50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

先見の明は、フランスにあり!

2008-02-22 02:02:21 | マスコミ報道
ご存知のように、いま原子力発電に、以前にもまして注目が集まっています。もちろん、将来的に風と光という自然のエネルギーだけで全ての電力を賄おうというフランス南部・ペルピニャンのような試みもありますが、一般的には、火力・水力・原子力の比重が高いですね。そうした中で、原子力が注目される訳は・・・


18日のフィガロ紙です・・・「原子力へ目覚める世界」。この記事も触れていますが、原子力発電にスポットが当たっているのには、いくつか理由があります。

ひとつは、原油価格の高騰。原油価格の急騰は止みそうになく、物価上昇の主要要因のひとつにもなっていますね。産油国の思惑、新興国を中心とした電力需要の増加・・・そこで、発電量当りの単価が安い原子力発電へいっそう熱い眼差しが向けられる。電力源の多様化へ。

また、産油国の石油後への対応も背景のひとつですね。有限な資源・原油に頼ったままでは、いつか資源大国の看板も降ろさざるを得ない。そこで、資金に余裕のあるうちに対策を・・・石油後へ向けた産油国のエネルギー対策として、原子力への期待が高まっているようです。

そして、環境問題。原子力発電は温室ガス効果、ひいては温暖化の一因となる二酸化炭素を放出しないそうです。数値目標など排出規制が厳しくなる二酸化炭素・・・環境対策も原子力発電へという動きに拍車をかけているようです。

ということで、時代は原子力。フィガロ紙の記事も言っていますが、まさに隔世の感。ちょっと前までは安全性を危惧され、各地で反対運動が起きていた原子力発電。それが、今や多くの国が原子力発電へと舵を切り始めている・・・毀誉褒貶、栄枯盛衰は人の世の常。白眼視されながらも原子力発電に尽力してきた技術者、企業、そして国にとっては、やっと堂々と日の目を見ることができる!

その国の筆頭ともいえるのがフランスなのだそうです。記事の表にもあるように、フランス国内の消費電力の80%弱が原子力発電によるもの。リトアニアの80%に次いで世界で2番目に高い割合になっています。この資料によると、日本は35%程度、韓国30%強、ドイツ30%強、イギリス30%弱、アメリカ20%、ロシア15%程度、インド・ブラジル・中国といった新興国はまだわずか数%です。

稼働中の原子炉の数でも、記事のデータによると、フランスは58基でアメリカの164基に次いで2番目の多さ。他に多い国は、日本30基、ロシア30基、イギリス27基、カナダ20基など(日本原子力産業会議の数字とは隔たりがあるようです)。

こうした数字が語るように、フランス国内においては、原子力発電の開発が進んでおり、技術的に優位にあるそうです。従って、多くの国が原子力発電にシフトしていくことは、大きなビジネスチャンスになるわけですね。そこで、サルコジ大統領は就任以来、外国を訪問する際には原子力関連企業のトップも同伴させ、売込みを図ってきました。世界最大の原子力産業複合企業Areva(アレヴァ:三菱重工業が提携)、そしてそのArevaに競合しつつ部分的に協力関係にあるEDF(フランス電力)、EDFの競合会社Suez(シュエズ)、発電所の建設に豊富な経験を持つBouygues(ブイグ)、タービンに強いAlstom(アルストム:TGVなどの車両メーカー)・・・しかし、フランス企業同士が競合しないよう共同出資の別会社を作るなどの動きもあるようですが、反対意見もあり、国の保護政策の強いフランスらしく、最後は政府の決定に委ねられそうです。

現在稼動中の原子力発電所は、世界中で438ヵ所。そして、建設中が30ヵ所、計画中が159ヵ所、要望が出されているのが61ヵ所と今後ますます増えそうです。フランスにとっては、大きな主力産業のひとつになりそうですね。いつか時代は回ってくる・・・先見性のなせる業とこの記事も言っているようです。

翻って、われらが日本は・・・この記事に唯一名前が登場したのは、東芝。東芝の子会社・Westinghouse(ウェスティングハウス)がArevaの最大の強敵で、最近も競合の結果、契約をひとつ勝ち取ったと紹介されています。でも、Westinghouseはもともとアメリカ企業。東芝が買収したわけですから、日本自前の企業ではない・・・しかし、安全性をはじめ未解決の問題も多い原子力発電。地震の多い風土の中で安全性を高めてきた日本の技術には原子力発電の安全性に貢献できる点も多いのでは、と素人なりに密かに思っているのですが・・・技術立国、頑張れ、日本!

*ネットが繋がっている内に、というわけで、今日はいつもより早い更新です。

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