tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

寿命が尽きる前に、心づもりをしておきましょう!/奈良新聞「明風清音」第97回

2023年12月30日 | 明風清音(奈良新聞)
奈良新聞「明風清音」欄に月1~2回、寄稿している。12月は年末進行のためお休みだったが、その代わり11月は2回、順番が回ってきて、今回の「寿命が尽きる2年前」は、2回目(2023.11.30)に掲載された。

厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、70歳の平均余命は15.56年、つまり私は(統計上は)あと15.56年、85.56歳まで生きられる。だから寿命が尽きる2年前は、約13年後ということになる。

そう考えれば「まだまだ先だな」とも思うが、「メメント・モリ」(死を意識して生きよ=今を楽しめ)の精神で、この13年を精一杯生き切り、残る2年間では仏教書などを読みながら、心静かに「その日」を迎える準備をしたいと思う。では、全文を紹介する。

寿命が尽きる2年前
私の周囲には、元気なお年寄りが多い。中には、「日本120学会」という健康長寿をめざす組織を作った人もいる。医師で作家という久坂部羊氏の著書『寿命が尽きる2年前』(幻冬舎新書)を読んだ。

何歳まで生きようと、寿命はいつか尽きる。この期(ご)に及んでじたばたするのではなく、穏やかに死を受け入れられるよう、あらかじめ心の準備をしておきましょう、というのが本書の趣旨である。以下、私の心に残ったところを紹介する。

▼広告に振り回されない
〈年は取りたくない、いつまでも若々しくありたいというのは、万人の願いです。その思いに応えるかのように、新聞やテレビ、週刊誌には、老化予防、若返りに関する広告があふれています。(中略)勧められているのは、いわゆるサプリメントの類いですが、当然ながらいずれも医学的なエビデンスはなく、それらしい実証データを掲げている宣伝もありますが、たいていが無関係か、信頼性の低いものばかりです〉。

▼「老い」を受け入れる
〈老いが苦しいと感じられるのは、いつまでも若いときのままいられると思っているからで、老いれば身体が弱り、できないことが増え、見た目も衰えるのがふつうです。はじめからそういうものだと思っておけば、徒(いたずら)に苦しむことはありません〉。

▼生きている「今」を楽しむ
〈我々は現代において、もう十分、寿命を延ばしているのです。であれば、残りの人生をさらに寿命を延ばすことに費やすよりは、楽しむことや、自分を解放することに使ったほうが有意義ではないでしょうか。(中略)ラテン語の警句「メメント・モリ(死を想え)」には、「死を意識して生きよ」という意味のほかに、「今を楽しめ」という意味も含まれます〉。

久坂部氏は「今を楽しむ」実例を挙げている。旅行(海外・国内)、趣味を極める、コレクションの展示、自伝の執筆や自費出版、お世話になった人に感謝の気持ちを伝える、など。

▼「死」に対する心づもり
〈死ぬための準備なんて、縁起でもないと思う人も多いでしょうが、よく考えてみてください。毎日その日は近づいてくるのに、準備もせずにいたら、最後にあたふたして、徒に無駄で苦しい道を選んで後悔する危険性が高まるだけです。生きるための努力はもちろん大事ですが、一方で死に対する心づもりを進めておくことも必要でしょう〉。

▼医療は「死」に対して無力
〈以前、講演後の質疑応答で、80代の女性に、「私はチューブをいっぱいつけられて、器械に生かされるようなことになりたくないんですが、どうすればいいですか」と聞かれて、私はこう答えました。「それならいい方法があります。病院に行かなければいいんです」〉。

〈死にたくない人は、死が迫ったとき、必ずといっていいほど医療に頼ります。これがまず第一のあやまりです。治る病気のときは医療に頼ればいいですが、治らない病気を無理に治そうとすると、徒に苦しみを深めます。先にも書いたように、死に対しては医療は無力だからです〉。

▼「今でしょ」と考える
〈人間として成熟すれば、寿命が尽きる2年前には、もう自分を解放してもいいでしょう。不安や心配から自由になり、死におびえることもなく、長生きのための努力も辛抱も遠慮もいらない。ほんとうに自分がやりたかったことができるのが、寿命が尽きる2年前です〉。

〈それがいつかわからないから困るんだと言う人には、こう応えましょう。「それは今でしょ」。まちがっているかもしれませんが、そう考えても損はないはずです〉。いかがだろう。少し気持ちが楽になりませんか?(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 田中利典師の「金剛蔵王権現... | トップ | 2023年回顧/ウィズコロナか... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明風清音(奈良新聞)」カテゴリの最新記事