50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

メイド・イン・ジャパンの美に魅せられて。

2007-09-10 00:35:15 | パリ
今日は、日本のコスメティックがフランス人を魅了している、という話題。きっかけは、6日付のフィガロ紙。



生活面の第一面、全面を使った記事です。見出しは、「フランス人が、日本の美に魅了されている」。80年代に資生堂とシュウウエムラがパリジェンヌたちに日本の美を紹介しはじめ、今日では、多くの日本ブランドが西洋人を魅了しようと、さまざまな展開を行なっている・・・。

具体的には、ケンゾーの香水の発売、シュウウエムラがサン・ジェルマン・デ・プレ大通りのブティックを新装オープン(18日の予定)。この店では、オーダーメイドのつけ睫毛すら作ってもらえるそうです。


(まだ改装中です)

カネボウは“SENSAI”ブランドを積極的に展開し、2010年までに多くのラインアップをヨーロッパ市場に投入することになっている。日本とフランス、それぞれの美の伝統は全く正反対とも言えるほどなのに、今ではお互いに相手のコスメティック製品に惹かれている。今後もその良好な関係は続きそうだ―――。

日本人のフランス製コスメティックに対する憧れは、いまさら言う必要もないですが、フランス人の中にも、日本製に対する興味・関心、そして惹きつけられるものがあるようです。

上記のブランドは、以前ご紹介したボン・マルシェでの「エクスポジション♡トウキョウ」に関係していることからこの記事で紹介されたようです。これらのブランド以外にも、たとえば、メナードがオペラ・ガルニエ近くにブティックを構えています。


80年代から始まった、日本ブランドのフランス人へのアプローチ。ついに、実りつつあるようです。こうしたことの背景には、各企業の外からは窺い知れないほどの苦労と創意工夫があるのでしょうが、それに加えて、フランス人のポップカルチャーを中心とした日本文化への関心・憧れも幸いしているのかもしれません。

フィガロ紙も、中面で「日本の若者は、ストリート・ファッションの才能にあふれており、次から次へと斬新なファッションを生み出している。しかもファッションだけでなく、そのヘアスタイルにかける情熱には、なみなみならぬものがある。そして、ファッションにしろ、ヘアスタイルにせよ、そこには共通して、自然を大切にする、という感覚が息づいている」と紹介しています。

コスメだけでなく、若者ファッションでも日本は今、フランス人を刺激しているようです。たしかに、カジュアルなシーンでは、服にしろヘアスタイルにしろ、センス勝負、細部にはこだわらないフランス人をよく見かけますよね。ジーンズにカジュアルな服、髪も自然なまま、薄化粧か、ほとんどノーメーク。男性にしても、ファションでしたのではなく寝癖のままというヘアスタイルでも平気な人もいます。それらに比べれば、ファッション全般にかける日本人のエネルギー・時間・費用は桁違い。

フランス人も圧倒されてしまっているという日本のストリート・ファション、では具体的には・・・

“Planete JAPON”(『プラネート・ジャポン』)という、日本文化を紹介するフランス語の季刊誌、その最新号が伝えるのは・・・





こういったファッションが、フランス人を刺激し、熱くするそうです。こうしたファッションからヒントを得た新しいモードが生まれてくるかもしれないです。

日本からフランスへの一方的な片思いだった「美」の世界。いつの間にか、日本の新しい感覚にフランス人が惹きつけられるようになっているようです。マンガ・アニメ・ロボット・携帯の活用法、そしてファッション・・・「日本」、捨てたものではありません。

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ますます、カード社会。

2007-09-09 00:24:38 | パリ
キャッシュはほとんど持ち歩かず、支払いはカードで。こういうフランス人が多いのですが、実際、身近なところでも、クレジットカードだけでなく、さまざまなペイメントカードが増えてきています。


これは以前ご紹介したナヴィゴ(NAVIGO:イル・ド・フランス地方の国鉄・メトロ・バス共用カード)の金額チャージ機。中央の丸いところへカードを置いて、後は指示通りに確認していけば、OK。支払いはクレジットカード(一部の駅には現金を受け付ける機械もあり)。ナヴィゴには持ち主の顔写真もついていて、たまにある検札の際、本人かどうかのチェックもできるようになっています。しかし、そこまで仕事熱心な職員はまずいませんが。

このように、チケットの発券機とセットで設置されているところも多くあります。

そして、最近導入されたのが、カルト・クル(carte crous)。


生協カードのフランス版、といえばいいでしょうか。学食をはじめ、アルバイトや住まいなどの斡旋をしてくれている市単位の組織が発行するカード。学食も、これからは基本的にこのカードでの支払いになります。今までは、クーポンを買ってそれで支払うことになっていたのですが、そのクーポンを買うのに長蛇の列。窓口の職員が夏休みを取る期間は、レジでの現金払い。すると当然、今度はレジからの長蛇の列。受け取ったクーポンの会計処理も大変だったのでしょう。もうこのへんでカードにしようということになったのだと思います。

このカードの愛称は、モネオ(moneo)、monnaie(お金)+neo(新しい)でmoneoなんだと思います。これからは、コインや紙幣ではなく、カードでの支払い。だから、新しい貨幣、というネーミングなんでしょうね、きっと。しかもデザインは、eをユーロのマークにして、貨幣のイメージを強調しています。考えましたね!

このカードへのお金のチャージも、機械で。


まずモネオを挿入し、お金の追加であることを確認。つぎにクレジットカードを機械に挿入し、暗証番号を打ち込み、チャージする金額を決定。そして、もう一度モネオを挿入して、金額等を確認。これでOKです。カードへのチャージはクレジットカードで。ということは、学生もみんなクレジットカードを持っている、ということですね。ただし、外国の銀行発行のカードは受け付けないようです。

ところで、モネオにしても、ナヴィゴにしても、カードにお金をチャージする際に、他人のクレジットカードの暗証番号を見ようと思えば簡単に見れてしまいます。まったく無用心。2005年の金融庁のレポートでも、日本ほどではないにしろ、カードにまつわる金融犯罪がヨーロッパでも起きていると言っています。私の周りには、今のところ実際に金融犯罪にあったという人はいないのですが、何の対策も講じていないようだと、やはり不安ですね。

一方、同じレポートによるとヨーロッパで実際に多い犯罪が、郵送されるクレジットカードを狙った窃盗。そのせいでしょうか、私が口座を持っている銀行、カードは郵送しません。窓口まで自分で取りに行く。身分を証明するものを提示して受け取るシステムです。日本では、まだ郵送していますよね。所変われば、犯罪も変わる。対応も、状況に応じて、異なるようです。

さて、フランスも、ますますカード社会へ。プリペイドカードやメンバーズカード、もちろんクレジットカード・・・カードの枚数が増す一方。お陰で、財布がカード入れとなりつつあります。そして次のステップは・・・日本のように携帯で支払いをはじめ多くのことができるようになる? でも、新しいものにすぐには飛びつかないお国柄ですから、それはまだまだ先のようです。

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イスラムの騎士道。

2007-09-08 00:25:55 | 美術・音楽
日本に武士道、西洋に騎士道があるように、イスラム諸国にも騎士の美学がある・・・。

今、5区にある「アラブ世界研究所」(Institut de Monde Arabe)で、イスラムの騎士たちの「美学」を紹介する展覧会が行なわれています。題して、“FURUSIYYA~Chevaliers en pays d'islam”(フュリュジア~イスラムの国々の騎士たち)。



西洋には“Chretien de Troyes”に見られるように騎士道がある。日本には武士道があり、武士はたんなる武人ではなく、禅などを通して精神を高めることに努めていた。同じように、イスラムの世界にも、騎士の美学がある。単に馬を上手に乗りこなし、剣を使いこなせればいいというものではない。生き方としての美学を体現することが求められる・・・精神的高みへと自らを導いていくための自己との戦いが大いなる聖戦といわれているそうです。



イスラムの世界では「美のための美」は存在せず、常に実用のためのもの。そしてそこに芸術性が発揮されてきたそうです。その典型の一つが、騎士たちが身にまとう武具。イスラムの繊細にして精巧な技巧が、騎士たちの精神の高みを見事に表現しています。騎士たちには、無骨なだけではなく、詩歌の嗜みも求められ、その繊細な美意識が騎士たちの持ち物にしっかり反映されているようです。


(カタログからの複写)
剣は権力の象徴であり、武具の中の武具。馬上で使うサーブルとともに、強さと優雅さを兼ね備えた武具として作られていました。精密な細工が美術品としての価値も示しています。


戦場では、騎士と馬、ともに鎧やマスクで自らを守っています。それらにも、実用性のみならず、デザインの美しさが。


(カタログからの複写)
短刀。これらにこそ、まさにイスラムの美が端的に表れています。宝石をちりばめ、人間業とも思えない細かい技巧。彫金、透かし彫り、象嵌・・・

たしかに、武士の美学に一脈通じるところがありますね。鎧兜、剣、鍔、馬具・・・日本の武具は戦いの道具であるとともに、そこには武士の美学が反映されています。同じように、イスラムの騎士たちの美学がこれらの武具にも現れているようです。

(カタログからの複写)

展示されている美術品は、9世紀から17世紀末までの長い歴史のなかで、そして西はスペインから東はインド、モンゴルの草原にかけての広い範囲で、作られ、使われてきたものです。偉大な文化が花開いていたのですね。そういえば、地中海に覇を唱える以前のヴェネチアでは、有力者たちが進んだ文化を学びに子弟をトルコや他のイスラム諸国へ留学させていたとか。

さて、今日の武器。このような美学が反映されているのでしょうか。それとも実用一辺倒なのでしょうか。時代が違うといわれればそれまでですが、戦士道、戦士の美学みたいなものが今でもあれば、戦場でのあまりにむごい非道の数々も減るのではないでしょうか。もちろん、それ以前に戦争がないに越したことはないのですが。


“FURUSIYYA~Chevaliers en pays d'islam”
10月21日までの公開

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ダイエットした情報誌。

2007-09-07 00:53:39 | パリ
毎週水曜日に、必ず買っている情報誌“l'officiel des spectacles”。芝居、映画、コンサート、美術館などの情報満載。140ページほどで、35サンチーム(約55円)。新聞の1.1~1.3ユーロと比べるとはるかに安い。重宝しています。

ちなみに、情報誌にはもう一冊あって、有名な“pariscope”。毎週水曜日、キオスクなどには両方が山のように積まれています。どちらも内容にさほど差はないのですが、やはり習慣なのでしょう、フランス人も言っていましたが、ロイヤルティ(フィデリテ)がとても強い。2冊の間を行ったり来たりする人は例外で、どちらか一方を毎週買うそうです。

さて、5日発行の今週号。フィガロ紙と一緒に、駅の改札口前にある、よく利用するキオスクで購入。両方を手にして、メトロへ。乗車後、中で広げて、ビックリ。



下のほうが狭い! お分かりになりますよね。写真の角度とかじゃなくて、実際に下へ行くほど狭くなっている。余分に裁断されてしまっているようです。こんな不良品もあるのですね。



余分に裁断されてしまっていれば、当然文字も一緒に裁断されてしまっている。左右のページとも、各行、情報が立ち消え。住所とか、上映時間とか、見事に一部なくなっています。困った!

ここで、思い出したのですが、この情報誌、客が直接取れないように店の奥にしまってあるので、頼んで取ってもらったのですが、その際、店の女性は山積みの一番上の一冊を取りながら、それを目にすると、テーブルの上に置いて、横のほうから別の一冊を取ってくれました。朝早かったので、一番上の冊子が汚れているか何かで、いいのと変えてくれたのだろうと、思っていました。それが・・・



この通り、下半身ダイエットをした冊子。わざわざ横へ避けておいた不良品をくれたようです。それを、親切だなんて、滞仏2年にして、我ながら、まだ甘い! さすが、気位の高い16区。客を見るのでしょうね・・・

夕方、帰宅時に交換してもらおうとしたのですが、ここで買ったという証拠がない!! そう、おっしゃるとおりです、キオスクではレシートは出ません。証拠はない。ということは言い争っても勝ち目はない。そういえば、このキオスク、おつりをよく細かいコインでくれていました。やはり、客によって対応を変えているのでしょうね。

近くにもう一軒キオスクがあり、引っ越した当初はそこを利用していました。月曜から水曜まで店にいる、若いお兄さんはとっても愛想がよくて、馴染みになるとちょっと話をしたりしてよかったのですが、木曜・金曜担当のおじさんが、混んでいるときなど露骨に白人優先で対応するので、別のほうに切り替えていたのですが、そこでも・・・

有色人種(minorite visible:外見で分かる少数民族)で、スーツでも着ていればまだしも、毎日ジーパンにラフな格好でいる。怪しい。そこまでは思わないにしても、後回しでいい、不良品で十分・・・?

まだまだ甘い。しかし、それでも2年もいると、この程度のことでは、応えなくなっています。あっ、またか。しょうがない。これが、フランスさ。フランス人が、よく“C'est la vie.”(これが人生さ)というように、私は“C'est la France”(これがフランスさ)と言うようにしています。嫌なことはときどきあります。それでも、この国は私にとってはまだまだ面白い観察対象。決して逃げ出したいとは、まだ、思っていません。

さて、新聞。前のキオスクでまた買うか、別のキオスクにするか・・・それが問題だ! と言ってもハムレットの悩みほどには深刻ではありません。

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曲がったことが大好き。

2007-09-06 00:39:20 | 美術・音楽
世の中にへそ曲がりはいるもの。まっすぐじゃ嫌だ。何事にもよらず、曲がっていなくちゃ。

そう思ったのかどうか、植物を想起させる曲線で知られる、ギマールによるデザインの建築物。パリの一つの顔になっています。


メトロ12号線・アベッス駅です。こうしたガラスの屋根はなくても、同じような形をした出入り口、多くの駅で見ることができますね。文字も含め、メトロの出入り口の装飾を手がけたのが、ギマールです。

エクトール・ギマール(Hector Guimard:1867-1942)、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)などで装飾・建築を学ぶ。世界を自分の造形で埋めつくしたいという野望をいだいていた若き建築家・ギマールに大きな転機が訪れたのは、1890年代に訪れたブリュッセル。そこで目にしたタッセル邸・・・ヴィクトール・オルタ(Victor Horta)設計のこの個人邸宅には、最新の設計思想が息づいていました。鉄とガラスという固い新素材で彎曲した形状を形作り、デザインに生かす。そのモチーフは植物。しかし、実用性を重視し、芸術は気取らない。しかも、ファサードは落ち着いた石造りなので、街並みにうまく溶け込む。

アール・ヌーヴァーを装飾芸術から建築に最初に取り入れたオルタの作品に触れたとたん、ギマールの進むべき方向が一瞬にして決定付けられました。これだ、これこそ、求めていた世界。

それからのギマールは、アール・ヌーヴォーを建築に生かす仕事に没頭。


1898年に完成した「カステル・ベランジェ」。植物や渦巻き模様を施した窓枠・手すり・ガラスなど、曲線を生かしたあらゆるパーツをギマール自ら制作。

その結果、調和とスタイルの連続性ということがギマール建築の特徴になりました。

建築家も非常に尊敬されるこの国では、建築家の名前がその作品(建築物)に残されています。ギマールの名もこの通り(一番下の行)。デザインを髣髴とさせるこの書体は、ギマール自ら書いたのかもしれないですね。


これは、ギマール館。



窓枠や手すりにギマールらしさを見て取ることができます。

しかし、ここでは、悲しいかな、ギマールの名も消えかかっています。


こちらは、メザラ館。

植物の曲線がうまく使われていますね。

ほかにも、いくつかのギマール設計の建物が残っています。これらは全て、16区のパッシー地区、特にラジオ・フランスの裏からメトロ9号線・ジャスマン駅にかけて点在しています。ここは、多くの豪華な住宅が立ち並ぶ高級住宅街。



20世紀初頭建築の建物も多く、同じように建築家の名が刻まれています。

実は、ギマールの名、一瞬の閃光のようにパリの街を駆け抜け、時の波間に消えていってしまいました。どうしてか・・・自己矛盾の故といわれているようです。手の込んだデザインと制作、そしてその結果としての建築費の高騰。庶民には手の出ない建物。それでいながら、メトロの駅の出入り口に見られるように、工業的規格化を夢想した。手作りと規格化・・・ギマールがニューヨークで亡くなった頃には、全く忘れ去られた存在だったとか。


サルバトール・ダリにも絶賛されたという、メトロの出入り口をはじめ、多くのアール・ヌーヴォーの装飾・建築物を残しながら、人々の記憶から消えてしまったギマール。彼に再びスポットが当てられたのは1960年代以降。今ではギマールの名も少しは人口に膾炙してはいます。しかし、その保存状態は決して満足できるものではありません。ギマールに多大な影響を与えたヴィクトール・オルタの作品も、多くが取り壊されてしまったようですが、残ったいくつかの建物が、今や「ヴィクトール・オルタの都市邸宅群」としてユネスコの世界遺産に登録されています。ギマールの作品にも、さらに光があてられる日が早く来てほしいものです。

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帰ってきた、ヴァネッサ・パラディ。

2007-09-05 00:33:01 | 美術・音楽
ヴァネッサ・パラディ・・・歌手にして、女優。彼女の7年ぶりのアルバムが3日、リリースされました。“DIVINIDYLLE”・・・何しろ7年ぶり。発売前から大きな話題になっていました。


(新CDの発売とコンサートツアーを知らせる大型ポスター)

Vanessa Paradis・・・1972年、パリ近郊の生まれ。俳優のおじの紹介で、7歳にしてテレビ出演。87年、14歳で発売したシングル“Joe le Taxi”(夢見るジョー)が11週連続ヒットチャート1位という大ヒット。そのロリータ風の容貌と声でアイドルとして人気爆発。しかし、大人の文化が好きなフランス社会、若くしてなんら苦労もせずスターダムにのし上がり、しかもロリータ。かなりの反感も買ったようで、当時を振り返り、彼女自身、「リンチにあっているようだった」と述べています。


(9月2・3日付のル・モンド紙第一面。中面では三分の二ページを使って詳しく紹介)

その後、89年に『白い婚礼』で映画デビュー。90年にはシャンソン界の大御所、セルジュ・ゲンズブールのプロデュースによるアルバム『ヴァリアシオン』をリリース。また、アラン・ドロン、ジャン・ポール・ベルモンドとの競演(『ハーフ・ア・チャンス』)、パトリス・ルコント監督作品(『橋の上の娘』)への出演など、それなりに陽のあたる場所を歩んできたようです。


(8月31日付のフィガロ紙。生活面の第一面と中面を割いて紹介しています)

そんな彼女に一大転機が訪れたのが、アメリカの俳優、ジョニー・ディップとのパートナー関係。事実婚であり、99年には長女(リリー・ローズ・メロディ)、02年には長男(ジャック)が誕生。家庭のぬくもり、安らぎ・・・彼女に、そしてパートナーのジョニー・ディップに大きな影響を与えたようです。

ミュージシャンにして俳優、個性的な役柄、役作りをしてきたジョニー・ディップが、03年の『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』に出演することに決めたのは、子どもたちの勧めがあったからとか。ジャック・スパロウの演技で、アカデミー主演男優賞にノミネート。その後の「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズに引き続き出演しているのは、ご存知のとおり。

子どもたちの存在は、ヴァネッサ・パラディにとっても今やかけがえのないもの。2000年に出したCD“Bliss”では、長女のおしゃべりが入っていますし、今回の新作には、長男の笑い声が入っています(”JACKADI”)。


(CDとそのジャケット、この絵はパートナーであるジョニー・ディップの作品)

ウエスト・ハリウッドと南仏で過ごす家族との時間。その時間が彼女に大きな影響を与えたようです。自分の世界への異常なこだわりを見せていた以前の歌に比べ、新作ではよりオープンで、軽やか、聴く側との触れ合いを感じさせる曲作りになっています。「別なことをし、新しいシャンソンを見つけるのには時間が必要だった」と彼女は言っています。別なこととは、家庭を築くことであり、子どもを生み、育てること。育児は、育自でもある、といわれますが、彼女も同じような経験をしたのかもしれません。


(歌詞カードの最後にある、たぶん子どもが書いた彼女の絵)

タイトルのDIVINIDYLLEは、CDに収められている最初の曲“DIVINE IDYLLE”を省略したものだと思います。いかした愛、素晴らしい愛、神聖な愛・・・家族への愛。ロリータっぽい歌声はそのままですが、人生経験を積んだ分、単なるツッパリではなく、立派な個性として聴くものの心へ入ってくるような響きになっています。

10月26日からのフランス・ベルギー・スイスツアーに合わせて、今はハリウッドにいる家族全員がフランスに彼女の応援にやってくるそうです(パリでのコンサートは、11月13-15日)。家族を力に、新しい境地にたったヴァネッサ・パラディが、再びミュージックシーンに立ち戻り、いっそう素晴らしい曲を聴かせてくれるのを、多くのファンが待ち望んでいます。

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古本市のある公園。

2007-09-04 00:36:23 | パリ
15区に、この20年間、毎週末、古本市が立つ公園があります。ジョルジュ・ブラッサンス公園。歌手のブラッサンスに因んだ名前の公園です。


このちょっと厳しく、でも、どことなく愛嬌のあるパリのおやじさんがジョルジュ・ブラッサンス。フランスの中年以上の人たちに、一番好きな歌手は誰って訊くと、多くの人がブラッサンスと答えます。それほどフランス人に愛されている歌手。このCDもフランスの知人にもらったもの。彼も立派な中年です。

さて、ブラッサンスに因んだ公園、実は、毎週古本市が行なわれていることでも知られています。


ポスターに紹介されているように、1987年から毎週土日、190のブキニスト(古本屋)が公園脇にある屋根だけの施設の下に集まります。

扱っているのは、稀覯本から一般的古本、画集、写真集、絵本、そして時代の趨勢なのでしょう、CDなども並んでいます。

古本を扱うブキニストたち、最近は若い人を中心に古本に対する関心が薄れているとか言っているようですが、しかし慌てる風もなく、食事時には、みんなでテーブルを囲んでワイン片手に楽しいひと時。


また、売り方にも、時代の影響でしょうか・・・

1冊1ユーロ、7冊まとめて5ユーロ、などといった売り方をする店もあります。

せっかく行ったので、何か記念に1冊と思ったのですが、最近出たばかりの本が半値になっていたので、思わずその本を買ってしまいました。

Yasmina Reza(ヤスミナ・ルザ)という女流作家の書いた“L'aube le soir ou la nuit”(『夜明け、夕暮、あるいは夜』)という本で、大統領選を戦うサルコジ現大統領に密着取材した本です。8月に出版された、この秋の話題作の一つ。18ユーロが9ユーロでした。

この公園、住宅街にあるにしては広く、周辺住民の憩いの場になっているようです。


家族でピクニック気分。お弁当を美味しそうに食べている家族も何組かありました。

芝生に寝そべっての読書。爽やかな秋風の中、気持ちのいい読書が楽しめそうですね。

子どもが楽しめる施設も準備されています。遊戯施設、そして、ポニー。

リュクサンブール公園にもいますが、ポニー、こちらの子どもたちに大人気のようです。一人2.5ユーロ、二人なら4.8ユーロ、ここでもヴォリューム・ディスカウントがあるようです。

そして、ポリシネルのマリオネット劇場。ヴァンセンヌの森にもありますが、マリオネット、相変わらず人気があるようです。

真ん中には時計台と池。

9月は実りの季節・・・そんなことを感じさせてくれる果実たち。

そして、古本市。


ジョルジュ・ブラッサンス公園・・・ゆっくりとした時の流れを感じることのできる、憩いの場所です・・・しかし、時代の波はここにも押し寄せています。

Wi-fiに接続できるようになっています。テレビやインターネットの影響で文化活動が衰えているとも言っているブキニストたち。そのお膝元の公園で、インターネット接続。ブキニストたちはなんと嘆くのでしょうか。「時の流れ、これも人生さ」、でしょうか・・・

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「コジ」の魔法使い。

2007-09-03 00:21:25 | マスコミ報道
昔の名画『オズの魔法使い』、ご覧になりましたか? 映画自体は1939年に製作されたものですが、主演のジュディ・ガーランドが歌った『虹の彼方へ』(Over the Rainbow)で覚えている方も多いのではないでしょうか。スタンダード・ナンバーになっていますね。

でも、今日の話題は、「オズ」ではなく「コジ」。コジの魔法使い? 誰のことでしょう・・・正解は・・・

はい、サルコジ大統領です。よく最後を略してサルコなどといわれていますが、ここでは勝手に頭を略して、オズの魔法使いよろしく「コジの魔法使い」。どうして、魔法使いか・・・



映画『ハリー・ポッター』最新作が封切られた直後、ル・モンド紙に掲載された風刺漫画です。社会党員をサルコジストに変身させてみよう、とサルコジ大統領が杖を振ると次々とサルコジストが誕生していく。これには、ハリー・ポッターの生みの親、J.K.ローリングもビックリ。強すぎる、ハリーよりも強い!

そう、野党・社会党から有能な人材を積極的に登用。サルコジ政権内で活用しようとしています。しかも、社会党の議員・党員たちはその誘いを受けてしまっている。これでは、社会党の弱体化に繋がるのではないか、あるいは極右・極左を除く巨大な与党の誕生に繋がるのではないか、という予測あるいは危惧の念が出ています。

では、具体的にどのような人たちがサルコジ大統領の誘いに乗ったのでしょうか。



8月30日のフィガロ紙です。サルコジストに変身したのは・・・
・教員再評価委員会の委員長に就任するロカール元首相(上段左端)
・IMF専務理事に立候補しているストラスカーン元財務相(上段左から2人目)
・現内閣のクシュネル外務大臣(上段左から3人目)
・第5共和制の現代化考察委員会副委員長のラング元文化相(下段左端)
・経済成長委員会委員長のアタリ元大統領特別顧問(下段左から2人目)
それ以外に多くの政務次官などがいます。

これだけ、主要メンバーが大統領の誘いに乗ってしまう・・・ということは、主義主張よりも、実力を発揮できるポジション、あるいは役職を得たいという欲求が強いのでしょうか。あるいは、権威・・・? 社会党といえども、組合出身者ではなく、エリート揃い。たとえば、たぶんIMFの時期専務理事になるであろうストラスカーン氏は、パリ政治学院とパリ高等商業学校というグランゼコールで学び、公法で博士号(Ph.D)、経済学でアグレガシオン(教授資格)を取得。28歳でナンシー第二大学教授、32歳でエリート中のエリートを輩出する国立行政学院(ENA)の教授に、という華麗な経歴を持っています。

こうした多くの有能な実力者を引き抜かれてしまった社会党、これからどうするのでしょうか。第一書記のオランド氏は、先の大統領選挙中に長年のパートナー、セゴレーヌ女史と自らの浮気が原因で別れ、夏のヴァカンス中には、今のパートナーとの写真を撮られ、プライバシー侵害で出版社を訴えたものの、女性への慰謝料支払いは認められたものの、出版差し止めは却下、というゴシップめいたところでご活躍。

8月31日から9月2日まで行なわれた社会党恒例の夏期大学(夏期党大会)には、多くの重鎮が欠席。しかし、逆に言えば、先の国民議会(下院)選挙で当選した多くの新人議員を始め、若手への世代交代が進めやすくなったのかもしれません。オランド第一書記は来年の任期までで再選を望まないと明言していますので、トップを始め、一気に新しい顔ぶれになるかもしれません。

一方の「コジの魔法使い」。8月末のフランス経団連の夏期大学(夏季セミナー)で講演し、有能な人材はどの党に所属しようと国家のために活用すべきであり、それをやり遂げている自分は人材活用のスペシャリストにもなれるかもしれない、と述べたとか。

世代交代を進めざるを得ない社会党と、自画自賛が始まったサルコジ大統領。これからどんな秘策、あるいは魔法が飛び出すやら・・・目が離せません。

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応援を、よろしく。

2007-09-02 01:00:38 | スポーツ
皆さんのお陰で、このブログへの応援は最近また増え、毎日500以上、多い日には600を超えるIPからアクセスを頂いています。本当にありがとうございます。

でも、今日の話題は別件。応援をお願いしたいのは、ラグビー。な~んだ、ラグビーか、興味ないから、とここで他のサイトへ移らず、最後までお付き合いの程を。


(9月1-2日付のル・モンド紙に折り込みの週間テレビ欄)

ラグビーの第6回ワールドカップが7日からフランスで開催されます。サッカーなどと同じく4年に一度。我らが日本も、アジア代表として参加します。6回連続出場の常連。でも、なんとしてもワールドカップで勝利を! 今までに1勝しかしていません。今回こそは、2勝目を、そして1大会で複数の勝利を!

日本では、どうですか、盛り上がっていますか? 大きな話題になっていますか? 昔は、ラグビーはものすごい人気でした。サッカーなんか問題じゃないほどの盛り上がりで、そのうち野球に追いつくのではないかと思われたほど。大学の早明戦、社会人の新日鉄釜石、神戸製鋼・・・秩父宮競技場や国立競技場がいつも満員でした。サッカーファンだった私は、サッカーは外国のチームと試合をやっていつも負けているから人気が出ない、その点ラグビーは国内のチーム同士でいつも試合をしている、サッカーの下手は下手に見えてしまうが、ラグビーは下手同士でも手に汗握る肉弾戦が人気のモト、などと悔し紛れを言っていました。それがJリーグの誕生から形勢逆転。しかもその頃から日本ラグビーも国際試合が増えてきて、勝てないのが分かってしまった。人気凋落。



でも、ワールドカップにはアジア代表で毎回出場。我らが日本代表です。ぜひとも、応援しましょう!

フランスでは、地元での開催ですから、もちろん盛り上がっています。


国鉄(SNCF)のモンパルナス駅に設置されたラグビー選手の像。蛇足ながら、下から支えている二人も人形。決して観光スポットでよく見かけるパントマイムではありません。


メトロにも、このようなスティッカーが貼られました。


大会のオフィシャル・ショップも早くから店開き。


多くのスポーツグッズの店でも、ラグビーがウィンドーの目玉に。


このようなバナーが、カフェなどの店頭を飾り始めました。

そして、広告でも。タックルにもめげず小荷物を見事に指定先まで届ける宅配便の会社のCMや、やはりタックルをものともせずハンバーガーをゲットするマクドナルドのコマーシャルなど、多くの広告に使われています。


(9月1日付けのフィガロ紙)
もちろん、メディアも。“le XV”は、英語のフィフティーンですね。ユニフォームはサッカーと同じブルー。その色から、サッカー同様、“les Bleus”(レ・ブルー)と呼ばれています。スポーツ団体として、フランス代表チームのアイデンティーが統一されているようですね。

選手のインタビューなどによると、大会が近づくにつれ、プレッシャーが大きくなってきているそうです。何しろ、地元開催。ぜひ悲願の初優勝を、という声が大きくなってきている。サッカーは一足先に、それを実現してしまっている。いやがうえにも、高まるプレシャー。何しろ、オールブラックス(ニュージーランド)をはじめ強敵ぞろい。地元フランスは、見事優勝してエリスカップを手にするができるでしょうか。


(9月1日発行のOVNI)
これが一次リーグの組み分け。日本のグループには、オーストラリア、ウェールズ、フィージーなど強敵が。上位2チームが準々決勝へ進出することができます。それは難しいにしろ、せめて1勝、できれば2勝を! 日本の対戦スケジュールは・・・
・9月08日(15:45) 対オーストラリア
・9月12日(18:00) 対フィージー
・9月20日(21:00) 対ウェールズ
・9月25日(18:00) 対カナダ
時間は現地時間。対ウェールズ戦(カーディフ)はプラス8時間、他の3試合(フランス国内)はプラス7時間で日本時間になります。

7日のフランス対アルゼンチンで開幕するラグビー・ワールドカップ。日本代表に、ぜひ大きな声援を! そして、ついでに私には・・・

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ダイアナの、10年。

2007-09-01 00:47:13 | パリ
31日は、ご存知ですね、ダイアナ元妃がパリで事故死して10年。今でも「英国のバラ」は多くの人々の記憶の中に生きているようです。


30日のメトロ紙の第一面。「死後10年、今でもその死因をめぐり多くの噂が流布している・・・」


31日のフィガロ紙です。中面見開きで特集しています。運命の日、1997年8月31日の経過を、時間を追って紹介しています。いつもとは違う車でこっそりホテル・リッツを出発したのに、なぜか多くのカメラマンに見破られてしまい後を追われたことや、柱に激突する前にフィアット・ウーノにぶつかったのではと言われているのに、いまだなんら公式に確認されていないことなど、陰謀説の根拠となるような疑問も提示されています。

恋人の父親は、イギリス王室の仕組んだ陰謀と明言し、所有する有名デパート・ハロッズに二人の記念碑を立てているそうです。

一方の王室は、事故後の対応がつめたい、お高く留まっている、税金の無駄遣いなどと非難されたため、庶民に近いイメージを演出しようと、エリザベス女王がマクドナルドへ行ったり、チャールズ皇太子がスパイス・ガールズと写真に納まったりと、成果はともかく努力はしたようです。庶民らしく・・・イギルスでは、マクドナルドへ行くことなんですね。日本では、どこでしょうか―――。

今でも衰えないダイアナ人気、フランスのテレビも特別番組を組んでいます。30日にはTF1が夜のニュースの後、ドキュメンタリー・タッチのフィクション“Diana, les derniers jours d'une princesse”(ダイアナ、皇太子妃の最後の日々)を放映したのを始め、今週、多くの局がいくつもの番組をオンエア。いずれもが高視聴率を上げているそうです。

事故現場のアルマ橋のたもとには、記念碑となったモニュメントがあります。



もともとは、ヘラルド・トリビューン紙の100周年(1987年)事業の一環として、寄付を基に、自由の女神の松明を米仏友好の記念としてここに建立したものですが、ここでセーヌの下をくぐるトンネルが事故現場となったため、いつごろからか、ダイアナの死を悼む碑となっています。

イタリア語の落書きが、消されずに残っています。「とても愛している―パオロ・マラッツィ、パルマ(イタリア)、2007年8月27日」この写真、世界中に配信されたのではないでしょうか。パオロというイタリア人は有名になりますね。でもそのイメージは・・・よくやったか、自己顕示欲の強いおっちょこちょいか、はたまた・・・受け取る人によるのでしょうね。


30日ですが、すでに多くのダイアナ・ファンや観光客、そして31日の朝のニュースに間に合わせるためでしょうか、いくつかのテレビ・クルーが訪れていました。


31日も、朝から、大勢の人たちが来ていました。テレビカメラの前で話すレポーター、それを携帯で撮影する人、さらにそれを後ろから写真に撮る私。あちこちでテレビカメラが回っていました。私も写ったのではないかと思いますが、幸か不幸か日本のテレビ局はいませんでした。

フランスでも、いまだ衰えぬ彼女の人気。献花の数が物語っています。

彼女の美貌とその優しさが人気の秘密と伝えるラジオ番組もありました。ただ、その死の真相はいまだ完全に解明されてはいない、と多くの人が思っています。その謎が残るうちは、メトロ紙の言うように、「終わりのない物語」なのかもしれません。

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*なお、イギリスの31日の状況をお知りになりたい方は、弊ブログを紹介してくれているニュース・ネット・アジア・ヨーロッパ版http://nna.asia.ne.jp/eu.htmlの「ヨーロッパで働く女社長のブログ」でご覧になれます。