういう場所が少ない‥‥)
また、そういう場を作ってくださるのだとすれば、観光客としては、屋内にそういう場があるといいなと思います。だから、「真上ビルの1階が空いてるじゃない!」とか思っていたんですが‥。
観光客向けのアンケートなどがあったらいいな、とも思いました。
単純に、「観光客の待合・休息スペースとして駅前にこういうデザインの屋根を作るとしたら嬉しいですか? 奈良にもっと行きたくなりますか?」というような感じで。
あの屋根は、観光客から見ても、あまり歓迎されるデザインとは言えない気がするのですよね。
景観についての市や県の行政レベルもそうですが委員会の議論などハイレベルの景観論が交わされています。
今後の改善の見込みは大かと。
景観がテーマになる自治体は他にもありますが奈良はまさに景観で日本一になりえる古都かと思います。
また京都との比較でも京都の良さとは違った良さを奈良が独自に追求できるとしたらそのひとつは景観かと思います。
ちょうど70年代前後に景観を考えずに建設された県庁や近鉄奈良ビルなどの負の遺産もいずれ撤去解体の時代がコンクリ建築寿命と共に到来します。
その時までにしっかり市民と行政が対話をして世界に誇れる歴史文化都市としての佇まいをどうすべきか詰めておきたいものです。
現代建築でも外観はどういうデザインが良いのか、高さ規制・容積をどうすべきか、都市計画との兼ね合いをどうすべきか、市街地の電柱地中敷設をどう進捗させていくべき今後、奈良ならではの回答を期待したいところです。
スカイラインや眺望をしっかり守り、歴史文化としての佇まいを大切にし、観光に来られる方にも、住民にも気持ちの良い奈良を目指していきたいものです。
> 観光に来られた人が奈良駅を降り立ち、奈良の街を一見された時に「行基像の
> 噴水」に出会うより「水辺に憩う鹿たち」に初対面する方がワクワクしませんか?
正真正銘、行基菩薩の墓所のあるお寺でボランティアをされている春蘭さんからすれば、平成になって造られたモニュメントには、さしたる感慨もないのかも知れませんね。
> 雨に遭った時のような状態だと、観光客の立場としては、
> なるべくお金をかけず休息できる場所が欲しいかな?
それには同感です。以前、雨の日に県新公会堂へ行きますと、正面の屋根の下で、小学生たちがお弁当を食べていました。いくら奈良公園内とはいえ、コンクリートの上で食べるお弁当は、味気ないものだったことでしょう。「夢風ひろば」の公共版のようなものが、ほしいところです。
> 景観についての市や県の行政レベルもそうですが委員会の議論などハイ
> レベルの景観論が交わされています。今後の改善の見込みは大かと。
そうですか、ちょっと安心しました。
> スカイラインや眺望をしっかり守り、歴史文化としての佇まいを大切にし、観光
> に来られる方にも、住民にも気持ちの良い奈良を目指していきたいものです。
ヨーロッパにできて、日本にできないはずはありません。これからの「少欲知足」の時代、もっとこの方面に目を向けてほしいものです。
先日お訪ねした大神神社の祈祷殿など「平成の大造営」施設は、樹齢1500年のヒノキなどを使った、素晴らしいものでした。噂によると「朱雀門の倍以上の費用がかかった。コンクリなら数分の一で済んだが、大神神社はそれを許さなかった」とか。ヨソでも、このような気概を見せてほしいですね。
http://www.obayashi.co.jp/works/work_421
この噴水を装置化した鍵田市長は「シルククロード-の終着駅」「緑の奈良」という提案もしていましたね。水と緑、今、行政が取り組むとすれば「緑」と水辺のあるバリアフリー空間でしょうか。
> 水と緑、今、行政が取り組むとすれば「緑」
> と水辺のあるバリアフリー空間でしょうか。
奈良市に限らず、北・中和には「水辺」が少ないですね。紀ノ川(吉野川)とその支流(丹生川)に囲まれた九度山に帰省すると、なおさらその感を深くします。
それを行基菩薩の噴水が補っていたと考えれば、納得がいきます。憩いの場としての「水辺」の価値を、見直す必要がありそうですね。