第63回 大島レース

大島レース、行ってきまーす!photo by BULKHEAD MAGAZINE

今年も、伝統の大島レースに出場しました!クラブレースの合間を縫って船を整備し、OSRカテゴリー3の準備もみんなできっちりやりました。たった85マイルのワンオーバーナイトのレース、しかもここ数年は穏やかな海況ばかりだけど、昔は大島の裏で必ず吹き倒されて、ビチョビチョのケチョンケチョンで真夜中フィニッシュ、なんていうのも何度もあったレースです。搭載する安全備品のことはもちろん、セーフティーセーリング全般について総点検するいい機会になります。今日は、いつものうきうきヨットではなく、ちょっと気持ちも引き締めてドックアウト。

◆スタート後、2時間。まだ江の島すぐそこ

最初のレグは初島までの24マイルです。スタートエリアは北東~東の風10kt程。プロパーでは、ジャイブセット、ポートのスピンスタートです。混雑するピンエンドからまずまずのスタートを切ります。


photo by BULKHEAD MAGAZINE

しかーし、このあとすぐに風が怪しくなります。スタート後30分もしないうちにもたつきはじめ、昼すぎにはかなりの微風に。ふー、島回りレースに勇んで出発したのに、2時間経ってもまだ江の島。早くも長丁場を予想させる展開です。南風を先取りするためプロパーより少し南に向けて走る艇団と、岸寄り艇団に分かれますが、ホビーホークはほぼラムラインを走ります。そして南に膨らんだ艇団よりはゲインしたようです。途中からはしっかりした南東の風が入り、ようやくハイクアウトの風になりました。今回22艇中、IRCでは下から3番目のホビーホークですが、微風で大きく遅れをとることなく16:05初島回航。イルカの群れにも会えたし、序盤はまずまずの滑り出しです。

◆怪しい夕焼けの後、雨雲の下の風を捕まえる
次は初島から大島の千波へ向かう22マイル、通称大島への渡りレグです。小型艇はどんなに速く走ってもこのあたりで日没を迎えしまうので、暗くなり始めた頃には風が落ち、潮の強いエリアでのたうち回るのがお決まりのパターン。でもまあ、それが大島レースの面白さでもあります。
定石どおりに川奈へ向けて暫く南下します。ほどなくして日没を迎え、怪しーい夕焼け空が広がります。そして…風がなくなりました。あー、やっぱりな。でもこれもすべて織り込み済み? まだまだ艇団の真ん中にいるので、ここからが勝負どころです。

暗くなりました。夕焼けの上空にあった真っ黒い雲の下に差し掛かり、そのうち雨がパラパラ降ってきました。そして、雨雲の下は風もありましたっ!生き返ったようにシャバシャバ走ります。で、また一転ヨレヨレになったり、またシャバシャバしたりで、何度となくセイルチェンジを繰り返し、元町の明かりを横目にドリフト走行?で走ります。走っても走っても元町。この時間帯にうまく風を捉えた艇が少し伸ばし、前の艇団と後ろの艇団に分かれ始めました。ホビ号もかなりゲインし、何とか前の艇団にくっついてカームから抜け出すことに成功

その後、晴れて月が昇りました。大潮の白くて大きい満月です。真夜中の真っ黒な海が満月に照らされてサラサラと銀色に輝いています。60年以上前から続く大島レース。先人たちもこんな月夜の下を走ったのかな。

◆深夜の千波沖、テルテールがモジャモジャ生えてくる
長丁場のレース、なんとしても集中して船を前へ進めるため、今回ヘルムは2時間交代としました。痺れるような微風の中、失速に注意しながら神経を研ぎ澄まして走ります。テルテールライトでぼんやり浮かび上がるテルテールとジャンボとを交互に見ていると、もう、目がしんどくてしんどくて。まるで精神修行のようです。そのうち、テルテールの毛糸がセイルからモジャモジャいっぱい生えてくる幻覚を見ました。ひえぇー。一体何やってるんでしょう~、真夜中に。

午前1:03、竜王をマグ0に見て大島回航のロールコール。タックした時に近くをクロスした何艇かはあたりをつけました。レーティングでかなり上位の艇もいて、いいところを走っている感じです!
その後、また雨が降り出しました。さっきの通り雨と違い、今度の雨は長くしっかりした雨です。眠くて辛い時間帯にびしょ濡れになりチコッと凹みます。わたしは電池切れになり、オフワッチに入ったら気を失っていました。寝たとも言う


夜が明けて、ハリヤードのプチトラブルを解消。

◆夜が明けて、みんなの顔がへのへのもへじみたいになってきた
いよいよ最終レグに入り、葉山へ北上開始です。スピン上げたり下ろしたり、また上げたり。セイルチェンジももう何回やったか数え切れなくなりました。みんなかなり疲れがたまってきて、顔がへのへのもへじみたいになってきましたよ。そして、また、ぱったん、ぱったん漂い始めます。


風、なーーーーい!鏡のような水面を漂いながら、必死にスピンを拡げます。


激しく東に流される潮なので、COGがフィニッシュに向くようにヘディングを真北に向けて暫く我慢の時間帯です。東側に何艇見えてきました。そのうち、ん?なんだか走り出したように見えます。こちらは頼りない南東が吹いては消え、消えては吹くけど一向に安定しません。結局東から先に風が入ったようで、ようやく走り始めた頃には、後ろの艇団がかなり大きくなってからでした。太陽が高くなり、紫外線が徹夜明けの脳天を直撃する感じ。でも、まだいい位置に付けているので、何とか逃げ切れるよう最後のひと踏ん張りです!!

順風のスピンランで見慣れた景色が近づいてきました。最後、名島をかわすためにジャイブし、12:18無事フィニッシュ。


ふー、力全部出し切りましたー。今回は、コンディションとしてはマイルドだったはずなのに、結構きつかったです。ロングレースは団体戦。人間なので眠くもなるし、集中力だって全員が常に100%というわけにはいかないけれど、カバーしあって総合力で100%を出しきったかな。こういう感じ、久しぶりです。サワヤカな達成感に包まれてマリーナへ帰ります。

期待した成績は、IRC-Bクラスで2位。うぅ、連覇ならず。僅差でクラス優勝を逃したのはちょっと悔しいけれど、IRC総合で22艇中第4位は上出来です~。

今年の大島レースも楽しかったです!!変化に富む相模湾の地形と、複雑な潮、刻々と変化する風、最後まで何が起こるかわからないところも島廻りレースらしく、そういう魅力がギュッと濃縮されたレースでした。くたびれたけど、来年もまたきっと出ます!

第63回大島レース リザルトはこちら

大島レースのメンバー:7人
風呂井戸先生、チャオさん、Hさん、リゲ子、わたし
Specital thanks to K澤さん、I原さん

ビーサンネタはバルクヘッドマガジンにも連載中です。
BULKHEAD MAGAZINE「連載 ヨットレース繁盛記」

 
 
 
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