宮本拓実と妻の麗子は、生命維持装置に支えられながら最期を待つ息子の姿を見守っていた。回復の見込みはない。夫妻の息子、時生は、グレゴリウス症候群を罹患していた。脳神経が次々に死滅していく遺伝病で、有効な治療法はまだ見つかっていない。 超自然現象を背景にした異色サスペンス。 東野さんの感性の底知れない炸裂感をまともに受け・・・読み出すと止まらなかった 私の中の東野作品では「トキオ」の評価はやや辛口・・・ 宮本拓実というトキオの父の若かりし頃の性格があまりにも歪み過ぎていて・・・好きになれないから・・・ 何回か読み返せば・・・拓実という男の心の底が見えてくるのかもしれないけれど・・・ 出だしから喧嘩っ早くて腹がたつくらいわがままなで身勝手な拓実・・・反対にトキオが懸命に頑張っているからどんどん引っ張られて最後まで全力疾走してしまった気がする・・・ 人間生まれてくる時は恵まれた環境の元に生まれてきたい しかし親を選ぶことはできないし人生は選べない 配られたカードで精一杯勝負するしかない・・・ 明日だけが未来じゃない・・・明日はそれぞれの心の中にある・・・ 生きているという実感さえあれば未来はそこに存在する・・・明日にだけこだわる必要はない どんなにひどい親の元に生まれたとしても・・・親子であることからは逃れられない現実であり・・・ 親がのちに少しでも申し訳ないと思ってくれるのがわかったらもう余計なことは考えず 「産んでくれてありがとう・・・自分の人生自分で切り開いていくよ・・・」 何回か涙ぐみながら・・・感動のラストシーンへの突入・・・ 2000~2002年の作品で当時の時代背景が流れる流行歌からも7年も前の時代の話だと実感できるのだけれど・・・ 全然変わらない人の心の奥を鋭くえぐってくる文面は全くもって新鮮なのが東野作品の常・・・ ひと時の夢をありがとう~~ |