tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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昭和レトロ食堂でランチしたい!/奈良新聞「明風清音」第28回

2019年10月31日 | 明風清音(奈良新聞)
奈良新聞の随想欄「明風清音」に時々寄稿している。先週(10/24)掲載されたのは「懐旧の昭和大衆食堂」だ。私は昭和レトロな大衆食堂を偏愛している。出先でランチタイムになったときは、自然と昭和レトロ食堂を探している。三丁目の夕日とか、吉本新喜劇に出てくるような食堂である。
※トップ写真は「そば処 更科」(天理本通り商店街)の「天おろしそばとミニマグロ丼のセット」(9/20訪問)

もう20年以上も前になるので、私が40代半ばの頃だ。職場の後輩(30代半ば)を誘って、行きつけの「昭和レトロ食堂」でランチした。帰り道で彼に言われた。「tetsudaさんは、ああいうお店が好きなのですね」「あんたは違うの?」「僕は喫茶店のランチのような食事が好きです」。


写真は日之出食堂(同)の「おぢばセット」(9/21訪問)

先日、50代半ばとなった彼に、このやりとりを引き合いに出して質問した。「今も喫茶店のランチが好きなん?」「いえ、トシのせいか、昭和レトロな大衆食堂が好きになりました」。おお、わが意を得たり!やはり戦後生まれの日本人は、大衆食堂の和食に回帰するのだ。

そんなこともあって、時々出演している奈良テレビ放送の「ゆうドキッ!」のグルメコーナーで紹介しようと、せっせと昭和レトロ食堂を取材している。しかし訪ねてみると、知らないうちにお店がなくなっていて、ガッカリすることも多い…。ではそろそろ記事全文を紹介する。


写真は「つるや」(同)のカツ丼(9/22訪問)

奈良まほろばソムリエの会の会員は9月30日から毎週月曜日と木曜日、奈良テレビ放送の情報番組「ゆうドキッ!」(午後5時58分~)のレギュラーコメンテーターを務めている。冒頭20分の「企画コーナー」では地元の情報通として話をする。月曜は「グルメ」、木曜は「イベント」で、私は月曜の主担当だ。月曜は県内市町村の美味しい飲食店を紹介するという趣向で、これまでに川上村、五條市、大淀町、王寺町と中南和の美味しいお店を紹介してきた。

この時間帯でテレビを見ているのは、主婦のほかにはシニア層だろう。グルメやイベント情報は、アクティブシニアの皆さんの活動にお役立ていただきたいものだ。なおアクティブシニアとは《1947年から49年に生まれた「団塊の世代」を中心とする60~70代のうち、自分なりのこだわりや価値観を持ち、仕事や趣味に意欲的で元気なシニア世代のこと。(中略)具体的には、「戦後教育を受け、高度成長期を経験」、「生涯現役志向が強く、経験豊富」などの条件を満たすシニア世代》(『知恵蔵』)。

私はグルメ情報をこれらシニア層向けに発信している。「65歳の私が美味しいと思うものは、シニア視聴者に共感してもらえるだろう」と思うからで、若い男女や主婦向けの情報は、他の会員に任せている。

私は最近、こんな経験をした。大型商業施設に立ち寄ったついでにランチしようと、フードコートに入った。フロアを2周したが、どうしても食べたいものが見つからない。かといってレストラン街の外食チェーン店には、もとより行く気がしない。結局、少し歩いて馴染みの洋食屋を訪ね、日替わりランチを食べてひと息ついた。そんな経験のあるシニアは多いのではないか。

「俺達おじさんには歌がない」と歌ったのは小沢昭一だったが、私は「食べるところがない」「食べたいものがない」と歌いたい。初めてパンと牛乳の学校給食を経験し、高度成長期には洋食やファーストフードの洗礼を受けた。長年カロリーや油脂の過多を戒められたが、最近は医学的見地から「シニアにも肉食が大切」といわれ、再び肉に回帰している、それが私たちの世代だ。

番組で紹介するため、駅前の昭和レトロな大衆食堂などを下見する。吉本新喜劇によく登場する「花月食堂」のような食堂だ。しかしそこでは「後継者がいなくて困っている」「ウチはあと2年ほどで閉めようと思う」という声を聞く。これは残念なことだ、今のうちにシッカリ食べておかなければ。

生活科学研究グループ(日清オイリオグループ)は2016年に「ミドル・シニアの食生活調査(50代~70代男女対象)」の結果を発表した。それによると▽ミドル・シニアは50%以上が朝食にパン▽5年前に比べて女性60代の「肉を食べる割合」が16ポイント増加▽ミドル・シニアが購入する惣菜のトップは「揚げ物」で70~80%▽60代男性の好きな夕食メニューベスト5は①刺身②カレーライス③焼魚④野菜炒め・肉野菜炒め/煮魚▽60代女性は①焼魚②刺身③焼肉④カレーライス⑤サラダ。

焼肉やカレーライスが入っていることには驚く。設問が「夕食」なので麺類は入っていないが、これらメニューはほぼ昭和レトロ食堂のメニューに一致する。「今度はどこのレトロ食堂を紹介しようか」と、今からワクワクしている。


今週(10/28~11/1)の「ゆうドキッ!」は、30分早く始まり、90分の拡大版で放送している。今夜(10/31)は奈良まほろばソムリエの会の女帝・友松洋之子さんが「秋の行楽スポット ベスト3」、明日(11/1)は美魔女・松永佳緖莉さんが「県内のスイーツ ベスト3」を発表する。皆さん、ぜひご覧ください!


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4 コメント

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出汁の味 (金田充史)
2019-10-31 17:38:39
tetsudaさん、ご無沙汰で申し訳ありません。この記事、気に入りました。

ここで出されている全ての料理のキーワードが、「出汁」だと考えます。この「出汁」ってのが曲者で、鰹節と昆布などを合わせるのですが、上手く出るのも有れば、そうで無いモノも有ります。また、鰹節と一言で言っても、既にブレンドされているモノも有って、店を変えたら、出汁の調整からしないといけない事も出てしまう、非常に厄介なモノでも有ります。

しかしながら、上手く出た出汁は、これは美味いです。イノシン酸とグルタミン酸とが合わさって、これが旨味の素になるのですが、なかなか手間のかかる事でも有ります。その為に、「出汁の素」などを使ってしまいますが、本式で取ったものとは、比較になりません。

ただ、若い時代って、なかなかこの旨味には無関心で、ついつい揚げ物のカロリーが有る食事に走りがちなんですが、海外にしばらく行けば、無性にダシの味に飢えてしまうのが、日本人やと思います。

ただ、今は、チェーン店舗におされるだけではなくて、経営者の高齢化で、手間暇のかかる出汁を取るのが、体力的にムリになった例も多く、京都ですら、廃業例が有る様です。

こういう食堂は、入ってみないと、美味いのがアカンのかがわかりませんから、そこがハードルなんですが、アカンとしても、一食800円程度。チェーン店舗に無い味がそこに有りますし、それをウリにして、県下のこういう食堂のマップなんかも、奈良らしくていいかも知れませんよ。
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昭和レトロ食堂マップ (tetsuda)
2019-11-02 06:05:49
金田さん、お久しぶりです、コメントありがとうございました。

確かにダシですよね、「ゆうドキッ!」で紹介した「道の駅川上」も、昆布と削り節を山のように使っていました。

1つ、思い出すことがあります。4~5年前、京都で昭和レトロなうどん屋さんを見つけ「きつねうどん」を注文しました。そのツユが、よくダシが利いて美味しかったので「奥さん、このおツユ、絶品ですね」と申し上げました。

すると「ありがとうございます。ウチは大阪から出てきて商売しているので、大阪風にダシを取っています。しかしこないだ関東から来た2人の女学生さんが、一口、ツユを飲んで箸を置き、そのままお金を払って出ようとしました。『何か不都合がありましたか?』と聞きますと『ちょっとおツユが』とおっしゃって、驚きました」。

鰹だけでなく鯖や鰯の削り節の利いた美味しいツユが、化学調味料に慣れた若いモンには受け入れられなくなっているのです。以前『美味しんぼ』にも登場した話そのままの実話です。

日本人の伝統的な味覚(ダシを感じる感覚)を取り戻すためにも、レトロ食堂を盛り上げたいです。
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Unknown (パールちゃん)
2019-11-02 07:00:01
お世話になります。
blog楽しく拝読させていただいております。
天理商店街の更科蕎麦は龍笛のお稽古の帰りにお昼をいただきにチョクチョク立ち寄ります。
外食チェーンは入りたくないので《家味》に近い出汁のきいた定食屋さんは好きです。

おかげさまで龍笛、、続いております。
SNSへのコメント誠に有難うございました!!
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天理本通り商店街 (tetsuda)
2019-11-04 11:10:18
パールちゃん、コメントありがとうございました。

> 更科蕎麦は龍笛のお稽古の帰りにお昼をいただきにチョクチョク立ち寄ります。
> 外食チェーンは入りたくないので《家味》に近い出汁のきいた定食屋さんは好きです。

そうでしたか。天理本通り商店街は昭和レトロ食堂のメッカですね。県内でも珍しいのではないでしょうか。

> 龍笛、、続いております。SNSへのコメント誠に有難うございました!!

ますますのご活躍を祈念しています!
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