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『アウトライダー』という雑誌

バイクに乗る人ならご存知の方も多いと思いますが、『アウトライダー』という雑誌があります。
1986年創刊で、「バイクツーリング」専門誌としては日本で一番の老舗雑誌です。
私はたまたま「創刊準備号」からの読者で、途中、何号か買わないこともありましたが、ほとんどの号を買い求め、愛読してきました。

途中、休刊になったこともありましたが、
現編集長、菅生雅文(すごうがもん)氏が奔走、復活させて現在に至っています。
菅生氏は創刊当時、アウトライダーの学生バイトだった人。
まさにたたき上げてきたツーリング雑誌職人です。

『アウトライダー』は日本のツーリング文化を牽引してきたと言えるでしょう。
美しい写真。
ただ美しいのではなく、バイク旅ならではの旅情がしっかり写りこんでおり、バイクで旅に出たくなるような写真は、スタッフ、カメラマンが全員バイク乗りであり、ツーリング、キャンプの達人だから。

20年以上の愛読者も多く、固定ライターのファンも多い、年月の流れが、ただ流れ去らず、しっかり積み重なっていることが感じられる、稀有な雑誌ともいえると思います。

現在でも連載される、バイクにまつわる短編読みきり小説。
創刊時近く、初期のアウトライダーには原田宗典氏の作品が掲載され、
『時々風と話す』、『黄色いドゥカと彼女の手』(いずれも角川文庫)として刊行されました。
今読むと、80年代後半の匂いがしますが、バイクの出てくる青春短編小説のかなりいい本だと思います。



当時、『ライダースクラブ』はとにかく難しく、「わかるやつだけ分かればいい、しかし、クォリティは絶対に落とさない、最高クォリティを最高の美しさで」という近よりがたいほどのオーラに包まれていましたし、アウトライダーはバイクの旅の深さ、崇高さを、若い読書に知らしめてくれたような気がします。しかも、ライダースクラブが編集部員の圧倒的な力量で作られていたのに対し
アウトライダーは、写真、文章、にそれぞれ一流の(しかし当時はまだ若手でぴちぴちしていた)布陣を配しながらも、読者参加型の雑誌でした。

時が移り、編集部員も読者の平均年齢も上がってきましたが、
アウトライダーは若手を迎え、ライターもベテラン、小説家、若いライター、女性ライダー・ライターなどを加え、
今の時代のバイクツーリングのあり方を、提案しようとしています。

他の雑誌が、ノウハウ本になったり、ガイドブックになったり、
身近で親しみやすく、敷居の低さを売りにして、
便利で役に立つけれども、今ひとつ深さや崇高さを感じさせてくれなくなってきている(私の感覚では「バイカーズステーション」誌は別ですが)(あくまで私個人の感覚ですので^^;)なかで、
『アウトライダー』は旅の深みに、
もう20年以上乗って来たライダーたちをも更なる旅にいざなうような、
バイクの旅の高みを模索しつつ
頑張っているような気がします。

旅情報やガイドブックが氾濫し、ネットで便利に何でも調べれられる時代において、
ツーリング雑誌の使命は、やはり、
情報ではない、「旅」そのものの本質に迫っていくことでしょう。
アウトライダー的な旅へのアプローチは、この時代においてますます貴重で意義深いものとなってきていると思います。

アウトライダー』誌、これからも一読者として応援していきたい(といっても、買うだけですが)と思います。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (まーしー)
2010-03-16 21:31:05
な~るほど。
実は、私、読んだことがないんです。
早速、買ってみようと思います。
達人の旅観、きっといろいろ気付かされることがあるのでしょうね。
楽しみです。

 
 
 
「旅」「時代」「真剣」 (樹生和人)
2010-03-17 03:00:30
まーしーさん、こんにちは。
正直にいってしまうと、アウトライダー誌もライダースクラブ誌と同じように、創刊時のあのオーラは感じられなくなってきているように思います。
しかし、それは、「時代」のせいでもあるかもしれません。
21世紀も10年経とうとしている今、「旅」をすることは、実はどんどん難しくなってきているのかもしれません。
(旅行なら便利になってきているのでしょうけれど)
その中で、アウトライダーは、何か、旅をあきらめず、模索している感じを、受けます。
なんか真剣なんです。今の時代にあまり見かけなくなった種類の真剣さのような気がします。
私の好きな雑誌の1つです。
 
 
 
想像する事 (いのぶー)
2010-03-17 08:59:36
樹生さん、こんにちは
まーしーさん同様、自分も読んだことのない
雑誌なので読んでみたいと思います
ホントに今のネットの時代に、その雑誌の存在がある
ということは何かしらあるんでしょうね
自分は写真やコメントの問いかけに
想像する作業が働くからなのかなと思います
想像は結構楽しいものですよね。
 
 
 
想像と存在 (樹生和人)
2010-03-17 18:50:21
いのぶーさん、こんにちは。
「想像する」ことって、あるかもしれません。
情報はただのデータであり、有用か、無用かしかありませんが、
「存在」には、それを超えたものがあり、我々を考え込ませる…、想像させるのだと思います。
本を読むのも、音楽を聴くのも、旅に出るのも、
「結果」のためのコストではなく、
なにかそのものの中にあり、感じられるもの、
それを感じること、想像していくこと、
その中で出会っていくのではないかと思います。
それは、人も同じかもしれませんね。

アウトライダーの写真、好きです。物語を想像させてくれて。
 
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