明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【エスケープ・フロム・トゥモロー(2014)】

2014年08月22日 | 映画



噂になっていた“黒ディズニー”映画を観に行ってみた。

世界中でもっとも幸せな場所ディズニーワールドを舞台に、家族旅行にやってきた父親が不気味な幻想に悩まされていくというスーリー。

そしてこの映画の売り文句は「ディズニーに無断で撮影しますた!( ̄ー ̄)/ニヤリッ」というもの。しかもこのポスタービジュアルときたもんだ(↑参照)。

これをもって「見なければなるまい」と思うボクは、世の中を"ひねくれて"見ている側の人間なのだろうか。世に数多いるディズニー大好きっ子がこの映画のウワサを聞いたらどういう反応をするのだろうか。

まあなんにせよ個人的にはイロイロ期待値は上がる。ミッキーがあんな事やこんなことに…(○´艸`)ムフフ。インディペンデント作品である一抹の不安はありながら、ホクホクを足を運んだのです。


さて見終わった後、劇場に流れる微妙な空気…。観客は老若男女入り混じった多彩な顔ぶれでしたが、一様に皆がポカーン顔です。一言で語れば「不条理系」映画。なにがなんだか~。

とりあえず皆が期待するようなもの(ディズニーを貶めたり辱めたり、はたまた強く風刺したり)は提示されません。あくまでも舞台をディズニーワールドに置いただけで、オッサンに幻想なのか妄想なのか不可解な事態が起こっていき、それが暴走し、ついには…。というストーリーでした。これなら確かにディズニー側からはクレームが無いわけだ。


「期待を上げといて、すっかり落とされる」、なんて映画は掃いて捨てるほど観て来ています。そういう作品は終わった瞬間は「ムッキーッ!金返せ!」な感じはあるのですが、こちとらもうそんなことには慣れています。こういう時は数日寝かせてみるのです。さすれば頭が勝手に深読み&脳内補完して楽しい映画に仕立て上げてくれたりします。ワケワカメな映画だ!と切って捨てるには惜しい雰囲気もありますし。





さて、以下から私的ネタバレ。観てからどうぞ。





妄想が暴走の先、最後にジムは死にます。作品内で詳細は提示されませんがおそらく自殺です。

冒頭で彼は会社から電話一本で理不尽なクビを宣告されました。家族と夢の国に旅行に来ている最終日に…。その上、嫁も子供も言うことをきかない。ジムはもう被害者意識イッパイだったはず。映像上はジムがそれほど切羽詰まってイラついていないように見えるのは、それがもう現実逃避=妄想へと進んでしまっているから。

彼は『エスケープ・フロム・トゥモロー』という題名にある通り、「会社も首になってしまい夢の国から帰らなければいけない現実=明日」から逃避し続けたのでしょう。。。

だから最後のカットはハッピーエンド。彼が死ぬ間際に観た映像なのでしょうね。


…と、いう感じで観てみると面白いと思いました。全部理解が及ぶ人はいないと思いますが、見返すと面白さマシマシかも。ツタヤでレンタルしたらもう一回観たい。

ディズニーワールド自体は「厳しい現実」と対比とさせるには最も適した場所だったということです。そういう意味では賞賛と捉えてもいい。

なんかこういうのも歳を経て理解できるようになってきました。人生や仕事で頭グチャグチャになってるときってここまでではなくてもジムと似たようなもんです。被害者意識いっぱい。この映画も若い頃だと「ワケワカメ」。も少し歳取って「馬鹿なオッサン」。今だと笑いながら一歩引いて共感もできる。昔嫌ったりした映画をもっかい見てみるといろんなものが見えるのだろうなとか考えます。


ディズニー風刺が見られなかったのは残念でしたが、最近分かりやすい映画ばかり観過ぎていたので、たまにはこんな映画も面白いなと思いました。しかし普通のディズニー好きな人にはとてもオススメできませんぜ。


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