日本に武士道、西洋に騎士道があるように、イスラム諸国にも騎士の美学がある・・・。
今、5区にある「アラブ世界研究所」(Institut de Monde Arabe)で、イスラムの騎士たちの「美学」を紹介する展覧会が行なわれています。題して、“FURUSIYYA~Chevaliers en pays d'islam”(フュリュジア~イスラムの国々の騎士たち)。
西洋には“Chretien de Troyes”に見られるように騎士道がある。日本には武士道があり、武士はたんなる武人ではなく、禅などを通して精神を高めることに努めていた。同じように、イスラムの世界にも、騎士の美学がある。単に馬を上手に乗りこなし、剣を使いこなせればいいというものではない。生き方としての美学を体現することが求められる・・・精神的高みへと自らを導いていくための自己との戦いが大いなる聖戦といわれているそうです。
イスラムの世界では「美のための美」は存在せず、常に実用のためのもの。そしてそこに芸術性が発揮されてきたそうです。その典型の一つが、騎士たちが身にまとう武具。イスラムの繊細にして精巧な技巧が、騎士たちの精神の高みを見事に表現しています。騎士たちには、無骨なだけではなく、詩歌の嗜みも求められ、その繊細な美意識が騎士たちの持ち物にしっかり反映されているようです。
(カタログからの複写)
剣は権力の象徴であり、武具の中の武具。馬上で使うサーブルとともに、強さと優雅さを兼ね備えた武具として作られていました。精密な細工が美術品としての価値も示しています。
戦場では、騎士と馬、ともに鎧やマスクで自らを守っています。それらにも、実用性のみならず、デザインの美しさが。
(カタログからの複写)
短刀。これらにこそ、まさにイスラムの美が端的に表れています。宝石をちりばめ、人間業とも思えない細かい技巧。彫金、透かし彫り、象嵌・・・
たしかに、武士の美学に一脈通じるところがありますね。鎧兜、剣、鍔、馬具・・・日本の武具は戦いの道具であるとともに、そこには武士の美学が反映されています。同じように、イスラムの騎士たちの美学がこれらの武具にも現れているようです。
(カタログからの複写)
展示されている美術品は、9世紀から17世紀末までの長い歴史のなかで、そして西はスペインから東はインド、モンゴルの草原にかけての広い範囲で、作られ、使われてきたものです。偉大な文化が花開いていたのですね。そういえば、地中海に覇を唱える以前のヴェネチアでは、有力者たちが進んだ文化を学びに子弟をトルコや他のイスラム諸国へ留学させていたとか。
さて、今日の武器。このような美学が反映されているのでしょうか。それとも実用一辺倒なのでしょうか。時代が違うといわれればそれまでですが、戦士道、戦士の美学みたいなものが今でもあれば、戦場でのあまりにむごい非道の数々も減るのではないでしょうか。もちろん、それ以前に戦争がないに越したことはないのですが。
“FURUSIYYA~Chevaliers en pays d'islam”
10月21日までの公開
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今、5区にある「アラブ世界研究所」(Institut de Monde Arabe)で、イスラムの騎士たちの「美学」を紹介する展覧会が行なわれています。題して、“FURUSIYYA~Chevaliers en pays d'islam”(フュリュジア~イスラムの国々の騎士たち)。
西洋には“Chretien de Troyes”に見られるように騎士道がある。日本には武士道があり、武士はたんなる武人ではなく、禅などを通して精神を高めることに努めていた。同じように、イスラムの世界にも、騎士の美学がある。単に馬を上手に乗りこなし、剣を使いこなせればいいというものではない。生き方としての美学を体現することが求められる・・・精神的高みへと自らを導いていくための自己との戦いが大いなる聖戦といわれているそうです。
イスラムの世界では「美のための美」は存在せず、常に実用のためのもの。そしてそこに芸術性が発揮されてきたそうです。その典型の一つが、騎士たちが身にまとう武具。イスラムの繊細にして精巧な技巧が、騎士たちの精神の高みを見事に表現しています。騎士たちには、無骨なだけではなく、詩歌の嗜みも求められ、その繊細な美意識が騎士たちの持ち物にしっかり反映されているようです。
(カタログからの複写)
剣は権力の象徴であり、武具の中の武具。馬上で使うサーブルとともに、強さと優雅さを兼ね備えた武具として作られていました。精密な細工が美術品としての価値も示しています。
戦場では、騎士と馬、ともに鎧やマスクで自らを守っています。それらにも、実用性のみならず、デザインの美しさが。
(カタログからの複写)
短刀。これらにこそ、まさにイスラムの美が端的に表れています。宝石をちりばめ、人間業とも思えない細かい技巧。彫金、透かし彫り、象嵌・・・
たしかに、武士の美学に一脈通じるところがありますね。鎧兜、剣、鍔、馬具・・・日本の武具は戦いの道具であるとともに、そこには武士の美学が反映されています。同じように、イスラムの騎士たちの美学がこれらの武具にも現れているようです。
(カタログからの複写)
展示されている美術品は、9世紀から17世紀末までの長い歴史のなかで、そして西はスペインから東はインド、モンゴルの草原にかけての広い範囲で、作られ、使われてきたものです。偉大な文化が花開いていたのですね。そういえば、地中海に覇を唱える以前のヴェネチアでは、有力者たちが進んだ文化を学びに子弟をトルコや他のイスラム諸国へ留学させていたとか。
さて、今日の武器。このような美学が反映されているのでしょうか。それとも実用一辺倒なのでしょうか。時代が違うといわれればそれまでですが、戦士道、戦士の美学みたいなものが今でもあれば、戦場でのあまりにむごい非道の数々も減るのではないでしょうか。もちろん、それ以前に戦争がないに越したことはないのですが。
“FURUSIYYA~Chevaliers en pays d'islam”
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フランス人大好きの私、そしてセーヌ河で死にたいと本気考えている私にとって超嬉しい発見でした。これから毎日、訪問しますのでよろしくお願いします。
この10月2日から2週間PARISに滞在します。もう9年目になりますかしらー年に一度2ou3週間の滞在!そしてInstitute Arabesには必ず屋上からの風景を見に訪れます。最近、DELF-B2の受験対策のクラスで勉強中ですが何年後に受験できるでしょうか?
Parisに住めることを夢見ています。フランス白書は今、休み中!です。
アラブ世界研究所には、竣工当時に見学にいきましたが
民族的な意匠をたいへんモダンに表現した
美しい建物という印象をもちました。
たぶん、すでに10年以上経っているので、多分、老朽化しているのでしょうね。
特に、窓の内側のスチールの造形には、感心しました。
コメントありがとうございます。
素敵なな作品、拝見しました。ぜひ、パリに住む夢、実現なさってください。住人として描く、パリ。新たな美の世界を見せていただけるのでは、と期待しています。
今後とも、ご訪問・コメント、よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおりで、アラブ的意匠を生かした、斬新なデザインの建物ですね。今でも、古さを感じさせません。流行を超えたものは、時の試練にも耐えることができるということかもしれませんね。
今後ともご訪問・コメント、よろしくお願いします。