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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ボンボン

2008年04月15日 | 映画(は行)

(DVD)

アルゼンチン作品というのも珍しいですが、非情にユーモアにあふれ、また、しみじみとしてしまう作品です。

主人公ビジェガスは、さえない初老のおじさん。
20年務めたガソリンスタンドをクビになってしまい、手作りのナイフを売ってみたりするのですが、さっぱり売れない。
あるとき、人助けのお礼、というよりは無理やり押し付けられたというのが本当のところですが、
白い大きな犬をもらいうけてしまう。
この、ぬーぼーとしてとぼけた顔の犬は、実は血統書つきの闘犬。
その道に詳しい人なら垂涎もののすばらしい犬だったのです。
それで、人に勧められるままに、ドッグショーに出場し、見事に賞を取ってしまう。

なんというか、このおじさまは、自己主張がないのです。
人に勧められると、まあ、それもいいかなあ・・・という感じで引きずられていくうちに、話がトントンといい方向に進んでいく。
このあたりの話の進展の仕方が、なんともいえず、面白い。
もしかすると、欧米系、ラテン系で、こういう人物って、珍しいのではないかという気がするのです。
いかにも、あちらの方は自己主張が強そうだと私は思う。
日本になら、こんな人は結構いそうなのだけれど。

さて、その自己主張の濃い世界で、この自己主張の薄いおじさまが、
にこにこと人に言われるままに行動して幸せを得る。
なにやら、ちょっと違う価値観を見出そうとしているかのように思えてしまうのは、考えすぎかな?
始めは、さすがにちょっとお荷物に思えてしまった犬だけれど、
だんだん、身近な家族になってしまって、2人旅。
この、なんだかとぼけたツーショットは、いけます。

そうそう、なぜか、この俳優さんたちと登場人物名が同じなんです。
まあ、ないことではないですが、これも面白い。

2004年/アルゼンチン/97分
監督:カルロス・ソリン
出演:フアン・ビジェガス、ワルテル・ドナード、ミコル・エステベス