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信貴山朝護孫子寺の毘沙門天(大和七福八宝めぐり・其の六)

2011年01月05日 | 大和七福八宝めぐり
第5回子嶋寺の大黒天に続く第6弾は、生駒郡平群町信貴山にある朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)の毘沙門天(びしゃもんてん)を紹介する。ここは「信貴山の毘沙門さん」として、広く知られている。何しろ朝護孫子寺本堂のご本尊なのである。同寺の公式HPによると《今から1400余年前、聖徳太子は、物部守屋を討伐せんと河内稲村城へ向かう途中、この山に至りました。太子が戦勝の祈願をするや、天空遥かに毘沙門天王が出現され、必勝の秘法を授かりました。その日は奇しくも寅年、寅日、寅の刻でありました。太子はその御加護で勝利し、自ら天王の御尊像を刻み伽藍を創建、信ずべし貴ぶべき山『信貴山』と名付けました。以来、信貴山の毘沙門天王は寅に縁のある神として信仰されています》。



画像は「筆まめver.8」より

《醍醐天皇の御病気のため、勅命により命蓮上人が毘沙門天王に病気平癒の祈願をいたしました。加持感応空なしからず天皇の御病気は、たちまちにして癒えました。よって天皇、朝廟安穏・守護国土・子孫長久の祈願所として「朝護孫子寺」の勅号を賜ることとなりました(=910年)。また、朝護孫子寺は、「信貴山寺」とも呼ばれ、多くの方に親しまれています》。


写真はすべて04.11.7の撮影

このお寺で有名なのが、国宝「信貴山縁起絵巻」である。Wikipedia「朝護孫子寺」によると《紙本著色信貴山縁起絵巻 平安中期に信貴山で修行した命蓮上人に関する説話を描く。山崎長者の巻、延喜加持の巻、尼公の巻の3巻からなる絵巻で、作者は不明ながら、人物の表情や躍動感を軽妙な筆致で描いた絵巻の一大傑作である。(原本は奈良国立博物館に寄託、霊宝館では複製を展示している。国宝は年に一度、一巻を公開)》 。



ぜひお参りしたいのが「経蔵堂」である。お寺のHPには《当山の経蔵堂は、中央に回転できる経厨子があり、中に仏教のあらゆる法門の経典を集めた「一切経」を納めてあります。その経厨子は、一回転させる毎に「一切経」をすべて読誦したのと同じ功徳があると言われています。皆様も、家内安全、身体健全、商売繁盛などの諸願成就を念じ、経厨子を右廻りに回してその功徳を授かって頂くことをお勧めいたします。また四面の壁面上部の彫刻は、印度から中国、日本への仏教の伝来の様子が説明してあり、一見の価値があります》とある。



さて、毘沙門天さまである。多聞天とも呼ばれ、悪を懲らしめ仏法を守護する存在で、悪を退散させる力が貧乏神を追い払い、財を呼びこむとされる。また幸福の象徴・吉祥天を妻(or妹)としているところから福の神とされ、知恵・開運・出世にご利益がある。お寺のHPによると《大和国信貴山は毘沙門天王が日本で最初に御出現になった霊地で、毘沙門天王の総本山です。毘沙門天王は七福神のなかでも、商売繁盛、金運如意、開運招福、心願成就の得を最も厚く授けてくださる福の神です》。



画像は「楽々はがき2009」より

《信貴山毘沙門天王の、ご尊体に鎧兜を召されておられるのは、世の中のあらゆる邪魔者を退散してやるというお姿で、見るからに恐ろしそうな尊顔は、心を強く持って、どんな苦しい困難に出会っても、がまん強い精神で何事も行なえということを教えておられるのです。また、右手に如意宝珠の棒を持っておられるのは、心ある者には、金銭財宝を意のままに授けて、商売繁盛させてやるぞとの思し召し、左手の宝塔は、この中に充満する福を、信ずる者の願いに任せて与えてやるとの福徳の御印です》。


中央が、「銅造毘沙門天立像」(平安時代後期)。西域に起源を持つ
「兜抜昆沙門天」の特徴を備える。奈良県指定文化財(画像はお寺のHPより)

開運招福にご利益のある毘沙門天さまにちなんで、山門前には「開運橋」というネーミングの現存最古の「近代化遺産」がある。開運橋は全長106mの鋼製橋である。山と渓谷社刊『奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック』によると《親柱には「昭和6年12月竣工」と刻まれている。橋の形式は「上路カンチレバー橋」といい、他の例として長野県佐久市の千曲川に架かる昭和7年(1932)完成の「中津橋」がある。戦前の上路カンチレバー橋はほとんど例が無く、同形式としては最古の現存例である》。ここから眺める景色もいい。特に紅葉の季節はおススメだ。



昨年は寅年だったので、このお寺で賑やかに「平城遷都1300年祭 カウントダウン&オープニングイベント」(09.12.31~00.1.1)が行われ、荒井知事も寒さに震えながら挨拶されていた。卯年の今年は、そんなに混雑することもなさそうなので、安心して開運招福の毘沙門天さまをお参りいただきたい。

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3 コメント

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初詣は大吉・・・ (エヌ)
2011-01-05 20:38:44
ポスト1300年tetsuda企画第1号は七福八宝巡り、これはいいですね。手軽に回れて、楽しくて、その上ご利益もありそうで・・・いつもながらのアイディアと企画力、上手な写真等感心いたします。ソムリエ検定直前で叱られそうですが、今年の初詣は少し遠出して、那智熊野大社、熊野本宮に行きました。おみくじは大吉でしたが、試験も大吉になるか不安です・・・帰りは十津川越え、雪も大丈夫でした。
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絵巻 (あをによし南都)
2011-01-05 22:36:35
国宝「信貴山縁起絵巻」は最高に面白いですね。
この絵巻に描かれている東大寺大仏殿はまさに必見かと。
現地はできれば境内にある信貴山城跡にも脚を伸ばしたいところです。
あの眺望素晴らしい懸造りの本堂は実は再建だそうですが焼失前の写真を見たことがなく、どんな形だったのか興味深いところです。
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大和七福八宝めぐりはお薦め! (tetsuda)
2011-01-06 06:56:51
N先輩、あをによし南都さん、コメント有り難うございました。

> これはいいですね。手軽に回れて、楽しくて、その上ご利益もありそうで…
> いつもながらのアイディアと企画力、上手な写真等感心いたします。

恐縮です。四国巡礼の途中で思いついたものですが、調べれば調べるほど、深いです。やはり、1月の七福八宝めぐりが人気だそうです。

> おみくじは大吉でしたが、試験も大吉になるか不安です…

それは春から縁起がいいです。頑張って下さい!

> この絵巻に描かれている東大寺大仏殿はまさに必見かと。

これは平家に焼かれる前の、唯一の貴重な資料です。

> 眺望素晴らしい懸造りの本堂は実は再建だそうです

昭和33年の再建で、新しいものですね。焼き討ちにあったりしましたが、当初のものはどんなのだったか、知りたいものです。
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