(DVD)
ファンタジー系の作品は近頃見る気が起きませんでした。
ハリー・ポッターに、ロード・オブ・ザ・リング・・・と来て、もうすっかり飽きてしまっています。
ナルニア国はかろうじて第一章は見ましたが、この先見る気はない。
でも、このパンズ・ラビリンスはちょっと様子が違うようだったので、見てみました。
確かに、これはお子様が見るようなものではありません。
まず、舞台は1944年、フランコ独裁政権下のスペイン。
国内ではまだ、ゲリラ戦が繰り広げられています。
少女オフェリアは、身重の母と共にその再婚相手、軍の大尉のところに呼び寄せられました。
その義父は冷酷で残忍。
母の体調も悪く、暗い現実の中にいます。
そんな時に、妖精に導かれるまま、地下迷宮の守護神パンに出会う。
オフェリアは実は地下王国の王女の生まれ変わりで、3つの試練を乗り越えればその平和な地下の王国に帰ることができると告げられるのです。
かろうじて果たした2つの試練。
しかし、2つ目の試練の時に彼女は禁を犯してしまいます。
決してモノを食べてはダメといわれたのに、ブドウを二つぶ食べてしまった。
・・・ここの、必ずしも、素直で品行方正ではない、オフェリアがいいではありませんか。
見るなといわれれば見てしまう。
食べるなといわれれば食べてしまう。
おとぎ話はこうでなくっちゃね。
さてしかし、ここで、道は閉ざされてしまった。
母はついに男の子を生み落として亡くなり、オフェリアは天涯孤独。
パンの迷宮の試練も怖ろしいのですが、この孤独な生死となりあわせの現実界のほうがよほど怖ろしい。
このいわば二重の試練に立ち向かい抗おうとするオフェリアの強さ。
・・・さすが、王女の品格ですね。
あの、不気味なカエルの住みかにもぐりこんでいく勇気。
只者ではありません・・・。
ストーリー展開の予想がつかず、なかなかスリルがあって、魅せられてしまう作品でした。
2006年/スペイン=メキシコ/119分
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:セルジ・ロペス、マリベル・ベルドウ、イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ