週刊奈良日日新聞に毎月第4金曜日に連載している「奈良ものろーぐ」、先月(11/23付)は森と水の源流館と、尾上事務局長を紹介させていただいた。源流館の活動は、今になって騒がれているSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)を16年も前に先取りした活動であり、これは素晴らしいことだと思っている。
※写真はいずれも、館内を案内する尾上事務局長(10/27)
その基本コンセプトは、以下の「川上宣言」によく現れている。文字数の関係で記事では紹介できなかったので、ここに紹介しておく。
※12/26(水)の奈良新聞でこれまでの活動が大きく紹介されます、ぜひご覧ください!
■私たち川上は、かけがえのない水がつくられる場に暮らす者として、下流にはいつもきれいな水を流します。
■私たち川上は、自然と一体となった産業を育んで山と水を守り、都市にはない豊かな生活を築きます。
■私たち川上は、都市や平野部の人たちにも、川上の豊かな自然の価値に触れ合ってもらえるような仕組みづくりに励みます。
■私たち川上は、これから育つ子ども達が、自然の生命の躍動にすなおに感動できるような場をつくります。
■私たち川上は、川上における自然とのつきあいが、地球環境に対する人類の働きかけの、すばらしい見本になるよう努めます。
いかがだろう。まさにSDGsのお手本のような「宣言」ではないか。このような活動を牽引してこられたのが尾上事務局長である。最後に、記事全文を紹介しておく。
奈良ものろーぐ(32)
森と水の源流館16年/『環境白書』に活動紹介
「森と水の源流館」(吉野郡川上村宮の平)は、吉野川の水源地にある川上村の自然環境や、それらをとりまく人々の歴史・文化が学べる体験学習施設である。運営は、公益財団法人「吉野川紀の川源流物語」だ。同館は「3つの役割」を掲げている。「①源流の自然、水源地を守ることの大切さをわかりやすく伝えます。②地球環境問題・水資源問題を『水源地』の視点から考えます。③本当の森や水の『楽しさ』を分かち合う交流の輪を広げます」。
川上村は、吉野川の源流にある三之公(さんのこ)川流域に生い茂る天然林が伐採の危機にあると知り、山主から約740haを購入、「水源地の森」として保全している。詳しい生態系調査を進める一方で、森林学習の場として同館の主催で「水源地の森ツアー」を実施している。このツアーは「奈良まほろばソムリエ検定」(奈良商工会議所主催)で2級合格者が1級受験時の要件となる「体験学習プログラム」に組み込まれているので、私も早くに参加した。
アニメ映画「となりのトトロ」に出てきそうな鬱蒼(うっそう)とした川沿いの森を歩くツアーで、終着点につくとパーッと視界が広がる。トチ、サワグルミ、シオジなどの巨樹が川を囲み、その間に苔むした巨石がごろりと横たわる。何だか縄文人のような気持ちにひたりながら、美味しく弁当をいただいた。
同館の様々な冊子類やイベントを企画するのが事務局長の尾上忠大(ただお)さん(54)だ。神戸市のご出身ながら、川上村に魅せられてこの仕事につかれた。文筆やデザイン、トークはもとより、最近は作詞も手がける才人である。その尾上さんからメールをいただいた。同館が手がける「紀の川じるし」が、環境省が主催する「グッドライフアワード」において平成28年度の環境大臣特別賞を受賞、30年版の『環境白書』では「地域循環共生圏の創出に向けた地域間の交流・連携」の好事例として取り上げられたのである。
同白書には、水源地の森の保全活動とともに「吉野川・紀の川流域をひとつの『商店街』に見立て、川の流れがもたらす地域の『恵み』をブランド化し、地域を元気にして、水源の森を守り、流域の環境を守る意識を広げるため、2015年に林業、農業、漁業のキーパーソンとともに『紀の川じるし』というブランドを立ち上げました」と紹介されている。
地方圏では人口減少と高齢化が進み、財政力も乏しい。しかし都市圏は食料、水、木材といった資源やエネルギーの多くを地方圏から得ている。都市圏の人々はこのことを忘れているのではないか。持続可能な社会をつくりあげるためには、これら地域の間で自然や経済、人的なつながりを強化し、支えあうことで地域の活性化を図らねばならない。
「紀の川じるし」は1本の川による森、里、海のつながりを流域の産品で「見える化」したユニークな取り組みである。源流館さん、尾上さん、これからも水源地の思いを全国に発信し続けてください。
※写真はいずれも、館内を案内する尾上事務局長(10/27)
その基本コンセプトは、以下の「川上宣言」によく現れている。文字数の関係で記事では紹介できなかったので、ここに紹介しておく。
※12/26(水)の奈良新聞でこれまでの活動が大きく紹介されます、ぜひご覧ください!
■私たち川上は、かけがえのない水がつくられる場に暮らす者として、下流にはいつもきれいな水を流します。
■私たち川上は、自然と一体となった産業を育んで山と水を守り、都市にはない豊かな生活を築きます。
■私たち川上は、都市や平野部の人たちにも、川上の豊かな自然の価値に触れ合ってもらえるような仕組みづくりに励みます。
■私たち川上は、これから育つ子ども達が、自然の生命の躍動にすなおに感動できるような場をつくります。
■私たち川上は、川上における自然とのつきあいが、地球環境に対する人類の働きかけの、すばらしい見本になるよう努めます。
いかがだろう。まさにSDGsのお手本のような「宣言」ではないか。このような活動を牽引してこられたのが尾上事務局長である。最後に、記事全文を紹介しておく。
奈良ものろーぐ(32)
森と水の源流館16年/『環境白書』に活動紹介
「森と水の源流館」(吉野郡川上村宮の平)は、吉野川の水源地にある川上村の自然環境や、それらをとりまく人々の歴史・文化が学べる体験学習施設である。運営は、公益財団法人「吉野川紀の川源流物語」だ。同館は「3つの役割」を掲げている。「①源流の自然、水源地を守ることの大切さをわかりやすく伝えます。②地球環境問題・水資源問題を『水源地』の視点から考えます。③本当の森や水の『楽しさ』を分かち合う交流の輪を広げます」。
川上村は、吉野川の源流にある三之公(さんのこ)川流域に生い茂る天然林が伐採の危機にあると知り、山主から約740haを購入、「水源地の森」として保全している。詳しい生態系調査を進める一方で、森林学習の場として同館の主催で「水源地の森ツアー」を実施している。このツアーは「奈良まほろばソムリエ検定」(奈良商工会議所主催)で2級合格者が1級受験時の要件となる「体験学習プログラム」に組み込まれているので、私も早くに参加した。
アニメ映画「となりのトトロ」に出てきそうな鬱蒼(うっそう)とした川沿いの森を歩くツアーで、終着点につくとパーッと視界が広がる。トチ、サワグルミ、シオジなどの巨樹が川を囲み、その間に苔むした巨石がごろりと横たわる。何だか縄文人のような気持ちにひたりながら、美味しく弁当をいただいた。
同館の様々な冊子類やイベントを企画するのが事務局長の尾上忠大(ただお)さん(54)だ。神戸市のご出身ながら、川上村に魅せられてこの仕事につかれた。文筆やデザイン、トークはもとより、最近は作詞も手がける才人である。その尾上さんからメールをいただいた。同館が手がける「紀の川じるし」が、環境省が主催する「グッドライフアワード」において平成28年度の環境大臣特別賞を受賞、30年版の『環境白書』では「地域循環共生圏の創出に向けた地域間の交流・連携」の好事例として取り上げられたのである。
同白書には、水源地の森の保全活動とともに「吉野川・紀の川流域をひとつの『商店街』に見立て、川の流れがもたらす地域の『恵み』をブランド化し、地域を元気にして、水源の森を守り、流域の環境を守る意識を広げるため、2015年に林業、農業、漁業のキーパーソンとともに『紀の川じるし』というブランドを立ち上げました」と紹介されている。
地方圏では人口減少と高齢化が進み、財政力も乏しい。しかし都市圏は食料、水、木材といった資源やエネルギーの多くを地方圏から得ている。都市圏の人々はこのことを忘れているのではないか。持続可能な社会をつくりあげるためには、これら地域の間で自然や経済、人的なつながりを強化し、支えあうことで地域の活性化を図らねばならない。
「紀の川じるし」は1本の川による森、里、海のつながりを流域の産品で「見える化」したユニークな取り組みである。源流館さん、尾上さん、これからも水源地の思いを全国に発信し続けてください。
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