tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

九度山町の楽市楽座&コスプレ冬の陣、10月27日(日)開催!(2013Topic)

2013年10月22日 | 九度山町
九度山町(和歌山県伊都郡)で、「九度山町 楽市楽座」と「九度山コスプレ冬の陣」というイベントが10月27日(日)11:00~17:00に開催される。WBS和歌山放送ニュースによると、

戦国武将・真田幸村(さなだ・ゆきむら)ゆかりの九度山町(くどやまちょう)で、今月(10月)27日、「九度山まちなか楽市楽座」と銘打ち、戦国武将に思いをはせながら中世の自由空間を体験できる街歩きイベントが開かれます。これは、九度山町のほか、和歌山県や南海電鉄、九度山町商工会などで構成する「九度山町まちなか活性化協議会」が観光庁の助成を受けて初めて開くものです。

イベントは、真田庵(さなだあん)や松山常次郎(まつやま・つねじろう)記念館といった歴史にまつわる施設や、昔ながらの古い町並みの残る中心部が舞台となり、午前11時から午後4時にかけて、有料で、「六文銭」の旗印で有名な真田幸村・昌幸(まさゆき)親子や真田十勇士などに扮し、甲冑(かっちゅう)など時代衣装を身につけて写真撮影が出来る「九度山コスプレ 冬の陣」が行われます。



また、真田庵では午後0時45分から、幸村の子孫で真田家14世当主・真田徹(さなだ・とおる)さんによる講演「幸村講座 真田幸村と九度山」が開かれ、無料で参加できます。このほかにも、柿の葉寿司や和菓子、富有柿(ふゆうがき)の加工品といった特産品販売コーナーや、干し柿作り体験コーナー、スタンプラリーなどもあり、中世の自由市場を現代で体験できるようになっています。

「九度山まちなか楽市楽座」は、今月27日の午前11時から午後5時まで、九度山町の中心部で行われます。当日は駐車スペースに限りがあるため、南海高野線の九度山駅を利用すると便利です。


この情報は、九度山町まちなか活性化協議会のHPにも出ていて、パンフレットもダウンロードできる(楽市楽座は、こちら。コスプレは、こちら)。ほかにも、このイベントを訪ねるツアー(JTB和歌山支店)も行われる(日帰りまたは1泊)。



川の少ない奈良盆地に住んでいると、紀伊山地の山並みと、紀ノ川およびその支流が独特の景観をかたちづくっている九度山に帰省すると、ホッとした気分になる。

司馬遼太郎は「高野山みち」(『街道をゆく』)で《九度山橋という長い橋が、紀ノ川に渡されている。北から南へこの橋をわたるべくさしかかった前面の風景いうのは、右が、はるか奥の高野山につながる尾根が、尾根のまま降下してきて麓で慈尊院の森をなし、左が、ひくい丘陵上に九度山集落のいらかの群れをあかるく盛りあげていて、丘と川を好む中世ヨーロッパの小さな都市国家を思わせる。紀ノ川十景というものがあるとすれば当然入っていい景観であろう》と評している。

中世ヨーロッパの都市国家を思わせるこの町で、毎年4月1日~5月5日にかけて、「町家の人形めぐり」が行われる。この期間中、町は訪れる人で賑わうが、そのほかの季節はひっそりと静まりかえっている。そろそろ、九度山名物の柿も出回る頃である(ちょうど合わせ柿のシーズン)。今回のイベントで、「秋の九度山」を大いに盛り上げていただきたい。

九度山町まちなか活性化協議会さん、頑張って!





コメント (2)
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東京でそばを食す by 坂崎仁紀著『ちょっとそばでも』(その壱)

2013年10月22日 | ブック・レビュー
坂崎仁紀(さかざき・よしのり)著『ちょっと そばでも 大衆そば・立ち食いそばの系譜』(廣済堂出版 9/5発行)1,000円を読んだ。これは快著だ! 読むと無性に東京の立ち食いそば屋を回りたくなる。

本書によれば著者の坂崎さんは《1959年、神奈川県生まれ。大衆そば・立ち食いそば研究家。コラムニスト。東京理科大学薬学部卒。薬剤師資格を持ち、医療関係の出版・医療IT関係の業務を行う。その傍ら平日の昼は35年以上、大衆そば・立ち食いそばを食べ歩き、情報を収集・記録しながら自身の体で大衆そばの有効性に関する超長期追跡試験を実施中》。

LAWSONネットショップの本書サイトによると
内容詳細
日本のファストフードの歴史を探り、今を味わう。一杯のどんぶりに映る大衆そば・立ち食いそばの小宇宙。東京を中心とした100軒の名店をマップ・写真つきで紹介。

目  次
序章 大衆そば?立ち食いそば?(「大衆そば」の定義/ 椅子があるのになぜ「立ち食い」なのか? ほか)
第1章 庶民の味方、その誕生と変遷(立ち食いそばのルーツ/ 基礎ができた明治時代 ほか)
第2章 大衆・立ち食い考現学(記憶に残る昭和の名店/ 系統別分類12種 ほか)
第3章 早い、うまい、毎日食べたい62店(神田「神田そば」/ 馬喰町「そば千」 ほか)
第4章 メニュー・製法にこだわりを持つ32店(神田「めんや」/ 水道橋「とんがらし」 ほか)
第5章 大衆そばを超える6店(三越前他「そばよし」/ 人形町「堀留屋」 ほか)


 ちょっとそばでも 大衆そば・立ち食いそばの系譜
 坂崎仁紀
 廣済堂出版

エッセイストの平松洋子さんが読売新聞(10/7付)の「本よみうり堂」で、愛情あふれる書評を寄せておられる。見出しは「立ち食い店への愛と誠」。

気分は、さりげなく「ちょっとそばでも」。とはいえ、著者は中学生のときから三十五年以上、ほぼ毎日「大衆そば・立ち食いそば」を食べ続けてきたつわものである。本書が紹介するのは、東京近辺の個人経営店を中心に百軒。筋金入りの経験に裏打ちされた百軒の内訳は「早い、うまい、毎日食べたい62店」「メニュー・製法にこだわりを持つ32店」「大衆そばを超える6店」。全編しずかに、しかし沸々(ふつふつ)と「ファストそば」への愛と誠がみなぎる。

そもそも、ひとりの著者による店選びは独断の匙(さじ)かげんが味わいどころ。偏愛や好悪の感情をむやみに持ちこまず、成熟した価値観を提示できるかどうか、それが読みごたえの肝だ。本書は、地に足のついた客観的な筆致に清貧を尊ぶ気風さえ感じさせ、風通しがいい。立ち食いそばを愛するひとは、おとななんだな。

百円玉数枚、簡単な一杯にみえるけれど、読むほどに、じつは手間ひまかかった奥の深い世界だとわかってくる。考現学的な視点にもとづく十二の分類は、「街中系・鉄道系・門前系・街道系・工場地帯系・娯楽系・ギャンブル系・建築工事系・波止場ターミナル系・公的機関系・公園系・頂上系」。波止場や山頂のそばまで視野に入れるとは、さすがシブい。

飄々(ひょうひょう)とした楽しみっぷりがうらやましくなり、わたしも一軒、目星をつけて訪ねてみた。水道橋「とんがらし」。昼どき、お客は引きも切らず、みなの顔に「ここが好きだ」と書いてある。わたしは本気で感動しました。きりっと辛めのつゆ。揚げたて、さくさくの熱い天ぷら。壁にずらっと貼った短冊は親身で敷居が低く、老齢のご夫婦のチームワークにもぐっとくる。「立ち食いそばのすばらしさを再確認させてくれる名店」の言葉の意味に、感じ入った。大衆そば・立ち食いそばは、路傍に咲くささやかな草花。人知れず消えていった店は数知れずと書かれており、またあわててページを繰る。

「清貧を尊ぶ気風さえ感じさせ、風通しがいい。立ち食いそばを愛するひとは、おとななんだな」というコメントが光る。私はこれまで上京するたび、蕎麦の老舗や名店を訪ねた。美味しいのだが、「このボリュームでこの値段?」と首を傾(かし)げることが多かったことも事実である。その疑問を「そばの適量」というブログ記事に書いたこともある。

糸井重里の名コピー「想像力と数百円」(新潮文庫)ではないが、ワンコイン(500円)以下で味わえる美味しい「ファスト蕎麦」は、有り難い存在である。平松さんが本書をもとに訪ねたのは1軒だけだそうだが、私は上京の機会を利用して、4軒訪ねた。以下に紹介する。

Ⅰ.「岩本町スタンドそば」千代田区岩本町3-10-8(JR秋葉原駅から徒歩5分)
JR秋葉原駅から南東に歩き、神田川を渡ってすぐの場所にある。都営新宿線岩本町駅からだと、北へ徒歩3分。本書には《暑くなると、この店のそばをなぜか食べに行きたくなるのだ。神田川に「岩本町スタンドそば」はよく似合う。都会の殺伐とした雰囲気を癒す人情の架け橋みたいな店にも思えてくる》とある。なお「スタンドそば」とは、立ち食い蕎麦のことではなく《つゆの味が濃くて、カウンターの上のショーケースにたくさんの天ぷらが並んだスタイルの店》のことなのだそうだ。


岩本町スタンドそば。看板は出ていないので、ご注意を

神田川を渡って「岩本町スタンドそば」の看板を探したが、どこにも出ていない。しかし地図の場所に本書の写真と同じ店があったので、ここだろうと見当をつけて入ったところ、やはり正解だった。間口は狭いが、鰻の寝床のように奥行きは深い。本書おすすめの「かき揚げそば」350円(茹で麺使用)を注文。出てきたのが写真の蕎麦である。酒仙堂さんなら卒倒しそうなまっ黒ツユの上に、デンとかき揚げが載っている。食べてみたところ、鰹ダシもよく利いているが、関西人の私にはやはりツユの「醤油辛さ」が気になる。


関西人震撼!まっ黒ツユ。ネギはぶつ切りの白ネギ

本書には《つゆが黒く濃い。だが、しょっぱいことはなく出汁もよく利いている。宗田節なども使っており、香りがよく、濃い返し(醤油に砂糖・みりんなどを加えたもの)に負けていない。一度このつゆを飲んでしまうと、どうしてもまた食べにきたくなってしまう禁断のつゆなのだ》とあり、やはり感覚が違う。隣の人(作業着を着た大柄な青年)は、うどんと丼物のセットを食べていた。うどんも同じまっ黒ツユで、しかも薬味にワサビ!がついていて、これを混ぜて食べていた。思わず「それ、美味しいの?」と聞きたくなった。


小諸そば三越前店で。「当店のうどんつゆは、関西風にしております」とある

なお以前「カップ麺・東西比較」というブログ記事でも書いたが、讃岐うどんブーム以来、東京でも関西風のあっさりツユを提供する店が増えている。写真は小諸そば三越前店の店頭メニューだが「当店のうどんつゆは、関西風にしております」と明記されている。やはりうどんツユは、あっさり関西風がいい。

Ⅱ.「新角(しんかど)」千代田区丸の内3-6-1(JR有楽町駅北出口から徒歩1分)
JR有楽町駅のガード下、東京メトロ有楽町駅A5出口の目の前である。大衆そば屋・立ち食いそば屋は、駅に近いのが有り難い。入口の自動販売機で食券を買い、奥で丼を受け取ってカウンターに移る、というスタイルである。注文したのは本書おすすめの「コロッケそば」370円(茹で麺使用)。


ガード下の雰囲気が漂う

「かけ蕎麦にコロッケが合うのだろうか」と不安だったが、これが意外とよく合う。甘口のツユも「岩本町スタンドそば」ほどに辛くはなく、あまり抵抗なく食べられた。


コロッケそば。見た目はナンだが、意外と合う。白ネギもたっぷり

本書には《そばつゆは、赤く醤油の利いた甘めのいわゆる関東風の甘汁で、「大船軒」や「日栄軒」のそれに近く、哀愁をそそる味である》とある。ここではラーメンもあり、周囲のお客はラーメンに蕎麦の具をトッピングして食べていた。



まぁ、しかし東京から大和西大寺駅まで戻ると反動で、無性に「関西風」のかけ蕎麦が食べたくなった。ついフラフラと駅ナカの「二条庵」に入り、「にしんそば」400円をすすってしまった。ふ~、やはりこちらが落ち着く。そういえば、東京でにしん蕎麦(発祥は京都の「松葉」)は見たことがない。


大きな身欠きニシンが載った二条庵の「にしんそば」400円。ツユは関西風の薄味、青ネギもたっぷり

Ⅲ.「みのがさ」千代田区神田和泉町1-3-2(JR秋葉原駅昭和通り出口から徒歩3分)
「かけ蕎麦」だとツユの濃い味がきわ立ち、肝心の麺の味が分からないので、「ざる蕎麦」をいただくことに方針を転換した。向かったのはJR秋葉原駅から北東へ徒歩3分の「みのがさ」。周辺にはたくさんのファスト蕎麦の店がある。秋葉原周辺は激戦区なのだ。


みのがさ。秋葉原の大通りに面している(大通りの地下は、東京メトロ日比谷線)

店の貼り紙によると、信州・戸隠の新蕎麦を使っているとのこと。これは期待が持てる。そこで本書お薦めの「いかげそ天そば(冷)」450円(生麺使用)を注文。「ツユはかけますか、別にしますか?」と聞かれたので「別にしてください」とお願いした。東京では冷たいツユをかけた「冷かけそば」もあるのだが、やはりツユは別がいい。



しばらく待って、出来上がり。蕎麦はゆでたて、げそ天も揚げてからさほど時間が経っていない。おお、これはうまい。麺はつなぎが多いのだろうか、ややもっちりした食感だが、この値段なら納得だ(ちなみに「もりそば」は300円!)。げそ天はあまり関西では見かけないが、イカのゲソがたっぷり入っていて、これはイケる。やはり関西人には東京の「かけ蕎麦」系は上級編で、「もり蕎麦」「ざる蕎麦」系から攻めるのが良さそうだ。


これがげそ天。イカゲソたっぷり

なお本書には「いかげそ天そば」の美味しい店として、「六文そば」を紹介していた。「どちらが美味しいか比べてみよう」と、「六文そば三越前店」を訪ねたが、9月いっぱいで閉店していた。マクドナルドの業績悪化が話題になっているが、ファスト蕎麦もマクド同様、コンビニにお客を奪われているのだろうか。

Ⅳ.「あきば」台東区台東1-10-3(JR秋葉原駅昭和通り出口から徒歩5分)
「みのがさ」から1~2分、北へ行ったところに「あきば」がある。店に入ると、左手に麺打ち台と製麺機があった。ここで麺を打っているのだ。本書には《大将に聞くと、そばは同割(小麦粉と5:5)で機械でこね、さらに手ごねで仕上げてコシを出しているそうだ。そば粉は常陸の上物というから納得である》。



ここでは本書お薦めの「ぶっかけそば(冷)」500円(生麺使用)を注文。トッピングはちりめんじゃこ、花がつお、白ネギと、関西ではあまりお目にかからない具が載っている。食べてみると、おお、これはうまい。とりわけ麺がいい。これで同割(小麦粉と5:5)とは信じられない。今回紹介した4ヵ店のなかでは、出色である。




トッピングは、ちりめんじゃこ、花がつお、白ネギ、ワカメ、キュウリ、天かす

本書には《大将はミシュランで1つ星を獲得したそば屋で修業したのち、駒込で「いし月」という手打ちそばの店を経営していたそうである。うまいのも当然である。ファストスタイルで店を出してみると、経営的に新たな視点で見る必要もあり、学ぶことも多いという》。



実は、上記Ⅰ~Ⅲの店は「第3章 早い、うまい、毎日食べたい62店」の掲載店であり、Ⅳの「あきば」だけが「第5章 大衆そばを超える6店」に載っていた。やはり「格」が違ったのだ。

それにしても、楽しい「東京ファスト蕎麦屋めぐり」だった。これからも上京の都度、本書を片手に残る96ヵ店を訪ねなければ…。
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