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仏教思想:中国華厳思想概要(その12)

2021-05-18 08:30:23 | 仏教思想
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 中国華厳思想概要の12回目です。
 前回までで中国華厳思想の前段ともいうべき、「中国思想と他思想・他宗派との関係」についてみてきました。今回からはいよいよ中国華厳思想の本論に入ります。「中国華厳思想の至境」と題しての説明となります。
 本日は「華厳における法界(四種法界)」を取り上げます。


4.中国華厳思想の至境
 ここまで、中華厳宗の歴史、『華厳経』の構成と主な品名(「性起品」「十地品」「入法界品」)の概要、中国華厳と他宗との関係(「荘子」「天台」「唯識」「禅」)についてみてきました。
 ここからは、いよいよ中国華厳思想の本論・詳論に入ることになります。ただ、内容は多岐に、さらに複雑となります。「中国華厳の概要」という観点からはあまりに煩瑣となりますので、ここでは用語説明という程度で、可能な限り簡潔に整理していきたいと思います。

4.1.華厳における法界とは-四種法界の成立
 華厳思想の究極は法界縁起といわれるが、では華厳における法界とは何か?
 華厳では、「法」は真理の意味、「界」は因の意味、したがって法界は「真理の根拠」「真理の領域」という意味になります。
さらに、法には「もの」の意味もあり、ものの存在しているこの現実の世界も法界であり、真理の法界との関係が問題となります。華厳における「理事無礙法界」とはこれを説明する原理のことです。
この「理事無礙法界」の思想を確立したのは、四祖澄観で、彼は開祖杜順の「三重の観門」をもととして、「四種法界」を体系化しました。(下表23参照)
 
 以上から華厳の法界をまとめてみると次のようになります。「この宇宙や世界に存在しているすべてのものは、おのおのの理法をもって現れているものであり、このような理法を践(ふ)み、理法を守って現れている万物は、またおのおのよく自己の本然の相(すがた)を守って、決して雑乱することがないというのが、法界ということなのである。一種の調和的な世界観がそこに現れている。そこには個と全体の美しきハーモニーがみられる。」と。


 本日はここまでです。次回は華厳の法界= 融通無礙の世界の根拠についてみていきます。しばらくお待ちください。





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