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聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
「あれっ、曲がらない」(2)対策=総論=
(1985年、スペンサーのNSR500をシーズン中にテストライドする根本健氏)
*出典『ライダースクラブ』(№87.1985年9月号、140頁)
前回のお話で、「あれ、曲がらない!」の起こる理由のひとつは、実際の慣性の大きさと、ライダーの感覚としての慣性の大きさにズレがあるからだ…、といいました。
さて、ではどうすれば、このいやな「あれ、曲がらない!」を回避できるでしょうか。
この件に関しては『ライダースクラブ』誌の代表、根本健氏が15年以上前にいろいろ書いています。
根本的な解決法を言えば、いつでもバイクのロール軸に逆らわない、効率のよい入力を的確に行うことができれば、「あれ!曲がらない!倒れない!」とあわてるほどの違和感を感じることはあまりなくなります。
「バイクに力を入れてるのにバンクしない!」
「さっきまでとほぼ同じ速度なのに、急にバイクが頑固になったみたいで曲がらない!」
と、感じるのは、多くの場合、バンキングに無駄な力みが加わっているからで、素直に効率よい方向に正しく入力できれば、急にそんなにバンクに意外なほどの重さ感じることはないはずなのです。
見も蓋もない話ですね。
しかし、内足加重、ステップを踏み込め!とか、外足でタンクを押さえ込め!とか、逆ハンでバイクを倒しこんで旋回しろ!とか、力んでいると、そのひとつひとつの方法論はすべて正しいのに、結果としてバイク本来の運動性をライダー自らが邪魔してしまって、ますます曲がらなく、動かなくしている場合も意外に多くあります。特に焦って力んでしまったときなんかはその傾向が強まると思います。
(停まっているバイクが倒れるときは、バイクはタイヤの接地点を支点として倒れる)
(しかし、低速でスラロームしてみると、バイクのロールの支点は、
リヤはタイヤの接地点を支点に扇状に倒れれるが、
フロントはステアリングヘッドとFタイヤの間くらいを支点として回転しながらロールしている。)
(それがロール軸。バイクのバンクはこのロール軸に沿ってバイクを無理なくロールさせる方向に入力する。)
(斜め前から見るとこう。
焦るとこのロール軸に沿わず、バイクをひねるように倒しこもうとし、ロールを非常に重たく感じる。
速度が遅いときごまかされて重さを感じずバンクできるが、慣性が大きくなると、さすがに重さを感じる。)
力まず、バイクが本来持っているロール方向の軸に逆らわずにバイクを倒していく、それが、一番の根本解決です。
これについては以前のライテク記事の中でもいろいろ述べました。
詳しくは「リーン動作 ロール軸1・ロール軸2」などをご覧下さい。
しかし、「この曲がらない!」のもうひとつの意味、「ジャイロ効果のみならず、安定した状態のバイクは動きにくい」を理解すれば、これでも速度が増し、慣性が大きくなるにつれて不可避的に大きくなる「動きにくさ」を一瞬キャンセルして、スパッと動かしやすい状態を作り出す「コツ」のようなものは、確かにあります。
バイクの操作にはバランスを「保つ」とバランスを「崩す」の二つがあるというお話をしましたが、このバランスを「崩す」方向の操作をすることで、意外にもあれほど頑固に感じたバイクが思いのほか軽く動くこともあります。
次回からその対策の具体的な方法に関してお話していきたいと思います。
(「ライテク記事 インデックスⅡ」へ。)
(ブログトップページへ。)
*出典『ライダースクラブ』(№87.1985年9月号、140頁)
前回のお話で、「あれ、曲がらない!」の起こる理由のひとつは、実際の慣性の大きさと、ライダーの感覚としての慣性の大きさにズレがあるからだ…、といいました。
さて、ではどうすれば、このいやな「あれ、曲がらない!」を回避できるでしょうか。
この件に関しては『ライダースクラブ』誌の代表、根本健氏が15年以上前にいろいろ書いています。
根本的な解決法を言えば、いつでもバイクのロール軸に逆らわない、効率のよい入力を的確に行うことができれば、「あれ!曲がらない!倒れない!」とあわてるほどの違和感を感じることはあまりなくなります。
「バイクに力を入れてるのにバンクしない!」
「さっきまでとほぼ同じ速度なのに、急にバイクが頑固になったみたいで曲がらない!」
と、感じるのは、多くの場合、バンキングに無駄な力みが加わっているからで、素直に効率よい方向に正しく入力できれば、急にそんなにバンクに意外なほどの重さ感じることはないはずなのです。
見も蓋もない話ですね。
しかし、内足加重、ステップを踏み込め!とか、外足でタンクを押さえ込め!とか、逆ハンでバイクを倒しこんで旋回しろ!とか、力んでいると、そのひとつひとつの方法論はすべて正しいのに、結果としてバイク本来の運動性をライダー自らが邪魔してしまって、ますます曲がらなく、動かなくしている場合も意外に多くあります。特に焦って力んでしまったときなんかはその傾向が強まると思います。
(停まっているバイクが倒れるときは、バイクはタイヤの接地点を支点として倒れる)
(しかし、低速でスラロームしてみると、バイクのロールの支点は、
リヤはタイヤの接地点を支点に扇状に倒れれるが、
フロントはステアリングヘッドとFタイヤの間くらいを支点として回転しながらロールしている。)
(それがロール軸。バイクのバンクはこのロール軸に沿ってバイクを無理なくロールさせる方向に入力する。)
(斜め前から見るとこう。
焦るとこのロール軸に沿わず、バイクをひねるように倒しこもうとし、ロールを非常に重たく感じる。
速度が遅いときごまかされて重さを感じずバンクできるが、慣性が大きくなると、さすがに重さを感じる。)
力まず、バイクが本来持っているロール方向の軸に逆らわずにバイクを倒していく、それが、一番の根本解決です。
これについては以前のライテク記事の中でもいろいろ述べました。
詳しくは「リーン動作 ロール軸1・ロール軸2」などをご覧下さい。
しかし、「この曲がらない!」のもうひとつの意味、「ジャイロ効果のみならず、安定した状態のバイクは動きにくい」を理解すれば、これでも速度が増し、慣性が大きくなるにつれて不可避的に大きくなる「動きにくさ」を一瞬キャンセルして、スパッと動かしやすい状態を作り出す「コツ」のようなものは、確かにあります。
バイクの操作にはバランスを「保つ」とバランスを「崩す」の二つがあるというお話をしましたが、このバランスを「崩す」方向の操作をすることで、意外にもあれほど頑固に感じたバイクが思いのほか軽く動くこともあります。
次回からその対策の具体的な方法に関してお話していきたいと思います。
(「ライテク記事 インデックスⅡ」へ。)
(ブログトップページへ。)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 「あれっ、曲... | 「あれっ、曲... » |
崩すというのも、オートバイの慣性状態、ベクトルの方向を崩すわけで、
オートバイの運動に係る機能やバランス、ベクトルの変換方向は、
オートバイが本来持っている運動特性を保ち、活かす...
う~、感覚ではわかったつもりでも、言葉にするといい表現が見つかりません。
確かにロール軸にしっかりのった感覚は、オートバイを操るときには大切ですね。
そうです。まーしーさんが記事に書かれていた、「前荷重」「後荷重」の荷重コントロールと私の発想はほぼ同じだと思います。
バイクの車体を基準点に考えると、加速時は後荷重で、バイクの前から後に向けて力のベクトルがかかっており、減速時は前荷重でバイクの後から前に向かって力のベクトルがかかっています。
タイヤのグリップ力の範囲内では、この前向き、後向きのベクトルが強いほど、バイクは安定し、その姿勢を保とうとする…すなわち、運動性は低い状態です。
ここから、このバイクを安定させている力のベクトルを崩す(前荷重から両輪荷重へ・後荷重から両輪荷重へ)ことにより、意図的、一時的にバイクの安定性をキャンセルし、運動性を上げる。
前後方向の動きにくさをキャンセルし、ジャイロ効果による安定性は残したままで、リーンし、左右に進路変更をする。
それがまーしーさんのおっしゃる「ベクトルの変換方向は、オートバイが本来持っている運動特性を保ち、活かす...」ということになると思います。
あら、次回の記事の中心部分を書いてしまいました。
う~む。次回どうしようかな…(^^;)