物売も佇たたずむ人も神の春
今回から高浜虚子が自薦の550句を紹介したい
今日は 「五百五十句」高浜虚子編
本人の序文を掲載した
序
今日は 「五百五十句」高浜虚子編
本人の序文を掲載した
序
さきに『ホトトギス』五百号を記念するために改造社から『五百句』という書物を出した。これは私が俳句を作りはじめた明治二十四、五年頃ごろから昭和十年までの中から五百句を選んだものであった。先頃桜井書店から何か私の書物を出版したいとの事であったので、『ホトトギス』が五百五十号になった記念に、その後の私の句の中から五百五十句を選み出してそれを出版して見ようかと思い立った。思い立ってから大分日がたった。この月出ている『ホトトギス』は五百六十一号になっている。それはどうでもいいとして、昭和十一年から昭和十五年まで約六年間の間に五百五十句を選んだのであるから、前の『五百句』の約四十五年の間の句の中から五百句を選んだのに比較して見て少し精粗の別がないでもないが、要するに記念のための出版であって、その他の事は格別厳密に考える必要もないのである。『五百五十句』という書物の名にしたけれども五百七、八十句になったかと思う。それも厳密に考える必要はないのである。
私は本年古稀こきである。自おのずから古稀の記念ともなったわけである。
昭和十八年五月十九日
鎌倉草庵にて
高浜虚子
註 改造社発行拙著『五百句』の百六十一頁「天の川」の句は取消す。
昭和十一年一月
かもの中の一つの鴨を見てゐたり
一月二日 武蔵大沢浄光寺。旭川きょくせん歓迎会。
枯れ果てしものの中なる藤袴ふじばかま
一月四日 百花園偶会。水竹居、あふひ、花蓑、実花。
物売も佇たたずむ人も神の春
一月五日 武蔵野探勝会。目黒不動、大国家。
枯荻かれおぎに添ひ立てば我幽かすかなり
一月八日 謡俳句会。百花園。
渋引きしごと喉のど強し寒稽古かんげいこ
一月十八日 谷中やなか本行寺ほんぎょうじ。播磨屋はりまや一門、水竹居、たけし、立子、秀好。
かもの中の一つの鴨を見てゐたり
一月二日 武蔵大沢浄光寺。旭川きょくせん歓迎会。
枯れ果てしものの中なる藤袴ふじばかま
一月四日 百花園偶会。水竹居、あふひ、花蓑、実花。
物売も佇たたずむ人も神の春
一月五日 武蔵野探勝会。目黒不動、大国家。
枯荻かれおぎに添ひ立てば我幽かすかなり
一月八日 謡俳句会。百花園。
渋引きしごと喉のど強し寒稽古かんげいこ
一月十八日 谷中やなか本行寺ほんぎょうじ。播磨屋はりまや一門、水竹居、たけし、立子、秀好。
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