tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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小倉つき子著『廃寺のみ仏たちは、今/奈良県東部編』(京阪奈新書)が発刊!

2020年06月23日 | ブック・レビュー
これは力作だ!NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」会員で、奈良佐保短期大学講師の小倉つき子(法名:小倉涼眞)さんが『国宝仏から秘仏まで 廃寺のみ仏たちは、今』(奈良県東部編)を京阪奈情報教育出版株式会社から刊行された。新書版246ページ、税別価格950円で、啓林堂書店の全店と、amazonで販売されている。小倉さんは過去に『ドラマチック奈良』を同じ出版社から出されているから、これが2冊目ということになる。

取材には約1年かけたそうだ(2018.10~2019.10)。私はすでに読了し、「よくここまで詳しく調べ上げたものだ」と感心した。アポを取り、現地に足を運び、関係者の話を聞き、写真を撮る。また市町村史(現行のものではなく過去の市町村史)にあたり、情報の裏付けを取る。大変な作業の末、完成された労作だ。その記者発表が昨日(2020.6.22)、奈良県文化教育記者クラブで行われ、私も同席した。出席したのは小倉さん、久門たつおさん(奈良まほろばソムリエの会理事で、保存継承グループ担当)、住田幸一さん(京阪奈情報教育出版社長)。本書の「はじめに」から一部を抜粋すると、


向かって左端が久門たつおさん、右端が住田幸一さん

所属しているNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」の保存継承グループが2017年から行っていた、奈良県指定の仏像や建造物などの現状調査に参加していました。特に仏像に関心を寄せながらまわっていたのですが、山間部や僻地で無住の寺や公民館の収蔵庫にポツンと安置されている指定仏にしばしば出合い、感慨深いものがありました。

若い住民が減少していく集落では、諸仏を次世代にいかに引き継いでいくべきか。今、厳しい問題に直面されています。



奈良県下の廃寺となった寺院の旧仏をつぶさに追い、読み物としてはもちろん、ひとまとめにした記録書になればと、県東部の桜井市、宇陀市、宇陀郡、山添村、奈良市東部から取材を始めました。

本書を通じて、廃寺になった寺院の諸仏の軌跡とお姿を楽しんでいただければ幸いです。合掌



さらに目次には、

桜井市の廃寺と旧仏/粟原廃寺の旧仏と伝わる諸像/旧多武峰妙楽寺の旧仏/旧大御輪寺(大神寺)の旧仏/旧山田寺の旧仏/宇陀市と宇陀郡の廃寺と旧仏/山添村の廃寺と旧仏/奈良市の東部地域/大柳生の廃寺と旧仏/旧東山村の廃寺と旧仏/高円山麓の廃寺と旧仏

小倉さんが調査された仏像は約300軀。約半数は神仏分離で、残り半数は寺勢が衰えて廃寺になった寺の仏像だそうだ。記者会見では、「奈良県東部編の次は?」という質問があり、小倉さんは「奈良盆地編になると思います」とのこと。

さまざまな苦難を乗り越えて、無住寺や公民館の収蔵庫に安置された仏さま。こんな切り口で書かれた書籍は前代未聞だ。皆さん、ぜひ『廃寺のみ仏たちは、今』をお買い求めください!

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