藤森照幸的「心」(アスベスト被害者石州街道わび住い)

アスベスト被害者の日々を記録。石綿健康管理手帳の取得協力の為のブログ。

一人暮らしを支えるには(7)

2020-10-20 10:34:43 | 日記・エッセイ・コラム

 後期高齢者の生活にもいろいろある。 私の知っていたお医者さんは、一人息子で、その奥さんも一人娘だった。 双方の親が結婚に大反対。 その奥さんがすごい美人で、お医者さんは家を出て、過疎地と広島市の接点で開業された。 その開業時、場所を探していた時、あるお寺の前が大きな屋敷で、国道に面しており駐車場が十分あった建物を見て、この土地を借りて是非とも開業したいと思い始めた。 この地主さんは、名門家の出で毛利家につながるお方だったが、先生の熱意に負けて、自分の隠居場を別に立てて格安でこの土地を譲られた。 隣は、元地主の長男ご夫婦の家があった。 この病院は、地元に大変喜ばれた。 それまで地元に医者がなかったのだ。 ずいぶん繁盛したが、跡取りに恵まれず、その上奥様が50代半ばに白血病で亡くなられた。 がその後、先生は再婚されず、病院を続けられた。 その一人暮らしを支えたのが、隣の元地主の息子夫婦で、食事の世話から、掃除洗濯はたまた病院の片づけまで世話をされた。77歳で医者を引退されてから87歳で亡くなられるまで、実に自分の親以上に世話をされたのだ。 結局葬式も町内と、この夫婦が執り行った。 其の後、弁護士からこの土地、財産一切が元の地主の子供夫婦に、送られる遺言書が存在することが告げられた。 こんな一人暮らしの一生もある。 さてさて、財産一切を送られた夫婦がとった行動がこれまた素晴らしい。 その跡地は、地元の集会所となり、現金はその集会所の維持管理費として積み立てられている。 私の住む家から、丁度一里。 集会所に改修する工事をさせていただいた。 一生の内で、一番浮き浮きして工事をした。 その門には、今でも病院の名前が彫り込んである。

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