goo blog サービス終了のお知らせ 

映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「坂の上の雲 一」司馬遼太郎

2019年05月10日 | 本(その他)

明治の日本を克明に描く

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋

* * * * * * * * * *

日露戦争を勝利に導いた秋山好古・真之兄弟。
俳句改革に命をかけた正岡子規。
伊予松山出身の3人を中心に、明治という時代の明暗と、
近代国家誕生にかけた人々の姿を描く、不滅の国民文学。
全8巻。
2009~2011年に、3年にわたり、NHKスペシャルドラマ化。
秋山真之を本木雅弘、好古を阿部寛、正岡子規を香川照之が演じた。

(一)伊予松山に住む貧乏士族の秋山兄弟、竹馬の友で怖がりののぼさん(子規)。
3人はやがて故郷を離れ、学問・天下を目指して東京に向かう。

* * * * * * * * * *

本作は、2009~2011年、3年にわたり、NHKスペシャルドラマ化されたのですが、
その時私は途中から見たのですが、ぐいぐい引き込まれてしまいました。
いつかきちんと本を読んでみたいと思っていて、ようやく読み始めた次第。
全8巻なので、ボチボチ行きます。


日露戦争を勝利に導いた秋山好古・真之兄弟。
俳句改革に命をかけた正岡子規。
この3人を中心にストーリーは進みますが、
ときに道をそれ、他の人の生き方にも触れながら、
明治の時代を克明に描き出しています。


あとがきで著者が触れていますが、もともと正岡子規に興味があって調べ始めたそう。
ところが子規の出生地・伊予松山の幼馴染である秋山好古・真之兄弟のことに行き当たったのです。
特別に知れ渡った人物ではないのですが、日露戦争の勝利にかなり貢献している。
彼らは特別な天才というのでもないけれど
「この時代のごく平均的な一員として、この時代らしくふるまったにすぎない。」
と。
だからこそ彼らを描けば、明治そのものが浮かび上がるわけなのですね。

そこで第一巻は、3人がやがて故郷を離れ、
正岡子規は結核を患いながらも新聞社に職を得、
秋山好古(よしふる)は騎兵隊へ、秋山真之(さねゆき)は海軍へ。
そして日清戦争に突入、というところまでが描かれます。
明治20年代。
当時の日本は少しでも欧米の文化に追いつこうと必死。
能力さえあれば田舎出の貧乏人でも立身出世が可能。
軍隊もまだまだ形になっておらず暗中模索・・・。
秋山兄弟が軍関係へ進んだのも、何も闘いが好きだったわけではなくて、
士官学校ならタダ、という事情が大きかったのです。
そして彼らは実に真摯に学ぶ。
ワクワクさせられるプロローグです。

ところで、NHKドラマに出演していた本木雅弘、阿部寛、香川照之は
呆れるくらいにイメージがピッタリでした。
恐れ入りました!


図書館蔵書にて(単行本)
「坂の上の雲 一」司馬遼太郎 文藝春秋
満足度★★★★☆