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「筒井筒の井戸」に「夫婦竹」、業平の屋敷跡と伝わる在原神社(天理市櫟本町)/毎日新聞「やまとの神さま」第92回

2024年08月03日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。今週(2024.8.1)掲載されたのは〈業平邸跡に建立と伝承/在原神社(天理市)〉、執筆されたのは同会理事で、安堵町にお住まいの西川年文さんだった。西川さんは「飛鳥地域プロガイド」としても、活躍されている。では、全文を紹介する。

業平邸跡に建立と伝承/在原神社(天理市)
在原(ありわら)神社は天理市北部の櫟本(いちのもと)町に鎮座します。創建には諸説有りますが、880年5月28日に在原業平が病没したため、その邸を寺にして在原寺と号したと伝わります。

後に神社も設けられ、江戸時代には、本堂、庫裏、楼門等があり、在原千軒と称せられるほどにぎわいましたが、明治元年の神仏分離令により在原神社のみとなりました。

ご祭神は、在原業平とその父である阿保(あぼ)親王(第五十一代平城天皇の第一皇子)です。皇統が嵯峨天皇に移ったため業平は826年に兄の行平らと共に臣籍降下し、在原姓を名乗ります。その情熱的な作風の歌により、「六歌仙」に名を連ね、時代を代表する歌の読み手となります。

また業平は、日本最古の歌物語といわれた『伊勢物語』のモデルとも、作者であったとも伝わります。境内には、伊勢物語に登場する「筒井筒の井戸」や謡曲『焉(えん)』に歌われた「夫婦竹」なども見え、文学に長(た)けた業平を偲(しの)ぶことができます。

毎年4月26日に例祭の「業平祭」が行われ、本殿前には祭神の阿保親王像と業平像が祭られ、美男の誉れ高い業平とのご対面がかないます。奇しくも来年2025年は、業平生誕1200年の特別な年を迎え「業平祭」もにぎわうことでしょう。(奈良まほろばソムリエの会理事 西川年文)


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