バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
ブレーキング=「調速」という発想

(写真は記事とは関係ありません。雨の中、240㎞を走ってきたGPZのフロント周り。)
月曜日の早朝、二輪世界GP、第1戦をTV観戦しました。
去年のチャンピオン、ケーシー・ストーナー選手とドゥカティの組み合わせ、今年も速く、チャンピオンらしい優勝を飾りました。
私が応援しているバレンティーノ・ロッシ選手は5位。
今シーズンも厳しい戦いの始まりです。
TVを見ていて、スピードに劣るロッシ選手が、ブレーキングでラップタイムが自分より速い相手を抜くシーンを何度も見ました。
世界1の技術を持つ人たちが集まっている世界GPで、優勝するマシンとライダーが限界ブレーキングをしている、それを、ブレーキングで抜いていく…。
それで曲がれるのか!?
絶対に曲がれない!
と思う脇を、コーナーのラインに乗せていく、その技術、その精神力を何と言ったらいいのでしょうか。
アナウンサーは「ロッシ選手のレイト・ブレーキング!」と言っていましたが、
このロッシのブレーキング、レイト・ブレーキとはちょっと違うように見えました。

(この写真も関係ないですね。積丹半島の道から。6月の晴れた日でした。)
「レイト・ブレーキ」、直訳すると、「遅いブレーキ」。
一般的には、ブレーキのかけ始めを限界まで遅らせて、恐怖心に耐え切れず、減速を始めてしまうライバル達に対し、奥まで突っ込んでいくことを指しているようです。
ロッシ選手もストレートで加速に勝るマシンに抜かれ、ブレーキング直前には後ろにいたのに、コーナーへの飛び込みでは前にいる。つまりブレーキング区間で抜いているわけですから、曲がれるぎりぎりの所までノーブレーキで突っ込んでからハードブレーキするレースの感覚から行くと、さらにブレーキング開始を奥に追い込んだレイト・ブレーキで抜いたと思うところです。
ところが、TV画面を見ていると、ブレーキングの開始は、ライバルとほぼ一緒。
ブレーキング区間の後半でロッシ選手が前に出ることが繰り返されています。
つまりロッシ選手の世界一の(と言ってしまいましょう)ブレーキングテクとは、限界まで我慢してからハードブレーキ!ではなく、ブレーキングを開始してから、コーナーにライバルより前に出て進入し、かつラインに乗せるぎりぎりの速度に持って行くように、限界ブレーキングから【ブレーキを緩める】、その技術。
ただの減速でも限界ブレーキッ!!でもなく、
驚くべき「速度調整能力」、『【調速】ブレーキング』なのです。
同様のことは、80年代後半から90年代初頭にかけて最もハードな突っ込みで知られたケヴィン・シュワンツ選手のブレーキングについても言えます。彼もまた、ライバルと同時にブレーキングを開始し、ブレーキリリース(緩め方)によってライバルをパスしていたのです。
ブレーキングテクニックとは、単にタイヤの限界でブレーキし続けることだけを指すのではなく、
狙った速度に正確に、狙った過程で(つまりブレーキング途中の減速のしかた全てを含めて)、調速する。
そのことも指す。いや、公道で走るライダーにとってはそのことの方が大きな意味を持つ。と、私は考えるのです。

さて、おなじみのコーナーアプローチの図。
ブレーキングのA~C区間。
どんなふうにブレーキングを始め、どんなふうに減速し、どんなふうにブレーキを残してリーンに備えるのか。

上の図はブレーキングの3区間のブレーキの強弱を模式的に書いたものです。
グラフが高いほど、強いブレーキをかけていることを指します。
この山の形をどうアレンジするか。
どれくらい強くブレーキをかけ、どれくらいブレーキを緩め、その区間をどれくらい長くとるか。
このコーナーに自分と愛車が侵入するのに理想的な速度はどれくらいか。
その速度、その状態に、コーナー進入時にぴったりセットできるか。
ブレーキングとは速度調整の芸術。そして、タイヤにマイナストラクションを発生させ、グリップ感を調整する技術であるという側面も持ちます。
ただのレイトブレーキングではなく、『調速アーティスト』を目指す。
その方がライディングの引き出しがたくさん増えると、私は思います。
<お知らせ>
ライテク関連の当ブログ記事一覧は、記事右のサイドバーの中にある「カテゴリー」から<ライテク>をクリックすると15件ずつ表示されます。または、こちらのクリックでも同様のページが開きます。
⇒ライテク記事目次へ。
⇒ブログトップページへ。
月曜日の早朝、二輪世界GP、第1戦をTV観戦しました。
去年のチャンピオン、ケーシー・ストーナー選手とドゥカティの組み合わせ、今年も速く、チャンピオンらしい優勝を飾りました。
私が応援しているバレンティーノ・ロッシ選手は5位。
今シーズンも厳しい戦いの始まりです。
TVを見ていて、スピードに劣るロッシ選手が、ブレーキングでラップタイムが自分より速い相手を抜くシーンを何度も見ました。
世界1の技術を持つ人たちが集まっている世界GPで、優勝するマシンとライダーが限界ブレーキングをしている、それを、ブレーキングで抜いていく…。
それで曲がれるのか!?
絶対に曲がれない!
と思う脇を、コーナーのラインに乗せていく、その技術、その精神力を何と言ったらいいのでしょうか。
アナウンサーは「ロッシ選手のレイト・ブレーキング!」と言っていましたが、
このロッシのブレーキング、レイト・ブレーキとはちょっと違うように見えました。

(この写真も関係ないですね。積丹半島の道から。6月の晴れた日でした。)
「レイト・ブレーキ」、直訳すると、「遅いブレーキ」。
一般的には、ブレーキのかけ始めを限界まで遅らせて、恐怖心に耐え切れず、減速を始めてしまうライバル達に対し、奥まで突っ込んでいくことを指しているようです。
ロッシ選手もストレートで加速に勝るマシンに抜かれ、ブレーキング直前には後ろにいたのに、コーナーへの飛び込みでは前にいる。つまりブレーキング区間で抜いているわけですから、曲がれるぎりぎりの所までノーブレーキで突っ込んでからハードブレーキするレースの感覚から行くと、さらにブレーキング開始を奥に追い込んだレイト・ブレーキで抜いたと思うところです。
ところが、TV画面を見ていると、ブレーキングの開始は、ライバルとほぼ一緒。
ブレーキング区間の後半でロッシ選手が前に出ることが繰り返されています。
つまりロッシ選手の世界一の(と言ってしまいましょう)ブレーキングテクとは、限界まで我慢してからハードブレーキ!ではなく、ブレーキングを開始してから、コーナーにライバルより前に出て進入し、かつラインに乗せるぎりぎりの速度に持って行くように、限界ブレーキングから【ブレーキを緩める】、その技術。
ただの減速でも限界ブレーキッ!!でもなく、
驚くべき「速度調整能力」、『【調速】ブレーキング』なのです。
同様のことは、80年代後半から90年代初頭にかけて最もハードな突っ込みで知られたケヴィン・シュワンツ選手のブレーキングについても言えます。彼もまた、ライバルと同時にブレーキングを開始し、ブレーキリリース(緩め方)によってライバルをパスしていたのです。
ブレーキングテクニックとは、単にタイヤの限界でブレーキし続けることだけを指すのではなく、
狙った速度に正確に、狙った過程で(つまりブレーキング途中の減速のしかた全てを含めて)、調速する。
そのことも指す。いや、公道で走るライダーにとってはそのことの方が大きな意味を持つ。と、私は考えるのです。

さて、おなじみのコーナーアプローチの図。
ブレーキングのA~C区間。
どんなふうにブレーキングを始め、どんなふうに減速し、どんなふうにブレーキを残してリーンに備えるのか。

上の図はブレーキングの3区間のブレーキの強弱を模式的に書いたものです。
グラフが高いほど、強いブレーキをかけていることを指します。
この山の形をどうアレンジするか。
どれくらい強くブレーキをかけ、どれくらいブレーキを緩め、その区間をどれくらい長くとるか。
このコーナーに自分と愛車が侵入するのに理想的な速度はどれくらいか。
その速度、その状態に、コーナー進入時にぴったりセットできるか。
ブレーキングとは速度調整の芸術。そして、タイヤにマイナストラクションを発生させ、グリップ感を調整する技術であるという側面も持ちます。
ただのレイトブレーキングではなく、『調速アーティスト』を目指す。
その方がライディングの引き出しがたくさん増えると、私は思います。
<お知らせ>
ライテク関連の当ブログ記事一覧は、記事右のサイドバーの中にある「カテゴリー」から<ライテク>をクリックすると15件ずつ表示されます。または、こちらのクリックでも同様のページが開きます。
⇒ライテク記事目次へ。
⇒ブログトップページへ。
コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )

« SRV250... | 冬にさよなら。 » |
地上波では放送してないですよね?まだ。
見たいのですがいつやるか分からなかったり。。
今週テレビガイドでもチェックしてこようと思ってます。
ブレーキは次ぎに行くための止まるだけの手段とでしか
昔はとらえてませんでした。
次により早くどう操作すればいいのか・・・。
ブレーキ操作でカーブも上手く回れるかどうかが
変りますもんね。
今はまだなんとなくでしか出来てないかもです^^;
TVは「日テレG+」で、有線放送です。
深夜1:45~朝6:30という、過酷な時間の生放送で、私は5時からMOTOGPのみ、見ました。
ブレーキングは減速のパターンを自分の中で何パターンも持っていると、走る上で余裕ができますね。
ブレーキングの強さも、自分の中で例えば10段階くらいに分けて、今は7くらい、6に緩めた…などと、ブレーキング自体を意識して楽しみながら運転すると、ライディングの引き出しもまた、増えていくように思います。
とはいうものの、何度も書きますが、私の実際の乗車技術は年々下降傾向…。今年はリハビリの年にします。
購入したのはネモケンさんが書かれたバイク乗れてる大図解とバイク曲がれる大図解という本です。
ZRX1100やゼファー1100がイラストと写真で使用されています。ビッグネイキッドを扱うイロハが書かれており、ドンピシャの内容でした。
コーナリングは徹してリアステアを大切にするよう記されています。
また、複合コーナーの考え方など実践的なアドバイスも豊富で非常に勉強になりますが文中で出てくるコーナリングフォースやトラクション、セルフステアなどの用語の解説は少なく、事前に樹生さんのライテク記事を読んでいなかったら理解が難しかったと思う箇所があります。
話がそれてしまいました。
コーナリングのブレーキについてです。
A地点で軽くブレーキ入力、フロント荷重を増して本格的なブレーキに備える
→B地点からC地点にかけて本格的なブレーキ、ブレーキングはほぼこの区間で終える
→C地点からD地点までブレーキ解放はまだ
→D地点でフロントブレーキ解放と同時に旋回に入る
と大まかにはこのように書かれているのですが2つ疑問があります。
1つはフロントブレーキ解放と同時にバンキングの部分です。
フロントブレーキ解放と同時にトラクションを失って車体が不安定になる瞬間を利用して旋回に入る!の部分が強調して何度も出てくるのですが、これが体感できません。
B→C区間で安全に曲がれると思う速度までブレーキをかけることも同時に書かれていますので、そうするとC→D区間は薄いブレーキで感覚としては1、2センチフロントフォークが沈むようなブレーキになります。
ここからフロントブレーキを離すと同時に寝かす場合と、既に十分速度は落ちているのでC区間を過ぎてすぐフロントブレーキを離した場合の差が感じられないのです。
フロントブレーキ解放と同時にバンキング!で面白いほど曲がるとあるので、うまくいけば私の知らない世界が開けているような気がするのですが、このテクニックはもっと高い速度域のことを想定しているのでしょうか?
樹生さんもブレーキングはすなわちマイナスのトラクションであると説明されていますので安定感のあるコーナリングにするために旋回開始までフロントブレーキもかけるようにしています。
しかし私のようなフロントフォークが1センチ沈む程度のブレーキではあまり意味をなさないのでしょうか?
もう1つはこの操作をしている時のリアブレーキの扱いです。私はA地点のリア、フロントブレーキ開始から一定の弱い入力で、フロントブレーキを離すと同時にリアブレーキを離しているのですが、本にはこの間のリアブレーキの操作について記述がまったくないので疑問に思いました。
ブレーキの開放と同時にリーンで曲がる方法には、もうひとつ前提があります。
それは、「ブレーキングで直進中に体重移動を終えておく」、ということです。
当然、体重移動したのですから、バイクはその方向へ曲がろうとし、事実緩やかに曲がり始めます。
それをブレーキの力であまり曲げずに「ほぼ」直進させておいて、「ここ」というところでブレーキを離すと、自動的にバイクはバンク角を深め、それに逆らわずに体重を預け、ハンドルから力を抜いておくと、そこでバイクはかくっと向きを変える……というのが、ブレーキ開放による「向き変え」です。
これを実感するには、交通量のほぼ皆無の幅の広いいい道か、広い駐車場のようなところで、例えば30kmくらいで(これは60kmでもいいです。)バンク角10~20度未満の浅い角度で緩やかに旋回していきます。
緩い下りだと最適です。平らでも緩い登りでもいいです。
そして旋回中に慎重に、「そっと」『フロントブレーキ』を掛けます。すると、バイクが立ってきます。
コーナリングフォームや体重のかけ方を、さっきまでと同じように、旋回状態に維持するように心がけていると、倒れようとするバイクと自分を、ブレーキが起こしているような力関係を感じるはずです。
その両方の力が拮抗している状態から、ぱっとブレーキを離すと、すっとバイクは再び傾きます。その時、ライダーは、バイクを倒そうと体重移動したり、ステップに入力したり、ハンドル操作したり、一切していません。
ただ、緩く浅いバンクで旋回中に、ブレーキで起き上がってきたバイクに対し、旋回中のままの態勢でいて、ブレーキを離しただけです。
これが、ブレーキ開放の「向き変え」です。
これはもう少し遅い速度域、例えば八の字走行中にフロントブレーキをかけても、実感できると思います。
ただし、フロントブレーキはガツッとかけるとロックしたり、切れ込んだりして一気に転倒するので、慎重にすることが必要です。
慣れてくると、じわっとやれば結構強くフロントがかけられることに気づくと思います。
話を戻して、C区間になる前に、体重移動が終わっている場合と、C区間も直進時と同じ態勢で走り、Dポイントで一気に倒そうとする場合とでは、ブレーキ開放による効果は、まったく変わってきます。
予め体重移動がないなら、C区間をとっても、とらなくても、曲がり始めにあまり違いは感じられないはずです。
また、プロ級になると、C区間では確かにフルブレーキングはしていないものの、フロントフォークは殆ど伸びあがってこない程度の強さにブレーキを残し、その強いブレーキングGによる曲がりにくさを利用して、自分の態勢をコーナリング時と同じまで持っていき、倒し込みポイントで、倒れ込むのと同調させてブレーキレバーを離していきます。
すると、減速Gによって縮められていたFフォークは、減速Gが抜けるのに従って、今度は旋回Gで縮められるようになり、結果として、フロントフォークは上下動しない、つまり、ピッチング方向の姿勢変化が殆どないままにコーナリングに移行していくということができます。ブレーキングGを旋回Gに「置き換える」のです。
これは、ブレーキングからコーナリングまでずっとフロントタイヤの面圧が変わらないことも意味しており、スリップしにくく、タイヤの性能を無理なく最大限に使用しつつコーナリングに入るというコーナリングになります。こうなると、本人は狙った通りにスロー&スローインしているにも関わらず、後続には、すごい速度でレイトブレーキングから、いきなりきっかけもなく、ズバッと瞬間で旋回状態にスイッチしたように見え、猛烈に速いアプローチに見えます。
ブレーキ開放とリンクさせるリーンは、そのエネルギー落差を利用するので、フロントブレーキの残りが強いほど、その効果は劇的に現れます。
Fフォークが1cm沈む程度ですと、減速Gもあまり強くないので、効果を体感するのは難しいかもしれません。
ただ、強く残しても、弱く残しても、体重移動がブレーキング中に終わってなければ、エネルギー落差を利用したリーンではなく、直進状態から旋回状態へとロールの動きを入力する(リーンさせる)ことによって、旋回へと入っていきますから、ブレーキ開放の効果は、あまり感じられないでしょう。単純にブレーキが終わっていた方が車体が軽く感じるということになるはずです。
この感覚をマスターするには、
最初に書いた実験を(くれぐれも安全確保の上で)してみるといいのですが、半径8mくらいで円を描き、ぐるぐる回りながら、アクセルは一定に開くようにしておいて、リヤブレーキ、フロントブレーキを、慎重にそっとかけてみる実験を繰り返すといいかもしれません。
リヤだけをかけた時は、バンク角はそんなに変わらず、後ろから引っ張られた感じで、ちょっとだけ速度が落ちるはずです。(ブレーキング中もアクセルは一定です。)
フロントだけかけると、止まろうとする前輪をリヤが押すことになり、傾いたマシンは起きようとします。
時速で30kmも出ていれば十分体感できると思います。
やりすぎは即転倒になります。
くれぐれも、慎重に、徐々に、試してください。
決して一足飛びはいけません。
この関係が体に沁み込むと、カーブ手前のブレーキングで体重を移動してしまいながら(その間直進性が高まっているので、そんなに進路は乱れません)、倒し込みポイントでブレーキ開放とともに減速Gに耐えていた体の力を抜くと、それだけで、マシンは倒れてきて、旋回に移行できる……ということになります。
一気には難しいです。
徐々にあくまでも慎重に一歩ずつあるいは0,1歩ずつ、試してみてください。
さて、リヤブレーキですが、
ロックさせないように、軽めに、ブレーキング開始からリーン開始まで、緩やかにかけておくのがセオリーです。
リヤブレーキは、車体が後ろから引かれたように感じ、安定性も増します。
離すのは、フロントと同時。同調させて離すのがいいです。
ハードブレーキングとなると、荷重の殆どがフロントにかかるので、リアブレーキの減速への貢献度は下がることになります。しかし、リアブレーキの使用目的には減速そのものだけでなく、姿勢制御の意味もあります。
それはまた、別の機会にしますね。
リヤは丁寧に、ロックしない程度に、優しく踏んでおく…というのが「当面」はいいのではないかと思います。
お忙しい中本当に丁寧にアドバイスしていただきありがとうございます。
ブレーキング中に体重移動を終えておくんですね!
おっしゃるように、私の曲がり方はブレーキ終了と同時に体を内側に入れるものです。
体重移動とブレーキングは同時に行っていませんでした。
なんとなくイメージできました。
いっちょまえにイメージだけですが^^
広い駐車場などで少しずつ試していきたいと思います。
バイクの操作は本当に奥が深いくて面白い。
ライテクを考えるようになってから驚くことばかりですね。
ネモケンさんは本の中でリアステア重視のコーナリング中にはフロントタイヤの接地感は希薄に感じるかもしれないがこわがることはない、リアのグリップ感をしっかり感じながらスロットルを開けていけと書かれていますし。
ハンドルを持つ手は力を抜いて自然に舵角が付くのがよく、そしてバンク開始はこれまた余計な入力をすることなくブレーキング中に体重移動を終えてブレーキ解放と同時にバイクと一緒に倒れ込んでいくんですね。
なんというか積極的にバイクを走らせようとするほどリラックスして自然な操作が多くなるところが意外です。
本当に、ライディングは奥が深いです。
だんだん武術的な動きに近くなっていきます。
でも、段も級もありませんし、人と競争(競走)することもなくて、自分で成長していけばいいので、私にはとても向いているようにも思います。
もちろん、レースとなれば競走が楽しいのですが、操作自身を楽しむのは、レースやジムカーナなどの競技をしなくてもできるのがうれしいです。
完全に力を抜いていくのが理想なんですが、
ブレーキングのGが強くなると、どうしても少しは腕で体重を支えてしまうものですし、ハンドルから完全に力を抜きたくても、少しは逆ハンなどの入力をしてしまうものでもあります。
でも、そうした感覚をフィードバックしながら、いかに無理なく、自然に、バイクの本来の運動性を生かすように走っていけるか……これがまた、ライディングの大きな醍醐味の一つで、うまくいってもいかなくても、その過程自体を、心底楽しんだもの勝ちだぜ!なんて、おもうのでした。
ライディングはその都度、個別、固有の現れ方をしますので、すべてを言語化することは不可能です。でもそうした「ものさし」や「カガミ」を持つことで、自分のライディングがよりよくなっていくのを実感しながら走れたら、危険性を徒に増すことなく、ライディングの向上ができると思います。
究極は水のように、風のように……ですね。
楽しいです。
駐車場で定常円でフロントブレーキをかける、リリースするをやってみました。
アクセル一定でフロントブレーキをかけるのはやってみるとけっこうこわいですね^^
アクセルを戻していないのに車体が起きたり寝たりするのは狙ってやらないと感じることがない挙動です。
一足飛びにしないようじわじわと試していますが少し感覚がわかってきたかもしれません。
小さなカーブで曲がる時にブレーキ+体重移動からフロントブレーキ解放で倒れ込んでいく感覚は得られるようになったと思います。
普段よく行く南畑ダムや五ヶ山ダムは道端が狭く小さなカーブばかりなので少しずつ応用できそうです。
本にはリーンするポイントでフロントブレーキをゆるめて同時に向き変え、しかしフロントブレーキ完全解放はまだ!と書かれている箇所があります。向き変えの時のフロントブレーキのリリース量は信号停止の瞬間にフロントフォークが沈み込んでガックンとならないようにフロントブレーキをゆるめるのと同じ程度と書かれています。
峠を曲がるスピードでやるのは高度な技術ではないですか?
難しいです。
向き変えからトラクションをかけ始めるまでの時間はわずかですし私には解放してしまった方が走りやすいです。
というより必要を感じないのでこれは私とは比較にならない速いペースで(笑)攻めた走りをネモケンは教えようとしていると思ったのですが樹生さんはどう思われますか?
長文になります。すみません。
まず、実験はバイクの挙動を体感するためのものですので、こわいと感じたらその先はしないほうがいいです。
柏秀樹氏が言っているのですが、笑顔でいられる範囲で試すのが大事だと思います。
根本氏も怖さを我慢してはいけないと言っていますね。くれぐれも無理はなさらないでください。
さて、根本氏のいう、信号停止の瞬間にFフォークが沈み込んで
止まった直後に伸びあがってくる「カックン」を防ぐためには、
止まる直前というか止まる瞬間に、ブレーキを少し緩めるわけですが、
これはこれで、信号停止の度にいろいろ試してみると、楽しいと思います。
もちろん、完璧にフロントフォークが微動もしないというのは不可能ですから、
いろいろやってみて、「なんだかスムーズになってきた」という感覚があれば
それで十分です。
それが無意識にできるようになると、向き変えの瞬間にブレーキリリース
しながらも、少し残してバンクが一番深くなる時までになだらかに
すーっと全開放する…というのも、
ごくごく自然なフィーリングでできるようになると思います。
実はこれは、高速コーナーではなく、低速で回り込んだコーナーの時の方が
ぴったりくる感じです。
高速の浅いコーナーでの向き変えは、逆に小さなアクションで、
ブレーキもスッと全開放、リーンもその瞬間にパッと完了にするほうが
走りやすいです。
ですから、これ、街乗りからツーリングレベルのゆっくりしたペースでも
有効な方法だと、私は理解しています。
ゆっくりで安全なので、おだやかに、すいっとやる…というイメージです。
峠で飛ばし気味の時にするのは、やはり完璧にするのは難しいので、
直進からバンクが安定して旋回になるまで、Fフォークがびよんびよんと
大きく動いていないかをチェックする程度でいいと思います。
Fフォークが激しく上下すると、特に伸びあがってから縮むまでの間、
タイヤの面圧が低くなり、つまりグリップ力が落ちて、旋回が不安定になります。
そうならない程度に、「おー、スムーズじゃん」と思う程度でOKです。
そこから、どれだけ無駄な挙動を削ぎ落していくかは、
楽しみながらの上級編のトライになります。
でも!
ブレーキを残さず全部開放した方が走りやすいのであれば、
それで今無理しなくてもいいのではないかと思います。
私の場合、モトグッツィV7は昔風の作りなので、
ブレーキを残してフロントも使って旋回していくよりも、
直線で減速は終え、倒し込みの時が一番遅くて、
そこから後はコーナリング中、加速一辺倒の方が気持ちよく、
安全マージンも大きいことが多いです。それで、
私は殆ど直線でブレーキングは終了し、倒し込むと同時にほぼ全開放、
バンクをアクセルを開くことで止めるようなニュアンスで走ることが多いです。
「直線時にブレーキングしながら体重移動を終了、ブレーキ開放と同時にリーンしていく。」
これも一つのパターンとして、身に着けると、安全でマージンの大きな
ライディングができると思いますが、
「直線でブレーキングを終了。開放と同時に体重移動、リーン。すぐにアクセルを開けて旋回…。」
という走り(nogさんの前の走り方ですね)も、「あり」。
こちらの方が実は体重移動を無駄なくするのは難しくて、
極めようとすると高度なのですが、
日常的にクルージングしながらカーブを曲がるときになんかはそうしてしてますから、
こちらが怖くないのなら、この方法でOKですね。
で、傾けるときに無理なく、どんな時でも自分の意図したように傾き、
そして傾いたと同時に、いつも意図したように旋回が始まるようにするには
どうやって傾けたらいいか……。
という、そっちにライテクのテーマは戻っていきますね。
「逆ハンドル」、「イン側ステップ荷重」、「体重の載せ替え」……。
私流にいう「もたれかかり」など、いろいろやり方が言われていますので、
どれも極端に、急にやらないようにして、いろいろ試しながら
楽しみながら自分のライディングの引き出しを増やして行くといいと思います。
現在のライテクの主流は、逆ハンドルやイン側ステップへの荷重はしない
というものになっていますが、おだやかに、そっとでしたら、いきなり危険でもないですし、
それぞれ、どうなるかを試して身体で知っておくことは、とてもいいことで、また楽しいと思います。
その上で、最も安全で効率がよく、自分の頭と身体で納得のいくのはどういうものかを、探っていく、構築していく。
これもライディングを深めていく大きな楽しみの一つだと思います。
安全に事故なく走れている時点で、OKなわけですから、
そこから先は、趣味の世界。
楽しんで向上していけばよい。
…というものだと、私は考えています。
長くなってしまいました。
すみません!
ここまで言っておいて何ですが、
ご存知の通り、私はライテク好きの一素人に過ぎません。これは、あくまでも、一素人の個人的意見にすぎません。炉端会議での発言のようなものです。
どうか、私の言うことを過剰に信用なさいませんように、疑ってみて、ご自分のご判断を大切になさってください。