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聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
転倒の仕方考<2>

・
転倒の仕方について考える。
昨日は「離せ!見ろ!」という、私の考える転倒時の心がけの原則をお話しましたが、
今日から、転倒のタイプ別に転倒の仕方を考えてみます。
まず、停止、またはほぼ停止状態からバイクが倒れる、いわゆる「たちゴケ」の場合です。
走行中の転倒の場合は前方に移動しながら倒れていきますが、立ちゴケはほぼ、その場で横にガシャンと倒れます。
この時の危険は大きく2通りです。
【1】倒れた方の足をバイクと路面に挟まれる形で怪我。
【2】倒れた所を轢かれたり、バイクが倒れた弾みで車道側に飛び出てしまい、はねられたりする。
【1】の場合、怪我は大きく2通り。
1つは、立っているライダーに対してバイクが倒れてくるため、車体ですねなどを大きな力で足払いをかけられたようになり、打撲症になったり、捻挫したりする怪我。
もう1つは、ステップなど、車体の一部が足に刺さる怪我。重症になることがあります。
1995年、鈴鹿8時間耐久ロードレースに出場した根本健氏は、公式予選前夜のピット作業練習中、立ちゴケで足にブレーキペダルが当たり、足の甲小指側を骨折しています。
某免許試験場で微速で転倒した女性が足にステップが刺さり大怪我。救急車で運ばれたことがあるとも聞いたことがあります
いずれにせよ、バイクと路面に挟まれる怪我はライダーも倒れてしまうことになり、しかも足がバイクに挟まれると、その場からの脱出が難しくなって後続に轢かれるなどの2次災害に遭いやすくなります。
立ちゴケではまず、路面と車両との間に挟まれないことが大事です。
そのためには、バイクが倒れることを避けられないと分かった時点で、潔くあきらめてバイクを「離し」、バイクから「離れる」ことです。
ハンドルを持ったまま頑張りすぎると、肩から地面側に引き込まれ、技をかけられたように倒れてしまうこともあります。
また、ハンドルにしがみつくことに意識が集中してしまうと、下側になる足を抜くことが遅れてしまい、バイクに挟まれてしまう危険度が増してしまいます。
立ちゴケの時は、ある程度倒さないようにがんばりますが、だめだと思った瞬間にバイクをまたいで逃げることが、怪我をしない秘訣です。
止まっている状態から立ちゴケしただけなら、自走できなくなる確率はそう高くありません。
バイクを捨てて自分は転ばない。
それが立ちゴケ時の責任ある行動ということになります。

【2】倒れた所を轢かれたり、バイクが倒れた弾みで車道側に飛び出てしまい、はねられたりする。
場合。
挟まれて倒れた時は、とにかくできるだけ早くその場から安全に脱出することが大切です。
ただ、車体が体に刺さっている場合、がむしゃらに体を引き抜こうとすると、脱出できないばかりか、かえって怪我が大きくなります。
しかも、とっさの数秒間は、本人でさえ大怪我に気づかないことすらあります。
バイクと一緒に倒れてしまったら、まず、素早く後方および周囲の状況を「見て」確認しましょう。
後続の車に突っ込まれたらどの道防ぎようはありませんが、一瞬身構えてわずかでも体を交わす方向に動かせたかどうかが命の分かれ目になることもあります。
周囲を見たら、体を見ます。
何かに刺さったり、体が大怪我をしていたりしないかを見ます。
これも、さっき言いましたが、一瞬の怪我では、本人も大怪我に気づかないこともあるのです。見て、確認してから動くことが大事です。2秒もかかりませんから。
大怪我もなく、動けるようなら、まずはバイクの下から抜け出し、安全な位置まで逃げます。
例えば車道にバイクを放置したまま歩道までまずは逃げて、改めて自分の体をチェックします。
10秒くらいは、大怪我していても動けることがあったりしますから、やはり注意すべきです。
バイクは、自分の体のチェックが終わってから、周囲の確認をして、安全を確保してから起こしに行きましょう。

挟まれないようにバイクをまたいで逃げた場合、
そのままおっとっと…と車道を横に移動してると、やはり後続に撥ねられる危険が増します。
そのためにも、速めにバイクを捨ててバイクから「離れる」ことが重要です。
そして、安全な路外にいったん逃げますが、その際も、動く前に必ず「見る」ことが大事です。
いきなり逃げようと走り出したために転倒したバイクを避けようと回避行動を起こした車の方に走ってしまい、撥ねられる、ということもあるのです。
昔、世界GPのレースビデオで見た事故は、ヘヤピンで転倒した選手が逃げようとコース会うと側に走り出してしまい、転倒車を避けようとアウトにコース変更した後続のバイクに撥ねられるという事故でした。(幸い、死亡事故にはなりませんでしたが、両者大怪我をしました)
このように、立ちゴケの場合も転倒時には「離せ!見ろ!」という原則が大変大事だということが言えると思います。
さらに、当然、ライディングの際の服装によっても怪我の具合は大きく変わることも想像がつくと思います。

(写真はイタリヤ産ガエルネ(GAERNE)の「G-IKE」。写真出典はこちら。)
ブーツのプロテクション性能の進化は目覚しい。
先に書いた根本氏の立ちゴケ骨折事故、ピット作業練習だったので、場所はピット内。しかもすでに走行時間帯は終了し、根本氏は普段着に着替えていました。
靴もその時はデッキシューズ。
立ちゴケの原因は、昼に根本氏が乗った後でサスセッティングが変わって、足つき性が悪化していたため。もしもレーシングブーツなら、挟まれても、デッキシューズよりも高い防護性を発揮してくれたことは充分想像できます。

(同じくガエルネの「№145」。もともと登山靴のメーカーらしい作り。くるぶしを保護するだけでも、大分違う。防護性のみならず、疲労軽減にも、ライディングシューズは効果大。用途に合わせて選びたい。)
足首の部分が靴下だけなのと、ブーツなどが来ているかどうかは、大きな違いとなることは想像に難くありません。
また、半ズボンなどだと路面に直接皮膚がこすれ、熱い排気管などが上からかぶさってきたりすると、かなりの怪我になることもあります。
立ちゴケ程度でも、ちゃんとそた服装は身を守るためにとても大事な役割を果たしているのです。
さて、次回は、スピードが出ている状況での転倒のケースについて考えます。
◇◆注意!◆◇***********************************
このブログのライテク記事はすべて、管理人(樹生和人)が、自分のバイクの経験や、先達の教えなどを、本、雑誌などで読み、学び、また仲間と討議し、考えてきたものです。
所詮は素人であり、バイクに関して個人的な考えを述べているに過ぎません。
このブログの記事の正しさは保証されていません。ご注意下さい。
特に、この転倒シリーズは、間違った考えを身につけると、かえって危険になる場合があり、場合によっては、怪我の程度がひどくなったり、さらに深刻な事態に陥ったりすることも無いとは言い切れません。
当ブログは、このブログを読んだ方の実際のライディングで起こったあらゆる事態について、一切責任を負えません。
決して本ブログを鵜呑みにせず、必ずご自分で調べ、考え、判断し、ご自分でベストの方法を選び、実践してください。
あくまで自分の責任で、自分を人とを守るべく、最大限の努力をする。
それがライダーだと、私は考えています。
なお、明らかな間違いがある場合には、ぜひご指摘ください。よろしくお願いいたします。
(樹生和人)
転倒の仕方について考える。
昨日は「離せ!見ろ!」という、私の考える転倒時の心がけの原則をお話しましたが、
今日から、転倒のタイプ別に転倒の仕方を考えてみます。
まず、停止、またはほぼ停止状態からバイクが倒れる、いわゆる「たちゴケ」の場合です。
走行中の転倒の場合は前方に移動しながら倒れていきますが、立ちゴケはほぼ、その場で横にガシャンと倒れます。
この時の危険は大きく2通りです。
【1】倒れた方の足をバイクと路面に挟まれる形で怪我。
【2】倒れた所を轢かれたり、バイクが倒れた弾みで車道側に飛び出てしまい、はねられたりする。
【1】の場合、怪我は大きく2通り。
1つは、立っているライダーに対してバイクが倒れてくるため、車体ですねなどを大きな力で足払いをかけられたようになり、打撲症になったり、捻挫したりする怪我。
もう1つは、ステップなど、車体の一部が足に刺さる怪我。重症になることがあります。
1995年、鈴鹿8時間耐久ロードレースに出場した根本健氏は、公式予選前夜のピット作業練習中、立ちゴケで足にブレーキペダルが当たり、足の甲小指側を骨折しています。
某免許試験場で微速で転倒した女性が足にステップが刺さり大怪我。救急車で運ばれたことがあるとも聞いたことがあります
いずれにせよ、バイクと路面に挟まれる怪我はライダーも倒れてしまうことになり、しかも足がバイクに挟まれると、その場からの脱出が難しくなって後続に轢かれるなどの2次災害に遭いやすくなります。
立ちゴケではまず、路面と車両との間に挟まれないことが大事です。
そのためには、バイクが倒れることを避けられないと分かった時点で、潔くあきらめてバイクを「離し」、バイクから「離れる」ことです。
ハンドルを持ったまま頑張りすぎると、肩から地面側に引き込まれ、技をかけられたように倒れてしまうこともあります。
また、ハンドルにしがみつくことに意識が集中してしまうと、下側になる足を抜くことが遅れてしまい、バイクに挟まれてしまう危険度が増してしまいます。
立ちゴケの時は、ある程度倒さないようにがんばりますが、だめだと思った瞬間にバイクをまたいで逃げることが、怪我をしない秘訣です。
止まっている状態から立ちゴケしただけなら、自走できなくなる確率はそう高くありません。
バイクを捨てて自分は転ばない。
それが立ちゴケ時の責任ある行動ということになります。

【2】倒れた所を轢かれたり、バイクが倒れた弾みで車道側に飛び出てしまい、はねられたりする。
場合。
挟まれて倒れた時は、とにかくできるだけ早くその場から安全に脱出することが大切です。
ただ、車体が体に刺さっている場合、がむしゃらに体を引き抜こうとすると、脱出できないばかりか、かえって怪我が大きくなります。
しかも、とっさの数秒間は、本人でさえ大怪我に気づかないことすらあります。
バイクと一緒に倒れてしまったら、まず、素早く後方および周囲の状況を「見て」確認しましょう。
後続の車に突っ込まれたらどの道防ぎようはありませんが、一瞬身構えてわずかでも体を交わす方向に動かせたかどうかが命の分かれ目になることもあります。
周囲を見たら、体を見ます。
何かに刺さったり、体が大怪我をしていたりしないかを見ます。
これも、さっき言いましたが、一瞬の怪我では、本人も大怪我に気づかないこともあるのです。見て、確認してから動くことが大事です。2秒もかかりませんから。
大怪我もなく、動けるようなら、まずはバイクの下から抜け出し、安全な位置まで逃げます。
例えば車道にバイクを放置したまま歩道までまずは逃げて、改めて自分の体をチェックします。
10秒くらいは、大怪我していても動けることがあったりしますから、やはり注意すべきです。
バイクは、自分の体のチェックが終わってから、周囲の確認をして、安全を確保してから起こしに行きましょう。

挟まれないようにバイクをまたいで逃げた場合、
そのままおっとっと…と車道を横に移動してると、やはり後続に撥ねられる危険が増します。
そのためにも、速めにバイクを捨ててバイクから「離れる」ことが重要です。
そして、安全な路外にいったん逃げますが、その際も、動く前に必ず「見る」ことが大事です。
いきなり逃げようと走り出したために転倒したバイクを避けようと回避行動を起こした車の方に走ってしまい、撥ねられる、ということもあるのです。
昔、世界GPのレースビデオで見た事故は、ヘヤピンで転倒した選手が逃げようとコース会うと側に走り出してしまい、転倒車を避けようとアウトにコース変更した後続のバイクに撥ねられるという事故でした。(幸い、死亡事故にはなりませんでしたが、両者大怪我をしました)
このように、立ちゴケの場合も転倒時には「離せ!見ろ!」という原則が大変大事だということが言えると思います。
さらに、当然、ライディングの際の服装によっても怪我の具合は大きく変わることも想像がつくと思います。

(写真はイタリヤ産ガエルネ(GAERNE)の「G-IKE」。写真出典はこちら。)
ブーツのプロテクション性能の進化は目覚しい。
先に書いた根本氏の立ちゴケ骨折事故、ピット作業練習だったので、場所はピット内。しかもすでに走行時間帯は終了し、根本氏は普段着に着替えていました。
靴もその時はデッキシューズ。
立ちゴケの原因は、昼に根本氏が乗った後でサスセッティングが変わって、足つき性が悪化していたため。もしもレーシングブーツなら、挟まれても、デッキシューズよりも高い防護性を発揮してくれたことは充分想像できます。

(同じくガエルネの「№145」。もともと登山靴のメーカーらしい作り。くるぶしを保護するだけでも、大分違う。防護性のみならず、疲労軽減にも、ライディングシューズは効果大。用途に合わせて選びたい。)
足首の部分が靴下だけなのと、ブーツなどが来ているかどうかは、大きな違いとなることは想像に難くありません。
また、半ズボンなどだと路面に直接皮膚がこすれ、熱い排気管などが上からかぶさってきたりすると、かなりの怪我になることもあります。
立ちゴケ程度でも、ちゃんとそた服装は身を守るためにとても大事な役割を果たしているのです。
さて、次回は、スピードが出ている状況での転倒のケースについて考えます。
◇◆注意!◆◇***********************************
このブログのライテク記事はすべて、管理人(樹生和人)が、自分のバイクの経験や、先達の教えなどを、本、雑誌などで読み、学び、また仲間と討議し、考えてきたものです。
所詮は素人であり、バイクに関して個人的な考えを述べているに過ぎません。
このブログの記事の正しさは保証されていません。ご注意下さい。
特に、この転倒シリーズは、間違った考えを身につけると、かえって危険になる場合があり、場合によっては、怪我の程度がひどくなったり、さらに深刻な事態に陥ったりすることも無いとは言い切れません。
当ブログは、このブログを読んだ方の実際のライディングで起こったあらゆる事態について、一切責任を負えません。
決して本ブログを鵜呑みにせず、必ずご自分で調べ、考え、判断し、ご自分でベストの方法を選び、実践してください。
あくまで自分の責任で、自分を人とを守るべく、最大限の努力をする。
それがライダーだと、私は考えています。
なお、明らかな間違いがある場合には、ぜひご指摘ください。よろしくお願いいたします。
(樹生和人)
コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )

« ようこそ、イ... | 一週間の御無... » |
タチゴケ、ついつい頑張って、転倒を止めようとしちゃうんですよね。
以前に、タチゴケを踏ん張って、転倒はまぬがれたのですが、
踏ん張ったせいで膝を痛めてしまったことがありました。
こんな副次的な怪我(私が間抜けなせいもありますが...)の可能性もありますから、
離れるって、大事ですね。
しかし歳を重ねるたび耐えられなくなり
倒してしまいました(笑)
バイクの頭を上り向きにバイクを停めたかったんだけど傾斜が案外きつく途中でエンスト!
「ウォ~!右に倒れる!」右足で踏ん張るが起こせない。
「冷静になれ!」とりあえずギアは入っているからブレーキを放しても下がらない。
でも自分の右足の力だけじゃ起こせない!駐車場は私一人・・・。
「両足なら起こせるが・・・(相当長い時間が経過)・・・そうだ!!!」そのままの体勢で左足をバイクの右側に!
「下半身は両足ともバイクの右側になったぞ!」シートの上にはお腹が乗った状態でサイドスタンドを左手で出した。
「よし良いぞ!おりゃあ~!」何とか立ちゴケは免れた!
次の日、体のあちこちが痛かったのは言うまでもない!(笑)
踏ん張りすぎると筋肉や筋を痛める、と分かっていても、踏ん張るのが人情というものですね。
あんまり早くあきらめても、加速がついてガシャン!と倒すとダメージも大きいでしょうし。
まあ、しかし、私も経験ありますが、
やはりバイクより乗員をいつでも優先すべきなのでしょうね。
私も今までもバイク歴で数え切れないほどあります。
筋を痛めたこともあれば、あっさりガシャンといったこともありました。
倒れかけたままの状態で、倒さずによく左足でまたげましたね。
あきらめないことも大事なんですね。
でも、みなさん、結構トホホしてるなあ…。
笑える失敗は、いいですよね。
…でも我が愛車は7年目69000キロなんで、まだ後2年は行ってくれと言われそうな予感…。。。
しかし悲しいかな私も自分を犠牲にしても
バイクを救いたいという行動をしてしまいます。
起こせなくてもできるだけそっと着地できるよう頑張ります(笑)
いまは大きなガードでエンジンは守られていて
よっぽど体が挟まれることはないだろうと過信してのことですが、、、
お返事が大変遅くなりました。申し訳ありません
郵政カブも110cc化なんですね。
エンジンのトルクは増えていると思いますが、ギヤ比がどうか、というところでしょうか。
氷雨さんの相棒はもう7万キロ近くで、それでもあと二年ですか。
さすがカブ、耐久性もピカイチですね。
お返事が大変遅くなりました。申し訳ありません
普通の立ちゴケなら、多少頑張っても大丈夫なのですが、坂道で少し転がりながらだったり、疲れていて、足のつき場所が変だったりすると、倒れたバイクに挟めれなくても、頑張るときに関節や筋にかなりのダメージを負う事もあります。
その時は一瞬ですので、頑張るか、投げ出すか、瞬時の的確な判断が必要になりますね。
なかなか…、むずかしいものですね。
私はわりと早くあきらめる方です(^^;)ゴメンネGPZ。