映画と本の『たんぽぽ館』

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「鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース」島田荘司

2019年05月14日 | 本(ミステリ)

サンタクロースと、殺人事件と

鳥居の密室―世界にただひとりのサンタクロース―
島田荘司
新潮社

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完全に施錠された少女の家に現れたサンタ、殺されていた母親。
鳥居の亡霊、猿時計の怪。
クリスマスの朝、少女は枕もとに生まれて初めてのプレゼントを見つけた。
家は内側から施錠され、本物のサンタが来たとしか考えられなかったが
―別の部屋で少女の母親が殺されていた。
誰も入れないはずの、他に誰もいない家で。
周囲で頻発する怪現象との関連は?

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本作は御手洗潔シリーズなのですが、残念ながら石岡くんは登場せず。
というのもこれは二人がまだ知り合う前の物語。
若き御手洗は京大医学部の学生で、
親しくしている予備校生の<ぼく>の視点で語られます。


事件は、完全密室である少女の家にサンタが侵入し、
そして母親が殺害されていたこと。
また別の話ではあるけれど、壊れていたはずの古い時計が
ネジを巻いてもいないのに突然動き始めたこと・・・。
いつものごとく御手洗は科学的根拠により謎を解き明かしていきます。

鳥居の上部両端が、道を挟んだ家の壁を突き抜けているという光景、
私、割と最近テレビで見ました。
本当にあるのですね! 
著者も多分それをヒントにしたのでしょう。


御手洗シリーズとしてはややボリュームが少なくて、
エピソードの一つの紹介、といったところです。
やはり石岡くんが登場して、スリルもボリュームもたっぷりの
ガッツリした謎解きを待ちたいところです。

図書館蔵書にて

「鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース」島田荘司 新潮社 
満足度★★★☆☆