藤森照幸的「心」(アスベスト被害者石州街道わび住い)

アスベスト被害者の日々を記録。石綿健康管理手帳の取得協力の為のブログ。

石綿がなぜ「癌」を引き起こすか。

2012-06-07 12:45:23 | 社会・経済

石綿が体内に取り込まれると何が起こるのか、入院までの日にちを使って、みなさんに少しでも理解できるよう説明したいと思う。

そもそも人間には、防衛本能として免疫機能が存在する。それは、NK細胞であったり、白血球であったりする訳であるが、そのほかの機能として、異物が体内に入りこむと、異物を体外に出してしまおうとする機能が働く。その機能の中に、蜘蛛と同じような繊維質を創りだす細胞が存在し、まず侵入してきた異物を繊維質で覆い隠そうとする。つまり異物は、繊維膜で包まれ隔離される。原爆被爆者が、体内に入ったガラス片が、何十年後に皮膚から出てくる現象はこのような免疫機能が働いた結果である。

さて石綿であるが、体内に侵入するとこの免疫機能により、繊維膜で覆われ始める。次の石綿が侵入するとまた同じ現象が起こる。この繰り返しが日日繰り返される結果、これらのものが積み重なり、肥厚と呼ばれる状態になる。この状態になると、弾力性が失われていく、こうして長年にわたり石綿暴露が続くと、その肥厚が厚さを増し、その肥厚の出来た部位によりいろいろな支障が発生する。心膜にできると心臓の機能低下、胸膜にできると、肺機能が低下する。このような肥厚は、胸膜、心膜だけではなく、腹膜、腸間膜、横隔膜、等不思議に、内蔵を支える膜類に発生する。

経口により、胃や腸に侵入した石綿は胃壁や腸壁を突き破り、細胞に突き刺さる。すると、体はこの異物を体外に出そうとし、腹膜や、腸間膜へと追いやる。そしてそこに蓄積が生じ、加えて免疫作用で肥厚が始まる。嘗ては、こうした蓄積された石綿自体の毒性により、癌に変性すると考えられていたが、今日では違う考えが主流になってきた。石綿自体には毒性はなく、その性質に問題があるという考え方である。つまり石綿には、アルファー線を発生させる放射性物質と結合しやすいという性質が有り、そこに問題があるという考え方である。アルファー線の力は非常に小さいが、しかし常に直近の細胞に放射線を浴びせ続ける。そのことが発癌を促進するのである。つまり、どの放射線より体内被曝は、アルファー線の被爆こそ一番恐ろしいのである。ここに、広島や長崎の被爆者と同じメカニズムが見えてくる。原爆投下直後は、急性の放射能暴露による障害により死亡した。一方原爆被爆者が、数十年の後、未だに発癌率が、一般人より高い現実は、石綿被害者に共通する現象に似ている。つまり、体内に蓄積されている放射能による発癌である。

スマくろさんのブログの中で体内被曝の危険性を指摘されている。「http://blog.livedoor.jp/smakuro/」ぜひご一読されたい。

今回の福島原発の水蒸気爆発は、そうした状況を検証してみると、大変危険な結果を招く事が予想される。

原子力発電所は大量の石綿を各種の目的のために使用している。その量は、数十トンと予想される。私自身が嘗て、島根原発1号機、2号機の建設に携わったので、目撃している。その石綿と、今回の水素爆発による飛散した放射能物質が結合し、広範囲に飛び散った結果、それを吸入されて方たちは、従来の石渡暴露者とは違った形体の石綿暴露となった。つまり蓄積された石綿に長年自然界に存在する放射能物質が結合するのではなく、結合したものを吸入することになったのである。

このことは、従来の石綿患者とは違い、潜伏期間が短縮された形での中皮腫の発症が考えられるのである。国は放射能濃度のみ公表し、石綿についての情報を発信していない。いやあえて発信しないのであろう。なぜなら、石綿含有検査基準ですら、国際的に批判を受けている中、うかつな数値を発表すると、その数字が国際社会から批判されるからである。

国は、原発再稼働の前に、最低限の原発の基準の見直しをすべきである。第一に原発からの石綿の一掃。おそらく出来ないと思う。心臓の周りの血管を止めるようなものだからである。断熱、不燃、遮音、耐摩耗、等々変わるものがない。無いなら廃炉にすべきである。同じ過ちを二度繰り返すべきでない。

夏は暑いもの。昭和三十年代にクーラーはなかった。各家庭に風呂などなかった。それでも熱中症でなくなることはなかったように思う。各家庭に風呂が完備された現代、暑ければ風呂場で水浴びをすれば良いくらいな気概を持ちたいと思う。原発再稼働を許さぬために。

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