午前十一時頃から気温が上がり始め、元気が無かった「津和ブキ」の花が力強く開いた。
「豹紋セセリ」だろうと思われる蝶が一匹「津和ブキ」の花に止まっている。
おそらく今年最後の、我が家を訪れる蝶であろう。
私の居住区では「豹紋セセリ」は非常に珍しい。
この屋に住み付いて、二十猶予年が過ぎるが初めての訪問である。
今年はミツバチを初め、昆虫が余り姿を見せなかった。 特にセミは数回声を聞いたのみである。 例年ならば五月蝿いほどの「せみ時雨」であるが今年は皆目声を聞かなかった。 そういえばこの数日、鹿の声も聞こえなくなったようである。
早朝散歩の林道でのイノシシの餌を取り合う声も聞き取れなくなった。
秋の虫も今年は鳴かなかった。 何処か変調をきたした気候状態の様である。
こうした年は、豪雪に見舞われる。 そんな気がして、冬用タイヤを早めに準備した。
昭和四十年に一度同じような経験がある。 その時は、十一月の中ごろに初雪が広島市内に降った。 それは広島県北部を、前代未聞の豪雪が襲う前兆であった。
偶々、県北地方に泊り込みで仕事に行っていて酷い目にあった。 二週間、宿屋の二階から出入りすると言う経験をした。
二週間がかりで、国道54号線までブルトーザーが除雪して、食料は供給されたが、積雪六メートルの中では体育館の建設工事などできず、翌春まで工事が中断した。
何処かその年に良く似ている。
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