大手広告代理店 営業部長の佐伯は50歳を目前に、大きな仕事を抱えながらも一人娘の結婚を控え・・・
陶芸を趣味に平凡ながらもしあわせな日々を送っていた
しかし体調の悪化・・・不眠・食欲不振・物忘れが始まりそれが若年性アルツハイマー病であると診断されうろたえる・・・
こんなに若いのに・・・まず本人が受け入れられない・・・しかし静かに忍び寄る病魔・・・
重苦しい現実を・・・淡々とした控えめな表現で日常生活を綴ってあり、読みやすい文章~~
佐伯が昨日・今日の記憶を失っていく様は自分の姿に確実に重なっていき少々恐ろしくもあった
記憶は自分だけのものじゃない・・・人と分かち合ったり・・・確かめあったりするもの
生きていく上で大切な約束ごと=記憶・・・それをなくしていくものの恐怖・・・直に伝わってくる
人はなぜに生きるのか?どう生きるのか?人生の意味とは?生とは?死とは?
人の死とは心臓の停止を指しているのか?
脳が機能を失った時がその人の人格の死ではないのか?
現在医学技術の進歩発達と栄養学の向上発展により人間の精神成熟も遅くなり、肉体と精神年齢はその人の実年齢の8掛けに、ここ30~40年でなってきているのではないか?
50歳の人なら40歳・・・という実態になっている中高年急増問題
佐伯が記憶を忘れないためにすべてをメモしてポケットを膨らませていく場面では
小川洋子の「博士の愛した数式」を思い出してしまった
儚くも切ない人間の老い・・・避けては通れない・・・介護という果てしない泥沼・・・
すべてが切実に私に共感を与えてくれた
映画(2006年)では渡辺 兼さん主演樋口可南子さんが妻役・・・DVD借りて見よう・・・
静かないい映画にちがいない・・・