tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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サムライ・レスラーを自覚せよ

2006年07月17日 | 日々是雑感
土曜日(7/15)の露鵬の乱暴狼藉(ろうぜき)には失望した。翌朝の新聞の見出しは「露鵬 土俵外大暴れ」(06.7.16 産経新聞)だった。

大関・千代大海との取組終了後、露鵬は風呂場のぶ厚いガラスを右の拳でたたき割って血を流した。風呂から上り事情を聞かれた審判部の部屋から出たとき、露鵬はカメラマンに取り囲まれ、「撮るな」と叫んで毎日新聞と中日新聞のカメラマンの頭部などに張り手を見舞った。毎日のカメラマンは、顔面打撲で4日間の休業加療を要するとされた。

私は、発端となったこの日の取組はニュースで見たのだが、まだご覧になっていない方は、YouTubeでどうぞ。※千代大海と露鵬の取組(7/15)
http://www.youtube.com/watch?v=MCvS3Haj8hw&search=

千代大海が土俵の外で、露鵬に何か言っているのがわかる。露鵬は「大関に『何だオラー』といわれて、キレてしまった」(産経新聞)と語る。露鵬を挑発した大関も「満員のお客さんの前で、非常に申し訳ないことをした」(同)と陳謝した。

露鵬は、3日間の出場停止という処分を受けた。処分の受け止め方は様々だろうが、顔面打撲を負った毎日の記者が被害届を出せば、刑事事件で立件されるケースだ。処分が下される前に露鵬は出場を自粛すべきだったろうし、師匠(元関脇・貴闘力)はその旨忠告すべきだった。

髷(まげ)を結った力士は、「士」(サムライ)である。英語でも、samurai wrestler(またはsumo wrestler)だ。ロシアにも「コサック魂」という「士魂」がある。

私は以前、『JanJan』やこのブログに、武士道のことを書いたことがある。
※『武士道』に学ぶもの(7/8 JanJan)
http://www.janjan.jp/culture/0607/0607077438/1.php
※新渡戸稲造著『武士道』の要点整理(6/5)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/d37b97b8676d8c2be032062a79a8dbd7

武士は自らの品性を高めることを求められ、また礼儀を重んじた。新渡戸も、礼法を通じて人は高い精神的境地に達することができる(礼儀正しさ『武士道』第6章)と説いたが、「礼に始まって礼に終わる」のが相撲だ。

「勝ちさえすれば文句ないだろう」という昨今の相撲界のムードは、「カネを儲ける者がエラい」とする金銭崇拝の世間の風潮と重なり、嫌な気分だ。力士はサムライの精神に立ち返り、2度とこういう不祥事を引き起こさないよう、文字通りフンドシを締め直してほしい。

※写真は傳香寺(でんこうじ 奈良市小川町)の「散り椿」(別名・武士椿)である。散った椿や桜を尊ぶのは、日本的情緒の賜物であろう(05.4.3撮影)。
なお「椿の花は、ガクの部分から丸ごと散る。それが首の落ちる様子を連想させるので、武士は椿を嫌った」というのは明治以降の流言である、念のため。
コメント
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