50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

選挙とスポーツ。

2008-02-19 05:08:05 | スポーツ
北京期待の星が柔道のリネール選手だったり、自転車もラグビーもテニスも人気ありますが、フランスでもやはりスポーツといえば、サッカー。以前はほとんど男性ファンばかりだったそうですが、地元開催のワールドカップで優勝して以来女性ファンも増えたとか。そこで、選挙とスポーツの関係を取り上げる際にも、取材の対象はサッカーになります。

では、サッカーと選挙、どんな関係にあるのでしょうか・・・


10-11日付のル・モンド紙、第一面です。来月に統一地方選挙をひかえているフランス。いろいろな話題が取り上げられているのですが、この日のテーマは「選挙とサッカー」。サッカー選手は一般的には政治に関わらないのですが、逆に政治家にとっては関心事、それも選挙に際しては無視できない存在だそうです。このあたりは日本でも同じようなことがありますね、というか、日本のほうが関係が深いかもしれません。何しろ、元選手が議員になったりしていますから。サッカーの釜本氏・友近氏、野球の江本氏・三沢氏、体操の小野氏、スキー・バイアスロンの荻原氏、スケートの橋本氏・・・他にもいらっしゃったかもしれません。因みに、政治家への転身は日本以外でもあるようで、かつての阪神の主砲、ランディ・バース氏は今やオクラホマ州の上院議員だそうです。

さて、サッカー人気を当て込んで、選手を人気取りに使いたい・・・当選するためにはどんな手も使いたくなる選挙。有名なサッカー選手たちを候補者たちが放って置くわけがありません。


同じ日のル・モンド紙、中面ですが、写真は2005年5月10日のル・モンド紙に掲載になったもので、フランスのサッカー・リーグ1部(リーグ1)でリヨンが4連覇を達成した日に、服を着たままの市長を選手たちがプールに投げ込む直前の模様です。右端、顔が一部切れているのが中心選手、ブラジル人のジュニーニョだと思いますが、当の市長はこの写真が大のお気に入りだとか。これほどまでに選手たちに愛されているというのは、サッカーファンに対するいいセールストークになっているのでしょうね。何しろ、おらが街のチームへの愛着はひとしお。リヨンに住む人にとっては、今や国内リーグ6連覇中で、ヨーロッパのチャンピオンズ・リーグでも好成績を収めているチームは憧れであり、人気の的。そのチームや選手といい関係の現市長に対する好感度も上がろうというものですね。

一方、あまり好成績を収めていないチームの街では・・・例えば、パリ。パリ・サン・ジェルマンというチームがありますが、このところあまりパッとしません。降格争いで目立ったりする程度で、毎年期待を裏切り続けています。そのせいか、ドラノエ現市長も年に数回スタジアムへ行く程度だそうです。もちろん、スケジュールの都合でなかなかスタジアムまでは足を運べないが、いつも応援しており、結果は全て承知している、とは言っているようですが。しかし、今回の選挙では、元選手がドラノエ市長の応援団に加わっています。ドラソー氏で一昨年パリ・サン・ジェルマンを退団し、結局そのまま引退した元フランス代表選手。スポーツ・ファンや関係者の票をまとめてくれているのでしょうか。

今回の選挙では、現役の選手たちも選挙応援の前面に出ているようで、そのためこうした記事が書かれるほど目立っているようです。トゥールーズの6選手が市長の選挙応援に。球団(クラブ)の会長が市長と親しく、しかも選挙後のポストを狙っているそうで、会長からの依頼で応援に駆けつけたようです。

また、かつての名選手たちも数多く選挙戦に応援団として加わっています。例えば、かつての強豪で、フランス国内では人気チームのひとつ、サン・テチエンヌ(Saint-Etienne)。国内リーグで何度も優勝を遂げた70年代の中心選手たち。右ウィングの選手が左派・社会党を応援し、左のウィングだった選手が右の国民運動連合(国民議会の与党)の候補を応援している・・・と、右と左にこだわって紹介しています。同じくサン・テチエンヌでは90年代に守備の中心選手だった人が、国民運動連合の市長候補を応援し、候補が当選するとスポーツ担当助役になるとか。

所変わって、アヴィニョンでは、やはりサン・テチエンヌの元選手が国民運動連合の市議候補リストに名を連ねているそうですし、対立する社会党を支援する団体の代表は、先のアフリカ・ネーションズ・カップの開催国で見事3位になったガーナ代表チームの監督をつとめるフランス人のクロード・ル=ロワ氏・・・

まだまだいるようですが、元選手などの応援とともに、選挙になると持ち上がるのが、施設の新築や改修といった話題。つまり、新しいサッカー場をつくろうとか、増改築しようといった約束ですね。今回も、ストラスブールやニース、リール、マルセイユなどで持ち上がっているそうです。今まで何年も予算がないなどといって見送られてきたスタジアム建設が、一気に実現しそうな雰囲気になる。サッカー・ファンの票がほしいですものね。でも、選挙が終わると・・・空手形で終わる公約が多いのも、洋の東西を問わないようです。

崇高な理念が語られているような気もしていたフランスの選挙。でも、やはり地方選挙となると、もっと生活に密着した話題がウェートを占めるようですね。そしてテーマのひとつにスポーツも入っているようです。さて、サッカー・ファンはどのような選択をするのでしょうか。投票は3月9日と16日。でも、まずは、投票へ―――。大きなお世話だったでしょうか・・・

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