竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

梨花村の直ぐ上にあり雪の山  虚子

2017-02-16 | 虚子鑑賞
高浜虚子 「五百五十句」第4回 昭和十一年四月

梨花村の直ぐ上にあり雪の山





宝石の大塊のごと春の雲
四月十九日 箱根丸にて楠窓、友次郎と協議の末、米国経由帰朝のことを断念。午後、松岡夫妻、楠窓、町田一等機関士、章子、友次郎等とサンフリート村に花畑見物。

舟橋を渡れば梨花りかのコブレンツ

両岸の梨花にラインの渡し舟

梨花村の直ぐ上にあり雪の山
四月二十一日 ライン河。

木々の芽や素十すじゅう住みけん家はどこ
四月二十一日 シユロツス・ホテル、バルコニーよりハイデルベルヒの町を望む。

望楼ぼうろうある山の上まで耕され
四月二十二日 午後一時五分発、車中雑詠選に没頭。夜、伯林ベルリン著。三菱商事藤室益三夫妻に迎へられ大和旅館に入る。沿道触目。

夜話やわ遂ついに句会となりぬリラの花
四月二十四日 藤室夫人東道、日本人の学校参観、講演。「あけぼの」にて昼食。それよりオリムピツク敷地一見。カー・デー・ベー百貨店に立寄り帰宿。大毎社員加藤三之雄来訪。夜、三菱商事支店長渡辺寿郎邸にて晩餐会。井上代理大使夫妻、孫田日本学会主事、藤室夫妻等と小句会。

春風や柱像屋根を支ささへたる
四月二十六日 渡辺夫人、藤室夫妻東道、ポツダムに赴く。恰あたかも日曜日。ポツダム宮殿。

箸はしで食ふ花の弁当来て見よや
四月二十六日 更に桜の名所ヴエルダーに車を駆る。藤室夫人携ふるところの日本弁当を食ふ。群衆怪しみ見る。

国境の駅の両替遅日ちじつかな
四月二十七日 藤室夫妻と再び日本人学校に赴き、日本人会にて昼食。午後一時五十分伊藤夫妻、迪子、バーミング、ビユルガ姉妹、京極、篠原、高田、寺井、昌谷、世良、仙石に送られツオ駅発、独蘭国境に向ふ。

倫敦ロンドンの春草を踏む我が草履ぞうり
四月二十八日 朝七時前ハーウツチ港著。それより汽車にてリバプール・スツリート・ステーシヨン著。上ノ畑楠窓、八田一朗、松本覚人、槙原覚、河西満薫、有吉ありよし義弥、高橋長春、常盤の主人岩崎盛太郎の出迎を受く。それより覚人君嚮導きょうどうの下に楠窓、一朗両君と倫敦市中一見、デンマーク街の常盤本店にて休息。タフネルパークロードの常盤別館に入る。駒井権之助、朝日新聞社古垣鉄郎氏来訪。晩餐を待つ間小句会。

名を書くや春の野茶屋の記名帳
四月三十日 覚人東道、沙翁さおうの誕生地ストラツトフオードに向ふ。楠窓、一朗、友次郎、章子同行。

春の寺パイプオルガン鳴り渡る
四月三十日 シエクスピア菩提寺ぼだいじ。

売家を買はんかと思ふ春の旅
四月三十日 三時頃シエクスピア菩提寺より帰途に就く。

船旅を思い切り楽しんでいる様子が伺える
旅先での邂逅の描写も踊っている
最後の掲句にこの旅の感動が著しい(丈士)

コメント    この記事についてブログを書く
« 稲田ありどあり日本に似たる... | トップ | スコールの波窪くぼまして進... »

コメントを投稿

虚子鑑賞」カテゴリの最新記事