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テレビに向かって自嘲する 奈良県民/奈良新聞「明風清音」第26回

2019年09月21日 | 明風清音(奈良新聞)
毎月1~2回程度、奈良新聞の随筆欄「明風清音」に寄稿している。9月19日(木)に掲載されたのは「自嘲する奈良県民」だった。読売テレビで8月22日(木)に放送された「秘密のケンミンSHOW」の話で、早くに当ブログに書いた。
※写真はすべて9月19日オンエアの同番組より

あまりにも悪意と作為に満ちた内容にオンエア直後、局にはメールと電話で抗議した。しかし8月の番組内容が9月8日(日)の特番(関西限定)でまた蒸し返されたので、「明風清音」に書くことにした。私の言い分は以下のとおりである。



8月22日、読売テレビの「秘密のケンミンSHOW」を見た。番組のサイトに「鹿と大仏だけじゃない!奈良の日本一自慢をたっぷり発表!」と紹介されていたからだ。「どんな日本一が選ばれるのだろう」とワクワクしながらスイッチをひねった。

この番組は平成27年5月に大阪府民などにインタビューして「奈良は大仏さんと鹿ぐらいでしょ、何もない」「何もないっスよ奈良」などという発言をタレ流していた。だから今回はそのリカバリーかと期待して視聴したが、完全に裏切られた。翌日、番組のサイトを見ると、一夜のうちに紹介文のタイトルが「秘密のNARA 今、私たちが奈良に出来る事」に変わっていたので、また驚いた。



今回のインタビューは奈良ファミリー前(近鉄大和西大寺駅前)で始まった。奈良の自慢を問われて、年格好80歳ほどの男性は「ええとこもなし、うまいもんなし、いや本当本当、これホンマ。うまいもんないねん、大阪行かなあかん。ほんで見るとこは京都」。奈良市の旧市街地では「92歳の生き字引」が「ない、ない、ない。僕知らんわ奈良の自慢。奈良で生まれた人はあんなん(法隆寺)行かしません、遠いもん」。ホテル日航奈良の屋上で30代とおぼしき男性「ホンマに何もない」、再び大和西大寺駅前では30代ほどの女性2人組が「本当に思いつかない」。



「ケンミン」と言っても、ほぼ「奈良市民」の回答だったが、本当に皆さん、こんなにネガティブな回答ばかりしたのだろうか。番組のインタビューを受けたという人たちに聞いてみると「ちゃんと奈良の自慢を答えたのにオンエアされていなかった」という人が3人ほどいた。中には「20代の娘の職場に電話があり、古代から連綿と続く歴史や自然が身近にあること、清酒発祥のことや三輪そうめん、大和肉鶏などの美味しいものが多いことを答えたそうです」という人も。



放送前に番組サイトに出ていた「日本一自慢をたっぷり発表」の文言がオンエア後に消えていたことからすれば、編集段階で方針を転換したのだろう。そのような姿勢には大いに疑問を持つが、カメラに向かってこのようなひどい回答をした県民は、もっと悪い。

私はもと和歌山県民だったが、就職して奈良県民になった。古くから都が置かれ、『万葉集』の舞台でもあった奈良県は憧れの地だった。しかし周囲の生粋の奈良県民には、あまりそのような誇りや自覚が感じられないのが不思議だった。



今回の番組について「県民に地元愛がないというより、自信がないのでは」という人がいて、これには少し納得した。誇れるものが多すぎて絞りにくいし、言ってしまうとツッコミ(返し)が怖いのだろう。「奈良市ではなく、飛鳥や吉野で聞いていれば、少しは違った回答になっただろう」という人もいた。大阪や京都に近い県北部の住民は、どうしても「華やかな大阪や京都に比べれば…」という発想になるからだ。

9月8日にはこの番組の関西ローカル特番があり、予想通り再び冒頭の2人のご老体の放言を流していた。これから「奈良」が出てくるたびにこのシーンが使われるのだろうか。

局にはメールと電話で意見を申し述べたが「担当に伝えますが回答はいたしません」とのことだった。この先、県民の「自虐思考」を改めるしか、解決方法はないのだろうか。



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