50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

黄色いアリは、いなかった!?

2008-03-11 02:04:48 | パリ
かつて、日本人をこう呼んだフランスの政治家がいました。

「日本人は黄色いアリ」
「日本人はウサギ小屋のような小さなアパートに住み、2時間もかけて通勤している」
「黄色いチビ」
「日本人はアリ。何度殺しても出てくるアリ」
「日本は規則を守らず世界征服を企む」

今から20年ほど前の発言です。出る杭は打たれるの譬えどおり、経済が成長を続け、ましてバブル、世界の不動産を買い漁ったりしていた頃ですから、黄禍論が出ていたのでしょうね。

しかし、それにしても、言うも言ったり。ウサギ小屋に住む黄色いアリ・・・これがフランス人女性の見る日本人像だそうですよ。そう、フランス人女性、この発言は、1991年5月から翌年4月まで、1年間だけ首相をつとめたクレッソン女史(Edith Cresson)の発言です。フランス初の女性首相。公式な場での発言、非公式なもの、外国メディアとのインタビューでの発言・・・いずれにせよ、首相在任中も含めてこうした発言をしたそうです。しかも、所属は極右政党ではなく、社会党。ミッテラン政権下で首相を務めています。農民のデモと地方選挙での敗北で、1年足らずで辞任に追い込まれていますが、全く歯に衣着せぬ発言が多かったのでしょうね。

こうした発言に、日本政府はもちろん抗議したのですが、一切の謝罪なし。ただし、嫌いなのは日本人だけでなく、アングロ=サクソン嫌いでも有名だったようで、「イギリス男はみんなゲイだ」と言ったとか。これに対して、イギリスのタブロイド紙は、「イギリス男に振られたからだろう」と言ったそうです。さすが、ユーモアと皮肉の国のメディアですね。日本も、生真面目に抗議するより、日本がアリならフランスはキリギリス、今に困っても助けませんよ、くらい言っておけばよかったのかもしれませんね。

そうした背景があり(?)、日本人としてはぜひ見なくてはと出かけたのが、le Palais de la decouverte(パレ・ドゥ・ラ・デクヴェルト)でやっているアリに関する特別展。


地球上に10億の10億倍いるというアリと、10億の2,400億倍いるというシロアリを紹介しています。ただ、社会性昆虫ということでアリ(une fourmi)とシロアリ(un termite)は似ているといえば似ているかもしれませんが(特に日本語では同じくアリとつく名前ですから)、実際は全く別の仲間。アリはハチ目に属し、シロアリはゴキブリ目。しかし、フランスでも同じ仲間のように思われているのかもしれませんね、一緒に紹介されています。それも、発見パレスなんていうきちんとした博物館でやる展覧会でも。いかにも、細かいことにこだわらないフランスらしいですね(日本が真面目すぎるという声もありますが)。

館内は、実際にアリの巣の中を歩くような狭い迷路になっていて、所々で映像によるアリの紹介がおこなわれています。


また、広くなったところでは、パネルや映像、そして実際に生きているアリも含めて、さまざまなアリの生態を紹介しています。


そこで見つけた、アリの分布図。

アリとシロアリの主な種類ごとに用意されたボタンを押すと、その種目が分布している地域にランプが灯るようになっています。しかし、いくつかあるアリのボタンをいくら押しても、日本のところにランプが点かない・・・故障でしょうか。ところがシロアリの1種目を押すと見事に点灯。ということは、このイベントでは日本にアリはいない! と見做しているのでしょうか。黄色いアリ発言から20年近く経過して、フランスはついに日本人アリ論を引っ込めた!・・・なんて訳ないでしょうね。単に細かい点にこだわらないだけでしょう、きっと。

館内の特別展は、他にもいくつかあり、そのひとつが地震と津波に関するもの。地震と津波・・・その対策は、やはり日本が進んでいるようです。

地震の速報と津波警報の事例をNHKの映像を使って紹介していました。それに、津波はフランス語でも“tsunami”

その語源を日本語を挟みながら説明しています(パネルの間が空いているのは、いい加減な取り付けなのではなく、地震・津波による被害を表現しているようです。フランス的な凝り方ですね)。また、地震の揺れを体験してもらう施設もあるのですが、まるで遊園地。実際の家のようなつくりにはなっていないので、子どもたちもただ楽しんでいるだけのようでした。

アリ、そして地震・津波。日本とフランス、思わぬところでもつながりがあるようです。


“le Palais de la decouverte ”
グラン・パレの裏側、入り口はAvenue Franklin D.Roosevelt側
入場=7ユーロ

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