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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

オン・ザ・ミルキーロード

2018年12月09日 | 映画(あ行)

度重なる殺戮に、自由な心で立ち向かう

* * * * * * * * * *


題名だけ見るとロマンチックな作品のように思えるのですが、
常に紛争の絶えない地
(セルビアを多分に意識していると思われますが、つまりはこの世界の何処か、
どこにでもある土地と捉えるべきでしょう)
を舞台に繰り広げられる、寓話的作品。



コスタ(エミール・クストリッツァ)は、戦場の兵士にミルクを配達する仕事をしています。
しかしこの人物はかなり浮世離れしていて、銃撃戦の中をロバに乗り傘をさして歩く。
いかにものんきそう。
そんなコスタが、謎めいたイタリア美人(モニカ・ベルッチ)と恋に落ちます。
やがて休戦協定が結ばれ戦争は終わったものの、
彼女の過去の出来事のために、村は襲撃を受け、壊滅状態に。
二人は生き延びるために、逃避行を始めますが、追手の兵士たちが迫る・・・。

コスタは実は度重なる戦闘で親や兄弟を惨殺されているという過去を持つことが明らかにされます。
もう悲哀を通り越して、いっそサバサバしている感じですね。



ハヤブサやクマと友情を結び、羊とも言葉をかわす。
蛇も彼の味方。
自然や大地に生かされているような人物。
そんな彼が一人の愛する女性を守り切ることができるのか。
心は自由に空をも飛ぶ二人なのですが、
思いの他“殺戮”という人が生み出した力は強大なのです・・・。

タッチはユーモラスですが、描かれる事柄は悲惨。
なんとも味わいのある作品です。

オン・ザ・ミルキー・ロード [DVD]
エミール・クストリッツァ,パウラ・ヴァッカーロ,アレックス・ガルシア,ポリーナ・ゴンサレス,ギジェルモ・アリアガ
キングレコード



<WOWOW視聴にて>
「オン・ザ・ミルキーロード」
2016年/セルビア・イギリス・アメリカ/125分
監督・脚本:エミール・クストリッツァ
出演:エミール・クストリッツァ、モニカ・ベルッチ、プレグラグ・ミキ・マノジョロビッチ、スロボダ・ミチャロビッチ

ファンタジー度★★★☆☆
満足度★★★★.5