“Controle continu”・・・フランスの語学学校に通ったことのある人にはうんざり、思い出したくもないコトバかもしれませんが、「コントロール・コンティニュ」、つまり平常点評価のことです。定期的に行なわれる小テストや授業中の態度などで評価されるものですが、この平常点評価を教師にも実施しようという案が、話題になっています。
5日のメトロ紙です。文部大臣に提出された案には、面接、指導の評価、残業時間など多くの評価項目で教師の勤務状況を査定しようという改革が盛り込まれているそうです。
1972年以降、フランスでは教師の評価は二つの方法によって行なわれているそうです。ひとつは、勤務状況など総務的な項目を中心に学校長が評価するもので、これが40点満点。もうひとつが、監査官が4年ないし7年ごとに教師が実際に行なっている授業を視察して、その教師の教え方を評価するもので、これが60点満点。合わせて100点満点の評価になっているそうです。しかし、評価の間隔が開いていることや、そして何よりも評価自体が年功序列だったり(フランスといえども閉じられた狭い社会ではこうした意識があるようです!)、採用時の試験の点数に基づいていたりで、実情に合っていないと不評なのだそうです。しかも、教師の86%が負担が増えていると感じており、また三分の二が教師としての仕事に遣り甲斐がないとこぼしているそうです。因みに、民間企業の管理職では、40%が働き甲斐がないと感じているとか。日本では、どうなのでしょう。
さて、こうした現状から、改革! となるわけですね。
中面で、詳しく紹介しています。もっとも大きな話題が、生徒による教師の評価。いつもは試験の点数を付けられている生徒たちが、逆に教師の指導方法に点数をつけるというもので、第一面の見出し、「教師に平常点評価」となるわけです。この見出しをつけた編集担当者もきっと、コントロール・コンティニュが嫌いだったのでしょうね。即、見出しに使っていますものね。
アメリカではかなり広く行われているという生徒による教師評価、日本でも高知県(小・中学校)、東京都(高校)、埼玉県(高校)などが行なったそうで(今でも継続されているでしょうか)、大学では500以上のところで実施しているとか。教師がかなり権威的という印象のあるフランスで、果たしてうまく機能するでしょうか・・・
どのような評価基準で採点するのか、地域や学校によって規準にばらつきが出るのではないか・・・いろいろな危惧が提示されているようです。この教師評価案について、メトロ紙の記事は、学校が民間企業のようになる、教師はサラリーマンのように評価される仕事になってしまう、と言っています。
では、肝心の教師や生徒たちの反応は・・・高校で聞いたようですが、
・単に点数をつけるだけでは、どこが良くてどこが悪いのか分からないのではないか、採点するより、30分でも良いから教師と生徒、一対一の面談をしてくれたほうが良い(生徒)
・教師を客観的に評価する立場にない(生徒)
・すでに総務的な面から学校長の評価、指導方法などについては監察官からの評価をもらっているので、これ以上の評価はいらない(教師)
・・・どうも戸惑いがあるようですね。
教師評価以外にも、有給の研修などを含めた教師の勤務時間の再構築、教師の質の向上を目指した継続的な研修制度や新規採用者の専門性の高度化(修士号取得者を中心になど)、教師の疎外感を解消するために監察官とのより頻繁な接触・支援・・・いろいろと改革案が盛り込まれているようです。
文部省も、この改革案を一気に成立させてしまおうというわけではなく、この案を基に、教育の現場や教員組合としっかり協議を重ね、2009年秋の新学年から実施していければと言っているようです。
さて、学校では生徒による教師の評価、企業では部下による上司の評価・・・既存の上下関係がなくなり、並列、あるいは個人個人がプロフェッショナルとして評価される時代になっているようです。でも、やっと評価する側になれると思ったら、制度が変わって、部下や生徒に評価されてしまうとは・・・という人もいるかもしれないですね。世代によっては、一生評価される側という不運な人たちも・・・
多くの国でいろいろな改革が行なわれています。時代が大きく変わろうとしているようです。しかし、「それでも変わらないものがある」・・・『屋根の上のヴァイオリン弾き』でテヴィエがこんな台詞を言っていたかと思いますが、口では変わらないものがあると頑固親父は言うものの、心では時代は常に変わっていくものだと分かっている・・・「変化」とどう対面し、受け入れていくのか、それでも変わるべきでないと思うものはどう主張していくのか・・・なかなか答えが見つからない課題ですね。
↓「励みの一票」をお願いします!
すぐ下の文字をクリックすると、ランキングにアクセスし、投票になります。
人気blogランキングへ
5日のメトロ紙です。文部大臣に提出された案には、面接、指導の評価、残業時間など多くの評価項目で教師の勤務状況を査定しようという改革が盛り込まれているそうです。
1972年以降、フランスでは教師の評価は二つの方法によって行なわれているそうです。ひとつは、勤務状況など総務的な項目を中心に学校長が評価するもので、これが40点満点。もうひとつが、監査官が4年ないし7年ごとに教師が実際に行なっている授業を視察して、その教師の教え方を評価するもので、これが60点満点。合わせて100点満点の評価になっているそうです。しかし、評価の間隔が開いていることや、そして何よりも評価自体が年功序列だったり(フランスといえども閉じられた狭い社会ではこうした意識があるようです!)、採用時の試験の点数に基づいていたりで、実情に合っていないと不評なのだそうです。しかも、教師の86%が負担が増えていると感じており、また三分の二が教師としての仕事に遣り甲斐がないとこぼしているそうです。因みに、民間企業の管理職では、40%が働き甲斐がないと感じているとか。日本では、どうなのでしょう。
さて、こうした現状から、改革! となるわけですね。
中面で、詳しく紹介しています。もっとも大きな話題が、生徒による教師の評価。いつもは試験の点数を付けられている生徒たちが、逆に教師の指導方法に点数をつけるというもので、第一面の見出し、「教師に平常点評価」となるわけです。この見出しをつけた編集担当者もきっと、コントロール・コンティニュが嫌いだったのでしょうね。即、見出しに使っていますものね。
アメリカではかなり広く行われているという生徒による教師評価、日本でも高知県(小・中学校)、東京都(高校)、埼玉県(高校)などが行なったそうで(今でも継続されているでしょうか)、大学では500以上のところで実施しているとか。教師がかなり権威的という印象のあるフランスで、果たしてうまく機能するでしょうか・・・
どのような評価基準で採点するのか、地域や学校によって規準にばらつきが出るのではないか・・・いろいろな危惧が提示されているようです。この教師評価案について、メトロ紙の記事は、学校が民間企業のようになる、教師はサラリーマンのように評価される仕事になってしまう、と言っています。
では、肝心の教師や生徒たちの反応は・・・高校で聞いたようですが、
・単に点数をつけるだけでは、どこが良くてどこが悪いのか分からないのではないか、採点するより、30分でも良いから教師と生徒、一対一の面談をしてくれたほうが良い(生徒)
・教師を客観的に評価する立場にない(生徒)
・すでに総務的な面から学校長の評価、指導方法などについては監察官からの評価をもらっているので、これ以上の評価はいらない(教師)
・・・どうも戸惑いがあるようですね。
教師評価以外にも、有給の研修などを含めた教師の勤務時間の再構築、教師の質の向上を目指した継続的な研修制度や新規採用者の専門性の高度化(修士号取得者を中心になど)、教師の疎外感を解消するために監察官とのより頻繁な接触・支援・・・いろいろと改革案が盛り込まれているようです。
文部省も、この改革案を一気に成立させてしまおうというわけではなく、この案を基に、教育の現場や教員組合としっかり協議を重ね、2009年秋の新学年から実施していければと言っているようです。
さて、学校では生徒による教師の評価、企業では部下による上司の評価・・・既存の上下関係がなくなり、並列、あるいは個人個人がプロフェッショナルとして評価される時代になっているようです。でも、やっと評価する側になれると思ったら、制度が変わって、部下や生徒に評価されてしまうとは・・・という人もいるかもしれないですね。世代によっては、一生評価される側という不運な人たちも・・・
多くの国でいろいろな改革が行なわれています。時代が大きく変わろうとしているようです。しかし、「それでも変わらないものがある」・・・『屋根の上のヴァイオリン弾き』でテヴィエがこんな台詞を言っていたかと思いますが、口では変わらないものがあると頑固親父は言うものの、心では時代は常に変わっていくものだと分かっている・・・「変化」とどう対面し、受け入れていくのか、それでも変わるべきでないと思うものはどう主張していくのか・・・なかなか答えが見つからない課題ですね。
↓「励みの一票」をお願いします!
すぐ下の文字をクリックすると、ランキングにアクセスし、投票になります。
人気blogランキングへ