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「雑記帳の集い」42年の歩み/奈良新聞「明風清音」第83回

2022年12月23日 | 明風清音(奈良新聞)
毎月1~2回、奈良新聞「明風清音」欄に寄稿している。先週(2022.12.15)掲載されたのは〈「雑記帳の集い」の42年〉だった。44年前にスタートした同紙「雑記帳」欄の寄稿者を中心に「雑記帳の集い」ができたのは、42年も前。機関誌『雑記帳』は、その翌年に創刊された。今年も5月に同誌第42号が発刊されている。
※トップ写真は、「椿寿庵」(大和郡山市池ノ内町556)のツバキ(2008.3.15 撮影)

よくこんなに長く続けられたものだと、ご関係者のご尽力には頭が下がる。しかしこの42年間の歩みはあまり知られていないようだ。少し掘り下げて紹介させていただこうと思い、同紙編集部で「雑記帳」欄担当デスクをお務めになる辻恵介さんにムリをお願いして、資料をお送りいただいた。おかげさまでこのたび、晴れて「明風清音」欄で紹介できることとなった。では、全文を以下に紹介する。

「雑記帳の集い」の42年
本紙暮らし面投稿欄の「雑記帳」は、いつも楽しく拝読している。執筆者の年齢が記載されているので、「このおトシでこんなに前向きに生きておられるのか」と、励まされることも多い。

そんな本欄9月22日付に、鄭容順さんが「雑記帳の集い」創設時のことを書かれていた。そこで、この集いが約40年もの歴史があることを知り、驚くとともに興味を持った。

もう少し詳しく経緯を知りたいと思い、本紙編集部で本欄担当デスクの辻恵介さんに、「貴社内に資料が残っていませんか」とうかがうと、まもなく封書が届いた。そこには『奈良新聞五十年史』『奈良新聞七十年史』のほか、奈良県女性センター発行『ならの女性生活史 花ひらく』のそれぞれの該当箇所のコピーが同封されていた。

『ならの女性…』は、わざわざ町の図書館で探してくださったそうで、これには頭が下がる。おかげさまで私は、この集いの歴史と全体像を知ることができた。

雑記帳の集いの発足は、1980(昭和55)年6月8日だった(「雑記帳」欄の開始は、おそらく78年10月)。さらに、「雑記帳」掲載の記事など会員の文章を載せた機関誌『雑記帳』が創刊されたのは81年6月1日で、今年は第42号が5月に刊行された。

『ならの女性…』には本紙記事からの引用として〈(『雑記帳』には)家庭生活や仕事の悩み、戦争への危機感など率直な気持ちが語られており、そのころの社会情勢も反映したものが多い〉とある。

『ならの女性…』によれば80年代だけで県下に4つもの女性のグループができており〈個性的な組織が続々と誕生している〉とある。これは76年にスタートした「国連婦人の10年」の影響が大きかったのだろう。

雑記帳の集いや機関誌の創刊には、本紙記者が大きな役割を演じた。それが槇村久子さんで、76年にアルバイトとして本社に入社、3年後には正式に記者になった。

『ならの女性…』に槇村さんは〈新聞記事は、男性の視点で書かれており、女性からの問題提起が必要と、地域の中で女性の声を反映させるシステム作りを考えたのです。家庭面の投稿欄「雑記帳」に投稿者を増やそうと、「雑記帳の集い」を発足させました。地方紙を考えたとき、男性は大阪方面へ通勤して奈良にはいない。地域の中で実際に生活している女性の読者層に焦点を当てることを訴え、家庭欄は毎日掲載されるようになりました〉と記す。

その後槇村さんは奈良県庁勤務を経て、2000年4月、京都女子大学現代社会学部教授に就任された。

雑記帳の集いでは1つ、私にも楽しい思い出がある。2017年9月、講演のご依頼をいただき、演題を「奈良県の食文化を考える」として、本社会議室でお話をした。40人ほどのご参加者は、担当デスクを除き全員が女性だった。うなずいたり、笑ったりと反応が良いので、講演がとてもやりやすかった。

私は年間50回程度の講演をしているが、後にも先にも、こんなに楽しかった講演はない。雑記帳の集い会員の皆さんは、感性が豊かで普段から情報収集に取り組まれている。それが聴講の態度にも表われるのだろうな、と感心した。

会則の「目的」には〈本会はペンを通じて会員の親睦と教養を高め、家庭と社会の向上に努めます〉とあり、これは頼もしい。雑記帳の集いも新規会員数の減少や既存会員の高齢化などで、運営は大変だろう。しかしユニークで意義のある活動なので、これからも粘り強く活動を継続していただきたいと願う。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


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