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ドラッカーの箴言集『プロフェッショナルの原点』

2008年07月29日 | ブック・レビュー
マネジメントの父、P.F.ドラッカー(1909年11月19日-2005年11月11日)は、オーストリア生まれの経営学者・社会学者である。没後3年になろうとしているのに、大型書店には今も彼のコーナーが残る。文学書と違い、賞味期限の短い経営書にあっては、希有なことである。
 
ここで紹介するのは、P.F.ドラッカー&ジョゼフ.A.マチャレロ著『プロフェッショナルの原点』(ダイヤモンド社刊)である。
※立ち読みができるダイヤモンド社の同書サイト
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=4-478-00334-3

ドラッカーの遺作で、原題は『成果をあげるエグゼクティブの行動―必要なことを行うための行動日誌』である。氏の同僚・マチャレロ教授が編集・コメント執筆を担当した。

帯に「仕事の本質を洞察し、成果をあげるための姿勢と行動を示す不朽の箴言(しんげん)集」とあるように、ドラッカーの過去の著作から引用された「仕事で成果をあげる法」95のエッセンスがここにある。1つのテーマが見開き2ページに短くまとめられているので、忙しい経営者の方などが移動の合間などに読むには、ピッタリの本である。
※訳者による同書の詳しい解説
http://diamond.jp/series/diabooks/10023/



本文では以下の6つの章で、具体的なアドバイスが示される。
第1章 成果をあげる能力は修得できる
第2章 汝の時間を知れ
第3章 いかなる貢献ができるか
第4章 強みを生かす
第5章 最も重要なことに集中する
第6章 意思決定を的確に行う

中でも《時間をマネジメントすることと重要なことに集中することは、成果をあげるための2本の柱である。時間以外の資源はなんとかなる。だが、時間は最も希少な資源である。(中略)成果をあげるためには、まず、自分の時間がどこに消えているかを知らなければならない》。

いくつかの習慣を身につければ、仕事で成果をあげることができる。《習慣は簡単である。一見簡単そうに見える。だが、身につけることはやさしくない。子供の頃にかけ算を学んだようにして身につけなければならない。6×6=36をすらすら言えなければならない》。この本には、こうしたスキルを身につけるための工夫がある。95項目のそれぞれに「とるべき行動」と「身につけるべき姿勢」が短い言葉で掲げられているのである。

ドラッカーの箴言は、具体的で実践的である。例えば、意思決定に必要なのは4点であるという。《1.実行の責任者 2.日程 3.影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人 4.影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人》。

印象的な比喩やエピソードも巧みに盛り込まれている。《私が13歳のとき、宗教の先生がきみたちは何によって憶えられたいかねと聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこう言った。いま答えられるとは思わない。でも50歳になっても答えられないと問題だよ。人生を無駄に過ごしたことになるからね。今日でも私は、何によって憶えられたいかを自らに問い続けている。これは自らの成長を促す問いである。なぜならば、自らを異なる人物、そうなりうる人物として見るよう仕向けてくれるからである》。

この本は、ドラッカー理論の優れた実践書である。GEのジャック・ウェルチ、P&GのA.G.ラフリーなど、ドラッカーの教えを受けた経営者は数多い。ぜひこの本で「仕事で成果をあげる法」をマスターしていただきたいと思う。

※上記のモト原稿は、奈良県経営者協会の会報誌『鹿鳴通信』08年6月号の「鹿鳴通信BOOKレビュー」欄のために書いたものである。同協会の承諾を得て、転載させていただいた(一部加筆)。

※冒頭の写真は、霊山寺(奈良市中町)のバラ。07.5.19撮影。

プロフェッショナルの原点
P.F.ドラッカー,ジョゼフ・A・マチャレロ
ダイヤモンド社

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