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養蚕・絹織物ゆかりの神を祭る「比売久波(ひめくわ)神社」(磯城郡川西町)/毎日新聞「やまとの神さま」第90回

2024年07月14日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先週(2024.7.11)掲載されたのは〈蚕飼い 絹織った女神祭る/比売久波神社(川西町)〉、執筆されたのは同会会員で、今回が初の執筆という川端眞知子さんだった。
※トップ写真は、春日造の比売久波神社本殿=川西町唐院で

難しい神社名だが、久波は「桑」なので、養蚕や絹織物に関わる神さまである。同じ町内にあり、寺川の対岸にある糸井神社とも関係する。では、以下に全文を紹介する。

蚕飼い 絹織った女神祭る/比売久波神社(川西町)
比売久波(ひめくわ)神社は、川西町唐院の国史跡・島の山古墳の西側にあります。平安時代の「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に記載のある式内社で、由緒ある神社です。祭神は久波御魂神(くわみたまのかみ)・天八千千姫(あまはちちのひめ)で、古事記や日本書紀に記載の神ではありません。

比売久波の久波とは蚕桑(さんそう)を意味し、古くは桑の葉をご神体としたとの伝承や、天八千千姫は、桑の葉を香具山に植えて蚕を飼い絹を織ったという伝承から、同じ川西町にある糸井神社と共に、養蚕・絹織物の生産に関わる地域であったと考えられています。

檜皮葺(ひわだぶき)一間社春日造の本殿(県指定文化財)は、江戸時代初期に春日大社若宮神社本殿を移されたものと伝わり、現存する春日大社古社殿のうちで最古のものの一つです。

本殿と拝殿の間にある平石は、島の山古墳から持ちだされた石で、後円部頂上の竪穴(たてあな)式石室に使用された天井石であることがわかっています。

江戸時代に唐院村の村人らによって「黄檗(おうばく)版大般若経」が奉納されました。後に建てられた経蔵は近年に倒壊し、大般若経は現在、唐院自治会で保存されています。

本殿西側には「きりんじ」と呼ばれる神宮寺の箕輪寺(みのわでら)がありましたが、今では境内に基壇跡を残すのみとなっています。(奈良まほろばソムリエの会会員 川端 眞知子)

(住 所)磯城郡川西町唐院473
(祭 神)久波御魂神・天八千千姫
(文化財)本殿(春日造、県指定文化財)
(交 通)近鉄結崎駅から徒歩約30分
(拝 観)自由。秋祭りは 10月第2土曜・日曜
(駐車場)なし


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