明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【イン・ザ・ヒーロー (2014)】

2014年10月27日 | 映画




「スーツアクター」って言葉、知ってます?

齢、四十を越えても仮面ライダーを見続けている私のような輩には聞き慣れた単語ですが、まだまだ一般向けの言葉ではないような気がします。まあ“中の人”の事です。

しかし“ゆるキャラ”全盛の時代ですが、その中の人をスーツアクターとは言わないですよね。

スーツアクターとは

“日本の特撮映画・テレビにおいて着ぐるみを着用してアクションやスタントなどの演技をする俳優”

のこと。(でもこの定義だと、ふなっしーの中の人(北○さん)はスーツアクターになるかも。)


とりあえずこのような映画界(邦画界)の縁の下の力持ちにスポットを当てた作品というだけで、個人的には観る価値ありでした。

スーツアクターや日本のアクション業界の裏事情を描きながら、アクション一筋で真っ直ぐな男と、生意気な新人の成長がうまく絡んでいきます。

出てくる役者、物語もすべて単純でわかりやすく、古き良き昭和の香り漂います。

アクターたちの仕事や夢への誇りや姿勢、アイドル上がりの生意気俳優が徐々に仲間と心を通わせていく過程、またそれぞれの家族との関係。生きることに不器用な人間を優しい目で応援する、昔ながらの良きムービーです。単純に熱いものがこみ上げてきます。

たぶん福士蒼汰くん(仮面ライダーフォーゼ)を売り出したい研音が、唐沢寿明さん(東映アクションクラブ・ライダーマン)という同事務所のトップ俳優と組ませたいと思った時、「ああ二人ともライダー系じゃん」ってできた企画だろうなあと裏事情が透けて見えたり、そもそも水嶋ヒロくん(仮面ライダーカブト)の企画だったのでは?とか邪推したりするところもあります。

しかしスーツアクターというマイナーで地味な題材を採用し、研音の2大俳優を担いで、あの“東映”が作品を作り上げるというこの愛あるチャレンジに賛美を送りたい。

日本の伝統芸能ここにあり、ということが確認できただけでも十分に嬉しいのですが、それ以上に「努力、想いは実る」という愚直なまでにストレートな話に胸が熱くなりました。





以下、この世界が好きなだけに蛇足です。。。

実はそうそうたる本物のスーツアクターの方々が最後の大立ち回りの忍者として出演されているのをエンドロールで知りました。それだけのリスペクトがありながら、作品中、日本でアクションを目指す人が“落ちぶれて”スーツアクターになっている、みたいに見えてしまうところがあり、そこがひとつ残念ポイントかなと。確かに作品の主題がそこにあるので描き方は難しいところです。




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