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ライテクの基本線

私にとって、ライディング技術とは何か。
私はどんなライディング技術を求めているのか。
以前、その目標についてお話ししたことがありました。(「I’m here.-ライテクの目指すもの。」)

その中で私は、「あらゆる状況下において、自分とバイクとを、自分のコントロール下に置くこと」です。と定義して、さらに、

  夜、朝、夕、昼、晴れ、曇り、雨、嵐、田舎、都会、林道、高速道路、舗装路、ダート、春、夏、秋、冬…。

  あらゆる天候、
  あらゆる路面、
  あらゆる速度、
  あらゆる状況下において、
  自分の意志の下に、自分とバイクの状態を制御していること。
  自分の意志で、バイクを走らせていること。

と、書きました。

もちろんこれは、私が遥かに目指しているものであって、実現できているものではありません。

自分の目標を自分で分析するのも変ですが、私がなぜこんな目標を持つようになったのか、
今日はそのお話です。



若い頃、私はほとんど必死といってもいくらいの勢いで峠に通い、自分の走りの限界にチャレンジしていたことがありました。
でも、私はレースに憧れながらも、実際にレースをしようとは思いませんでした。

技術の向上のために、ジムカーナの真似事のような練習をし、実際にジムカーナの大会に出たこともありました。
しかし、非常に楽しい競技会だったにも関わらず、順位をつけるということにどうも馴染めず、その中で上を目指していくことにも燃えられず、競技に出ることはその後ありませんでした。

バイク雑誌『ライダースクラブ』のサーキット走行会「ライディングパーティー」にも、何回か参加しました。根本健氏の後ろに乗っての走行や、たっぷりある自由走行時間に思い切り走れることが魅力で、好きな走行会でした。99年4月に北海道に引越して以降、サーキット走行はもう11年以上していません。

私はどうも「最速」や「最高」や、「人よりも速い」、「人よりも上手い」ことにあまり燃えられない性質らしいのです。

エディ・ローソン選手に憧れた80年代から、現在まで、世界GPのプロフェッショナルレーサーたちの最新のライディングには非常に興味がありますが、彼らと同じ速さで走ろうとは思わないし、私には私の走りがあるように思えるのです。

それは、私が、忙しい中で走ることに餓えていたライダーだったからかもしれません。



20代や30代の頃、広島県に住んでいた私は、仕事に疲れ、ストレスにつぶされそうになると、土曜の夜と日曜の休日を使って、ひたすら走るツーリングに出ていました。

例えば、
土曜日夜12時に広島市を出発、山陽自動車道を徳山に走り、午前3時のフェリーに乗り、九州国東半島の国見町へ。
午前5時にフェリーを降りたら、国東半島の広域農道、オレンジラインを走って別府へ。
そこから由布院を経由してやまなみハイウェイを走り、阿蘇へ。
阿蘇の山を縦断して、高森から矢部の通潤橋を通り、砥用町からダートの内大臣林道を越え、五木村へ、五木村から八代方面に下って、九州自動車道に乗り、一気に広島まで帰る…。
みたいなツーリングをしていたのでした。

今ではとてもできないし、やるべきではない強行軍でしたが、若さで押し切っていたのですね。
他にも四国の国道439号線(ヨサク酷道として有名でした…)や剣山スーパー林道など、1車線やダートをオンロードバイクで延々つないで走ることも多く、1回のツーリングで1000kmを越えることもよくあったのです。



昔は天候に関わらずツーリングに出ましたし、いつもソロだったので、ひとりでいつも判断をして、トラブルに遭わないようにしないと帰れない状況だったのです。

そこで必要となったライテクは、瞬間の速さではなくて、安全で、疲れず、そこそこ速い(遅いと時間がよけいにかかって疲れてしまう)運転技術でした。
しかも、私の走る道はツーリング先なのでいつもはじめての道、1車線でブラインドだらけの道です。カーブの向こうで道路に穴が開いていたり、いきなり水たまりになっていたり、落ち葉が散り敷かれていたり…そんなこともよくあります。
また、四国の山奥の道など、直線区間がほとんどないような1車線のつづら折が50㎞も60㎞も続くのです。
夕方、700㎞以上走ってきて夕方に冷たい雨に打たれながらそんな道を宿まであと80㎞走らねばならない…なんてことも、よくありました。



そこでは、ジムカーナの技術もサーキットでの速く走る技術も、教習所の技術も、すべてそのままでは使えません。しかし、それぞれの技術が自分の身体に息づいていれば、それらを応用しながら走りぬけていけます。

たぶん、私のライテク観は、圧倒的に多くの時間をソロで走り、しかも、オンロードバイクでダート林道でも入り込み、天候によらず、疲れた状態でも走り続けるようなスタイルの中で、それが可能となり、事故せず、無事に帰り着くための技術として形成されていったのだと思います。

公道ライテクの基本は、生還すること。
「サバイバル」…それがライテクの基本線であることは、私の中では年が過ぎても変わっていません。



人と優劣を比べない。
速さを誇らない。
上手さの幻影に捕われない。

速さ、上手さを求めはしても、それに飲まれないあり方。
生還することを何よりも優先するライテクのあり方。
そうしたことを目指したいと思ってきました。



さて、若かりし頃のきついツーりングの中で安全に走りぬくためには、疲れず、ある程度速くも走れるライテクが必要でした。

最速の限界ブレーキングや、アクセルターンや、パワースライドや膝すりコーナリングよりも、
無理のないライディング。バイクの行きたいように行かせてやる、そんな操作。
グネグネ、ブラインドの1車線の道を、ずっと走っていけるバイク操作、雨でも、夜でも、風が吹いても、最小限の乱れでかわして行く、そんな操作です。

それは、バイクをこじらない、バイクを押さえ込まない、バイクと格闘しない、そんなライディングでした。

それが、私のライテクの現在までの基本線になっていると思います。
ライテクシリーズ、次回から、安全で、そこそこ速く、疲れない、バイクに逆らわず、バイクに寄り添って、バイクを生かして走り続けるための方法論について、改めて考えていきたいと思います。
主役は「ロール軸」と、「ライダーの重心コントロール」の2つ。
長期連載になりそうなので、間を空けて他の記事も挟みつつ、じっくり書いていきます。
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肩に力入っていませんか? (ada)
2010-02-14 21:33:43
ブログも自然体で、書きたいときに、書きたいことを書く。

これからも、樹生さんのペースでブログを楽しんでください。
でないと、疲れちゃいますよ。

ご指摘の通り、最速の走りより、理のない走りが、一番のような気がします。
そして、笑顔で「ただいま」と言えるツーリング。

私も目指したいバイクスタイです。
 
 
 
Unknown (ada)
2010-02-14 21:35:11
>里のない走り

無理のない走りでした。
一字抜けてしまいました。

失礼しました。
 
 
 
Unknown ()
2010-02-15 00:01:40
樹生さん、こんにちは。自分は山に走りに行く時、いつも納得の一本がでるまで何回も往復してました。後半になるほどバイクをこじらない、押さえこまない、格闘しないすべてがあてはまってしまいました。昨日のほうが上手かったなー!とかさっきよりも変だとか、走ってるうちにだんだんヒヤリハットが増えてきます。そんな時は諦めます。同じ道でも、同じく走れたためしがありません。早く走りたいわけではありません。上達したいんです。どうしたらいいのでしょうか?
 
 
 
若きころ (わか)
2010-02-15 06:21:28
広島在住時には生きていることを確認するためにという
感じで廿日市から森林公園を自分の限界を超えるペース
で走ってました。140キロオーバーでコーナーを抜け
る度に『生きてて良かった~』と思ったものです。

今では自分での操舵感覚と車体の挙動が異なる場面が多
く、その度に下手さ加減を痛感するばかりです。
元々下手くそが無理していたわけでやっとその辺に気付
くとしになったということでしょうね。
少しずつでも相棒とシンクロ出来るように今年は走り込
みたいと思っています。
 
 
 
Unknown (まーしー)
2010-02-15 12:34:52
オートバイに乗っかっているだけなのか、
オートバイを無理矢理走らせているのか、
オートバイとしっかりシンクロできているのか、
このあたりの違いは大きなものですね。

 >>主役は「ロール軸」と、「ライダーの重心コントロール」の2つ

この2つの切り口、オートバイとのシンクロでは、かなり重要ではないかと、私は思っていますが、
感覚的な把握だけで、うまいこと理解できていません。
今シリーズも、樹生さん流の切り口、楽しみにしています。

 
 
 
りきんでますね(^^;) (樹生和人)
2010-02-15 18:30:56
adaさん、こんにちは。
ご指摘の通り、ガチガチに力んでしまっています。(^^;)
adaさん、ありがとうございます。
ゆっくり、疲れないように行きます。
(ブログ自体は私自身書いてて楽しいのですが、仕事で疲れ果ててしまって、体調を崩したり、更新もできない日も続いて、それで少し焦ってましたね。)
ロール軸は何回も書いてますが、もう一回、じっくり解析します。これは長年のテーマでもあるので、楽しみです。
私にとって大事なテーマなので、ゆっくり、時間をかけて書きますね。
遅々とした歩みになりますが、よろしくお願いします。
 
 
 
イメージを (樹生和人)
2010-02-15 19:02:22
竹さん、こんにちは。
納得の1本、私もかつて求めて何度も何度も同じ峠に通いました。
速さを求める場合、ストップウォッチで区間距離を測りながら走ると、タイムが縮んだら進歩した、と分かりますが(現実には「進歩」はもう少し難しいものですけど)、上手さを求める時は、遅くなっても上手く走れることがあるわけで、自分の求める上手さとはどんなものなのか、のイメージが必要ですね。

速くてもリズムが取れずに怖くて無理してる感じで危なっかしく自分で感じることもあれば、ただ必死で走っただけなのに、何だか非常に「いい感覚」に覚えるときもあったりと、自分なりの「上手さ」、「求めるライディング像」が定まるまでは、試行錯誤が続きますし、迷いも多いと思います。

しかし、「ヒヤリハット」が走る毎に増えるようでしたら、何らかの方法が間違っている、と考えた方がいいかもしれません。
同じペースでなら、走る度にヒヤリハットが減っていかなければならないはずだからです。

特に、公道の場合、それもビッグバイクの場合は、ワンミスが命にかかわることもあるので、「ヒヤリハット」の手前で、トライすることが大事だと思います。

具体的には、まず、ヒヤリハットのないペースで走ります。
そして、そのペースを保ちつつ、安全マージンをどれだけ増やせるか、どれだけ自由にコントロールできるか、どれだけ精神的にも余裕を増やせるか、を課題として、走りこみます。
その間はペースアップ禁止です。
例えばブレーキ開始ポイントを絶対に遅らせないようにしながら、いかに余裕のあるブレーキングができるかにトライ。
例えば旋回速度を上げないようにしながら、いかに前後タイヤをこじらずに、自然に曲がれるかにトライ。
または。アウト-イン-アウトの結構ぎりぎりラインだったとしたら、車線のセンターキープのラインや、アウトーインーインで曲がれるか、などにトライしていきます。
すると、上手く行けば行くほど、同じペースでも余裕が生まれ、特に急ごうとしなくても自然にペースアップできる「余裕」が増えていることが感じられるようになってきます。
そうすれば、また安全マージンを残しつつ、ヒヤリハットが起きない範囲で少しだけペースアップし、再びそこで安全マージンを広く大きく取れるような走りにトライする…。
たとえばそんなトライも考えられると思います。

しかしこれも一例です。
一番いいのは自分の求める上手さの走りをイメージ化することだと思います。
雑誌、本、DVDも最近ではありますので、自分の目指すライディングに近いイメージを実際に見せてくれる人を探して、そのイメージをまず持ち、そのイメージと自分のリアルな走りとを比べながら、次第にただイメージを追うだけでなく、「自分の走り」を作っていければ、理想的だと思います。
私は20代の頃、月刊ライダースクラブを毎号隅から隅まで読んで、写真を目に焼きつけて、自分の走りの中でそのイメージとの共通点を探そうとしていました。

人により、理想の走りは違い、むちゃくちゃでない限り、いろんな走り方があってもいいのがバイクライディングです。人と自分を危険に晒さないように気をつけて、好きなスタイルを追い求めて行けばいいのだと思います。

私の目指したい峠の走りのイメージを、今回のライテクシリーズで書いていきたいと思いますので、それが少しでも参考になれば、幸いです。
また、柏秀樹氏のDVDなどもお薦めできるものの1つだと思います。(私はビッグマシン誌上で柏氏の記事はよく読んでいるのですが、DVD自体は観ていませんので、責任はもてませんが…^^;)

春に、一緒に走りながら、そのあたりのこともお話できたらいいですね。
お会いできる日を、楽しみにしております。
 
 
 
羅漢 (樹生和人)
2010-02-15 20:05:09
わかさん、こんにちは。
羅漢のコース、民家がない区間が長く、道もよくて、走りがいがありましたね。私も上り、下り、ともによく走りこみに行きました。
NR750と出会ったのもその道でした。(ライテク記事の一番最初に書いてあります)
あのあたりは高速ワインディングから極低速舗装林道まで、いろんな道が揃っていました。
思い出します。若かったなあ…。

今ではおそらく、札幌圏で最も遅いライダーのひとりと思われる私です。
ここ数年は相棒とシンクロした、効率のよい、タイヤに負担を書けないコーナリングを考えてきました。
去年の秋にヒントがつかめた感じを得たので、記事に書こうと思っていました。
長い話になると思いますが、じっくり書いて行きたいと思います。
 
 
 
違和感があったらぜひ (樹生和人)
2010-02-15 20:12:08
まーしーさん、こんにちは。
バイクとシンクロしたライダーの動き、無理をしない操作。
それが、実は切れ味の鋭いライディングを可能にするものでもあると思っているのですが、ブログでは、速く走る方法は封印しているので、原理的なところで話を進められたらと考えています。
荷重移動および重心位置の認識とコントロールは、まーしーさんがいつも言われていることですね。
私なりにどこまでアプローチできるか、ゆっくり、じっくり書いていきたいと思います。
違和感等感じることがありましたら、ぜひご指摘をお願いします。
いや~、基本的にライテク話が大好きなんですね、私。
新潟の夜もほとんどそんな話でしたものね(^^)。
 
 
 
上手いって??? (義太夫)
2010-02-16 08:17:32
上手いって何だろ?

早いではなくて、上手いです!

友人はオフロード(EDレース)でしかバイクで走りませんが、上手いということは入賞すること、きちんとしたレースで上位に入ること、と言います。

もちろんそうかもしれませんが、私も樹生さんと考えが似てます。しかし大きな違いは過去の経験。
自分はレースや競技の世界は、お遊び程度の走行会くらいしか経験が無いです。

自分がライディングで上手になると言うのは、自分が決めるのではなく、他人から客観的に見て物差しが無いと決められない。逆に言うと何も証拠?が無ければ井の中の蛙状態です。その為にもレースという客観的なもので早い=上手いとなると友人は言います。
(正確にはもっと深いんでしょうけど表現が下手ですみません・・・)

上手い=事故をしない、と言う式は成り立たない。
だって乗らなきゃ事故をしない。でも乗らなきゃ上手くない。

今、こういう状態で悩んでます。
愚痴みたいですみません・・・。


 
 
 
上手さは手段か (樹生和人)
2010-02-16 21:12:29
義太夫さん、こんにちは。
レースならは速さが目標で、上手さはそのための手段になると思います。
僕ら公道ライダーにとって上手さとは何なのか、私にもわかりません。難しい問題ですよね。

しかし、去年義太夫さんと一緒に走ってみて、義太夫さんの引き出しはかなり多くて深く、あのツーリングの間中、十分なマージンをとって走っていらしたと思いました。義太夫さんの走りにはまだまだ奥があるな、と、感じました。(「一番余裕がありましたね」と、話しましたよね。)
明らかにもっとキレのいい走りはできるにもかかわらず、周囲と合わせ、穏やかに(角を丸めて、というのでしょうか)走ってましたよね。
レースでは前に出なければ意味がありませんが(速く走れるのにそれをしない人が混じっているとレース自体が濁ってしまうので。)、公道では、そうした選択も含めて「上手い」、という尺度もありえるのではないでしょうか。

「うまさ」とは、いい意味でも悪い意味でも使われることばで、なかなか難しいですね。

しかし「上手さ」とは、ライディングで言えばいろんなことのできるその幅の広さ、その正確さ、その質の高さなどを指す…と、一応は言えるのではないかと思います。

レースではその上手さをすべて速さのために使うでしょうし、
ツーリングでは、それを旅の満足度を上げるために使うでしょう。

上手さは、自分が求めるバイクライフのために使うバイクを操る能力のバロメーターとしていわれるのかもしれません。
レースで速い、上手い人が、初心者を含むグループツーリングで上手いとは限らないですよね。

それと、私が思うのは、私自身、上手くなりたいと思っていますが、バイクっていうのは、上手いほど偉いわけではないということです。
下手でも、バイクの素晴しさは味わえる。もちろん上手くなれば扉は次々に開かれ、さらに感動が待っていますが、別に下手なままでも、心底バイクライフを楽しめるなら、それでいいような気がするのです。
バイクに乗って3ヶ月で、近場へのツーリングにどきどきしてひとりで出かけ、きれいな景色に感動したり、雨に打たれておろおろしたり、そんな体験を全身で感じて「バイクって面白いなあ!」って真剣に思ってる人が、「俺は筑波で57秒台だぜ、そんなとろとろ走るなよ、マシンが泣くだろ」ってその人に言ってしまう人よりもライダーとして下だとは全然思えない。(そんな根性曲がりはあんまりいないと思いますけれど)

たぶん、私には私の、よくわかっていないけれど、目標があって、それに向けて上手さを獲得していきたいのだと思います。
それは、誰も測ってくれないし、誰も認定してくれない。「あなたの人生の価値は…」と、誰も言えないように。
その不安(と、自由)に耐えて、自分の腕を磨いていくのが、私の考えるライダーズスピリッツなのかもしれないなあ…なんて、考えたりもしています。

どうもまとまりのないことを長々とすみません。
 
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