【ネタバレあります】
「人類vsコンピューター」ものってSFではかなり手垢のついたジャンルといえますが、クリストファー・ノーランっていうことで新しいものが見られることを期待して行きました。
圧倒的回線速度の上昇や、Googleを始めとした分散仮想化コンピューティングをベースとし、既に完全に社会基盤となってしまった“現在のインターネット”。AIにアップロードした人の脳がこのネットにつながれたら……。一瞬にして世界中に分散しすべてを掌握、天文学的な計算速度を手に入れることにより、あらゆることを実現可能に。。。
これ、今のテクノロジーの延長線上にある“未来への警鐘もの”としてよく出来ていると感じました。テクノロジーの進化は人類に本当に幸福をもたらすのか、その自覚と道徳がないと、人々はテクノロジーに手痛いしっぺ返しをくらうことになる。それを通常のSFによくある現在を超越したテクノロジーや、デストピアの上に描くのでなく、あくまで現在とつながっている地続き感から来る恐怖と期待から描いています。「ナノマシン」もやり過ぎ感はありながらも、今作のキービジュアルとして斬新なものを観せてもらえた喜びがありました。
ただ…、なんかスケールが小さい。世界規模でなんにも起こらなくて、「世界の危機だ!」「ジョニデ暴走!ヤベェ」「ドーンだ、バーンだ」感の不足っていうか、SF映画的派手さに欠けるというか…。
そう、SFとしてはね…。
ところがこの話、実はSFの殻をかぶったラブストーリーだったのですよ。
だから世界の危機も起こらず、ただあの小さな田舎町で話は完結。「彼女の夢」をジョニデが魅せていただけだったのでした。彼は彼女と小さなユートピアを作りたかっただけかもしれない。なるほど、なるほど、だからか、と様々散りばめられた伏線的なものが頭をちらつきました。しかし、いかんせん 「大きなハデなものを期待」→「小さなものに落ち着く」 からか消化不良感が抜けませんです。
ボクが期待する方向を間違えていたのかもしれませんが、世間様はどうなんでしょうか。鑑賞後、反芻していくと確かにジワジワ面白く感じてきました。リアルとデジタルを超えて夫婦の愛を描く斬新でセンチメンタルな泣けるお話。新しい技術のブレークスルーがもたらす新たな未来と人類の希望。映像はさすがノーラン組でスタイリッシュ。もしかして編集で生まれ変わるかも。ディレクターズカットなど期待です。
P.S.
「ボクのノーラン、コレジャナイ」と鑑賞後調べてみれば監督でなく製作でした。監督・脚本は「ダークナイト」「インセプション」でカメラやってた人とのことで、ノーランスピリッツ継承者と思われます。が、テロの容認とか、「Y2K」のセリフの寒さとか、脚本だけはノーランが書くのが良かったかもです。
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話変わりますが
http://blog.goo.ne.jp/takakuss/e/61298b4c5a4dee098bb92cf6167e686f?st=0#comment-formにもコメントしました。
企画、キャラデザ、キャスティング、起用、母親への意見です。
返答してくださるとうれしいです。
コメントありがとうございます。
たぶん興行的にも失敗ですし、ジョニデが人気だったのではなく、ジョニデが演じるキャラが人気だったのだとバレてしまった本作ですが、ボクは廻り回ってこの映画結構面白く感じてきました。
ラブストーリーであることを念頭において、振り返ってみるといろいろ感じるところがあって。例えば、いくらボクが書いたコードだからといって、“ボクら夫婦の次にしか”頭の良くなく博士の作ったウイルスに、地球一の頭脳を手に入れたジョニデがヤラれるわけないのに、ヤラれたってのは、彼女に拒否られての自殺だったんだろう、とか。。
なんだかいいところがイッパイあった気がしてます。
見終わったあとに納得感がなければ、それはそれ、失敗なんですけどね。そこへ誘うための描写不足が大きかったのではないかと。それが逆目に出てしまいモーガン・フリーマンの無駄遣いとかそっちの方に気が行ってしまうという。。
も一度見てみたい気になっています。
えと、あと「おまえうまそうだな」の方もありがとうございます。今からお返事かいときます。