tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

柿の葉すし本舗たなかの田中修司さんが、人生あおによし(朝日新聞)に登場!

2012年03月30日 | 奈良にこだわる
朝日新聞奈良版の名物コーナー「人生あおによし」では、矢部次郎さん(サッカー・奈良クラブ)に続き、柿の葉すし本舗たなか相談役の田中修司さんが登場されている(3/25から全27回の連載)。同欄の初回(3/25)に掲載されたプロフィールには《1930年、五條市生まれ。「柿の葉すし」を商品化し、全国に販路を広げた。市立五條文化博物館や藤岡家住宅を管理するNPO法人「うちのの館」理事長として、まちづくりや文化活動にも取り組む。2007年に旭日双光章を受章。10年、五條市名誉市民に選ばれた。同年、県民に元気や感動を与えた人をたたえる「第1回あしたのなら表彰」を受ける。同市在住》とある。


「なら本店」(オープン日の2011.10.11に撮影)。田中さんは終日店先に立ち、お客さまを迎えておられた

株式会社柿の葉すし本舗たなかの創業者であるばかりではなく、大和の伝統食であり、自宅で手作りされていた「柿の葉すし」を商品化し、年間を通して大々的に売り出されたパイオニアである。初回の記事を抜粋すると《吉野川筋の食 後世へ》《「たなか」は昨年10月、近鉄奈良駅近くの東向商店街に念願の「なら本店」をオープンしました。今でこそ県内外に直営30店舗、取り扱い20店舗となりましたが、専門店化を目指した当初は「家で作れるものが商売になるのか」といぶかられていました。もともと、柿の葉すしは7月24日の夏祭りに食べるものでした》。


「なら本店」の店内(11.10.11撮影)。場所は東向商店街の入口(もと三笠饅頭のあったところ)

《熊野灘でとれたサバは塩漬けにされ、川舟に積み込まれ、紀の川をさかのぼって吉野川筋の村々まで運ばれてきました(紀の川は、五條に入ると吉野川と名を変えます)。塩辛いサバを薄い切り身にして握り飯の上に載せ、庭の柿の葉で包み、木桶に詰めます。ふたの上に重石(おもし)を載せ、一晩寝かせると塩辛さが抜け、柿の葉の香りがご飯になじんでまろやかな味に熟成するのです》。

私の母は大淀町(吉野郡)の生まれ、祖母(父の母)は五條市の生まれである。吉野川筋では夏祭りや川開きの時期に、自宅で柿の葉すしを作ったようだ。私の生まれた紀ノ川筋の九度山町(和歌山県伊都郡)でも柿の葉すしを作るが、時期は秋祭りの頃であった。県境をまたぐと微妙に変化するのである。「関西では一家に1個、たこ焼き器がある」といわれるが、吉野川・紀ノ川筋では、一家に1組、すし桶(木製の枠・蓋と重石)がある。


「おすしあらかると 吸物付」1,050円。美味しくて、お腹がいっぱいになる(11.12.5撮影)

《元来、夏の時期の家庭料理ですから、年間を通した販売のためには葉を緑色のまま保存できなければなりません。これが最初の試練でした》。同欄「その5」(3/29付)に、この続きが載っている。《高菜を使っためはりずしのように、色を保つには塩漬けがいいだろうと塩に漬けてみましたが、漬けもののようにくすんだ色に変わってしまいます》《試行錯誤を重ねるうちに、ポイントがつかめてきました。1つは塩に漬ける時期、もう1つは温度管理。今でも「どうしてこんなにきれいな色が保てるのですか」と不思議がられます。詳しいことは企業秘密です》。


店の奥にあるイートイン・スペース(11.12.5撮影)

田中さんの生家は、うどん屋を営んでおられた。「その4」(3/28付)によると《祖父も父も、もともとは大工の棟梁でした。祖母や母は、国鉄五条駅前でうどん屋を営んでいました》《学制が中学から新制高校に変わるちょうど端境期に、五條中を卒業しました。役場近くの料亭「明月」の板場での修業を経て、家業のうどん屋を継ぎました》。

田中さんにお会いすると、いつも「野武士のような人だな」と感じる。お身体は筋肉質できりりと引き締まり、とても81歳とは思えない。言葉数は多くなく、必要なことだけをゆっくりと、きちんと話される。ご自身が創業された会社からは身を引き、今は世のため人のため、懸命に社会貢献活動に取り組まれる…。その裡には、ご尊父の教えがあった。「その4」によると《父は、とにかく相手の立場を考える優しい人でした。これは、特に母から言われたことですが、子どもの頃は常々「人に得を取らせて、自分は損を取れ」と教えられてきました。掃除の時は、ほうきを持って楽をする者が一番あかん。競争でも、人に先に行かせて後から追いかけなさい。追いつこうとする馬力が、追い抜く力に変わるのだから――。今でも信条になっています》。

連載はまだ始まったばかりであるが、続きが楽しみである。皆さん、ぜひ「人生あおによし」をお読みください!

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