竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

涅槃とて四季のあれかし枯蓮

2014-12-08 | 
涅槃とて四季のあれかし枯蓮







曠野の中の小沼に朽ち果ての枯れ朽ちた蓮をみる

水中の底

泥の中から水面まで長い茎をのばして

蓮の花をみせてくれたが

今は見る影もない

蓮は仏様とのご縁が深い

涅槃 浄土にも四季があってほしいと願う

枯れない花にありがたさはないのだと思う
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冬日さす祖は落人の百家かな

2014-12-07 | 
冬日さす祖は落人の百家かな たけし






河畔に小さな集落がある

周囲は田圃と畑でだれにでも懐かしいと感じさせる景をみせる



冬の穏やかな日差しを浴びて集落はみな眠っているように静かである

ここは昔の落ち武者のたどり着いたところだときく



長い年月

祖も安堵の浄土に御寝みか
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来し方を紙魚のいろどり古日記

2014-12-06 | 
来し方を紙魚のいろどり古日記







半世紀以上の前の古日記

日記というよりは落書きのようなメモのような

10代の後半から20代にかけて多感な時代の

ノートがでてきた



ところどころに黄ばんだり焼けたような変色がある

紙魚とはなんという風流な呼び方だろう



青春時代の施行や行動は過ちばかりだが懐かしい
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大声の嘘で繕う寒鴉 

2014-12-05 | 
大声の嘘で繕う寒鴉  たけし






選挙選たけなわである

報道番組などの党首討論もさかんに行われている



真実は少ない言葉で伝わるが

嘘や詭弁は多言を要するといわれる



嘘や詭弁は多言をもってしても

言語明瞭 意味不明 を抜けられない



大声も聞きようによれば悲鳴ともいえる

対話者の発言を閉ざす 最も低劣な話術なのだから



掲句は「大声で嘘を繕う寒鴉」の初案を改めたもの
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霜柱少年のごとたしかめり

2014-12-04 | 
霜柱少年のごとたしかめり







霜は空気中の水分が氷結するもので

霜柱は地中の水分が凍りつくものだそうだ

霜という文字はおなじだが

形もその生い立ちも相違している



霜を踏んで霜柱を踏みしだく

サクサクザクザクとした小気味の良い音がなつかしい

いつか年甲斐もなくその音と

足裏の感触をたのしんである自分がいる
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黄落やひとりたしかに松葉杖

2014-12-03 | 
黄落やひとりたしかに松葉杖   たけし





銀杏の散る季節である

太古から命をつなぐ大いなるいのち

その様は黄落として親しまれる歴史も長い



一面が黄色に染まり

人はだれしも足をゆるめて佇んだり

時にはギンナンの実を目で追ったり

しばし詩人になるようだ



大学病院につづく道の銀杏並木は大変に見事だが

松葉杖の歩行者が付いた

雨に濡れた落ち葉は危ないのにと思って

信号を渡りきるのを見送った
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柊やいよいよ尖る懐手

2014-12-02 | 
柊やいよいよ尖る懐手 たけし






柊はその文字面をみれば間違いなく「冬」の季語だとおもったら

これは季語になっていないのだという

「柊の花」「柊挿す」は季語だそうだ

初学の私には納得できのいが決まりは決まりと

理解しないといけない



掲句は柊の晩秋から冬にかけてのあの葉の尖りかたを

私自身の衰えを甘受けしながらも穏やかでない気持ちに取り合わせた

尖ってもなんの価値も効果もないところがたまらなくもの悲しい
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日だまりを大きくひろげ冬欅

2014-12-01 | 
日だまりを大きくひろげ冬欅   たけし






北関東の小さな街の住民になって40年

町並みは大きく変わったが

古い神社や寺の設えは何も変わらない



歳月の移り変わりも

宮や寺の数百年の営みからは微々たるものだ

神社の欅の大木は40年前となんの変わりようもない



葉をすっかり落として冬日をたくさんもたらしてくれている

その下には老いどちたちの高い声が果てしなく
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