goo blog サービス終了のお知らせ 
goo

冬立つ日に(支笏湖)

(2009年11月7日 14:10 千歳市支笏湖畔 以下同)

帰り道、少しでも混雑を避けようと、国道36号線を経ずに支笏湖を回った。
湖畔は暖かかった。

支笏湖は北海道で2番目に大きいカルデラ湖(1位は屈斜路湖)で、洞爺湖より広い。
水深が深く、大きく対流するため、この寒い土地でも冬にも凍結しない、不凍湖だ。
いつも明るく、人を抱いてくれるような趣がある洞爺湖に比べ、支笏湖はいつも、
どこか影がある。どこか人を拒絶しているような、厳しさを感じる。

紅葉の盛りには札幌市から支笏湖に向かって大渋滞が生じることもあるのだが、
紅葉時期もすぎ、湖畔は静かないつもの表情を取り戻していた。



太陽が低い。
もう午後2時でこんなに低い位置に太陽が来るようになったのだ。
ひと月半で冬至なのだから、今は1年で一番寒い1月末から2月上旬の太陽と同じ高さにあるということだ。

それでも、太陽の光が暖かい。
こんなに穏やかな表情の支笏湖は久しぶりに見た。

短い時間だったが、日向ぼっこをしながら、湖面を眺めていた。



支笏湖は、湖の西側と東側で天気が違うこともよくある。
この日もよく晴れた東側に比べ、西側は厚い冬の雲がかかっていた。

湖畔の道をGPZで流す。
6速2,000回転で時速60㎞弱。
ささやくような、滑らかなエンジンの回転はマルチシリンダーエンジンならではだ。
新車から15年、走行距離は10万キロを越え、今は10万と4200㎞前後。
GPZは変わらず、やさしく、力強い。
走行中、強烈な個性を主張しないかわりにライダーがその土地の風土を出会い、感じることを意識下でそっと支え続ける。
必要ならば、そして状況が許せば、600㎞先まで4時間で行くことはたやすい。
でも普段の道でバイクにせかされることはない。
今シーズンはおおむね1万キロをGPZと走った。
毎日の通勤が主な使用だが、いくつかの印象的な旅にも出られた。

4月 積丹半島への短い旅(「春、積丹へ。」) 
  ふらっと散歩・張碓 ふらっと散歩・朝里
5月 言問いの松巡礼の旅(「言問の松巡礼」) 
  早起きして桜を見に室蘭、洞爺湖を巡った旅(「早起き鳥の花逍遥」)
  車検の為のドック入り
6月 kitaさん主催のGSX1400北海道ミーティングへのおじゃま参加。
  朝里峠・毛無峠のバイク散歩
7月 丸一日、十勝を走り回った「大地・疾走」
  フェリー往復含めて5泊6日の本州ツーリング「南東北・北関東」
  『I am a Rider』のまーしーさん始め、とても素敵なバイク仲間に会えた。 
8月 学生時代からの友人と1泊2日の旅「22年目の夏」
  大好きな赤井川にふらっと散歩
9月 美唄から日本海へ、秋を見つけに「秋の一日」
10月 午前中だけのバイク散歩、少し早い紅葉を探して「バイク散歩 秋色々」
  行く秋を惜しんで、羊蹄山から洞爺湖へ「秋の消息」   
11月 冬の訪れ。イタヤカエデに別れを告げるために。「冬立つ日」

今年は泊りがけのツーリングに2回も出られた。これは12年ぶりのことだった。
子どもが高校生になり、少し子育ても落ち着いた。そういうことか。

本州へ行き、たくさんのバイク乗りの友と会えたのも大きかった。
しかも、ブログがきっかけで知り合った人たちだ。
携帯電話も持たず、ネットショッピングも一切しない僕にしてみれば、信じられないような出来事だった。でも、本当に素晴しい経験となった。

思い返せば、今年に限らず、15年間、GPZの上で僕はいつでも幸せだった。
ライダーとして、僕は本当に恵まれていると思う。

GPZと過ごした、今シーズンが終わる。
来年は、どんなシーズンになるのだろう。
行きたいところ、見たい風景、出会いたい樹が、たくさんある。
やってみたいことも。
仕事と健康が、それを許すだろうか。



さっきGPZを止めた湖畔で、支笏湖の湖面を、たった一羽、浮きながら向こうに泳ぎ去っていく水鳥を見つけた。
かもめか、カモか。
遠くて鳥の種類は分からなかった。

季節も場所も、まったく違うのに、僕は三好達治の第一詩集「測量船」(昭和4年)の冒頭に置かれていた、短歌形式の詩を思い出していた。

春の岬旅のをはりの鴎どり 浮きつつ遠くなりにけるかも      三好達治


(「冬立つ日」完)
コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
« 冬立つ日に(... バッテリーを... »
 
コメント
 
 
 
ご自愛ください (ada)
2009-11-14 20:22:38
いつか、樹生さんとツー、したいですね。

たぶん、一瞬にして、何十年も一緒に走ってきたようなバイク仲間ような走りを楽しめそうな気がします。

せかされない走り、でも、安全で効率的なラインの組み立て。

するどい向き変え!

いつか、一緒に走りたいです。
バイクに乗り続けていれば、それも可能ですよね。
 
 
 
ありがとうございます。 (樹生和人)
2009-11-14 21:29:06
adaさん、こんにちは。
ありがとうございます。

adaさんにそんな風に言っていただけるなんて、光栄の至りです。
adaさんの日本縦断(しかも往復!)弾丸ツーリング、すごかったですね。でも、周到な用意、走りの集中、休憩のプラン、実は驚くほど私の考え方と似ていて、それでも本当にやってしまうところは、さすがだ、違う!と、感服しました。
ちなみに蛍光安全ベルトチョッキ、私も持っています(^^;)

いつの日か、路上でお会いできればと思います。

(バイアスVSラジアル、キャンバースラストVSコーナリングフォース、「峠を楽しく」の後に、トライしたいと思います!)

*このコメントをお読みの他の方へ。*
adaさんの、「JAPANツーリング」の様子は、ブログ「ツーリング屋」でご覧になれます。
URLは、(http://blogs.yahoo.co.jp/dr_ada88)です。
 
 
 
やはり、同じバカ (ada)
2009-11-14 22:05:56
同じバイクバカ?でしょうか?
 
 
 
いや、病気だね。 (樹生和人)
2009-11-15 06:07:31
『jyajya』(えのあきら)9巻の帯にもありましたね。バイクマンガjyajyaを読んだ柳川明選手の言葉、「う~ん、バイクって深い…えのさん、アンタもバイクバカ?」
はっはー!、最高の賛辞ですね!もう、しょうがねえなあ、つける薬がねえ!って(^^)。
私の言葉で言えば「ライダー病」ですね。
で、こういう時の返事は決まっています。
「adaさん、あんたほどじゃないって!」(^<)b
 
 
 
ナイス! (ada)
2009-11-15 06:29:27
おはようございます。

ライダにしかわからないこと、でも、ライダだからわかること。

樹生さんは、そのライダなんだ。

だから、一緒に走りたいです。

そして、心に刻みました、樹生さんとツーリングしたい。

おなじ、バイクバカだから!
 
 
 
おつかれさまGPZ (コボ)
2009-11-15 09:39:05
エゾイタヤとの告別はありましたが、
満足のいく走り納めができたのではないかと察します。
GPZと走り続けて15年、GPZもこれだけ愛されて幸せでしょうね。
来シーズンもすばらしい相棒とすばらしい出会いを求めて走り続けてください。

adaさんのブログを少し拝見しました。
蛍光ベルト安全チョッキさっそく私も見習いたいと思いました。
素敵なライダーさんですね。
 
 
 
トホホ系 (樹生和人)
2009-11-15 10:32:39
adaさん、ありがとうございます。
いつか、走りましょう。よろしくお願いします。

しかし、「ライダー」ということで言えば、私はトホホ系なんですよね。
(右カテゴリの「バイク気質」参照です^^;)
頭でっかちと言いますか…。バイクは汚いし(ちゃんと掃除してないから)、走りは遅いし(謙遜じゃないんだ、これが…)で、がっかりかもしれませんよ。
現実の私とブログの樹生は結構違うと思うんですよ。残念ながら…(^^;)
(今年会った方々にはバレバレになってしまいました。)
 
 
 
来年も。 (樹生和人)
2009-11-15 10:41:33
コボさん、こんにちは。
ありがとうございます。
来年は16年目のシーズンに入っていきます。
あと何シーズン走れるか分かりませんが、とりあえず11万キロ、そして来年は道外脱出は無理だと思うので、道内での旅を、また、ぼちぼちと行きたいと思います。
道南、道北にも会いたい樹がまだまだいっぱいありますので。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。