明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
それと苦手な文章の練習用。

【仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル(2011) と最終回】

2011年08月28日 | 映画



夏休み最後の土曜日なだけに子どもで一杯。翌日の日曜にTVが最終回なだけにどうしてもここは見ておきたいところ。危うく席なくなるところだったがギリギリセーフ。

ライダー映画はハチャメチャものとシッカリストーリーものがあるけど、これは結構ハチャメチャ側。それはそれで楽しい。

800年前の錬金術士が出てくるとのことで、メダルの秘密がもっと明かされると期待するもそれもほとんどなし。「500万円とちょんまげ」とか意味ワカンネw。大変なことが起こってという舞台設定のためだけの錬金術士。よくこんなハチャメチャ脚本書けるなとある意味感心。


さらに暴れん坊将軍とコラボとのことで巷でも話題だった本作。うちの嫁もCMみて「なんじゃこりゃあ!?」と興味は持っててました。

で、見どころはまさにそこ。

登場からしてあのBGM。一緒に観てる親しかわからんだろこの面白さはw。オーズと二人で剣を構えるシーンは超萌えます。さすがの本物の殺陣に背筋の伸びる思いながら、闘ってるのは中世の騎士ヤミーw。こんな画、今後そうそう観られるものじゃない。キワモノ作品として将来的にも語り継がれることでしょう。

よく出てくれたな。松平健さん。東映特撮Youtubeで制作発表での健さんの面白い様子が観られます。
 →「私も、こんなことになるとは思っていませんでした。」


葵の御紋のメダルでの変身を期待したのだけど、それはなく残念。
『タカ、トクガワ、バッタ』のタトバとかw


こんなハチャメチャながらも、押さえるところはシッカリ押さえる小林脚本。
映司くんのYESを選んだ意味。さすが欲望に目覚めた火野映司、ちょっと震えました。そしてTVの方で命に目覚めたアンクのツンデレ感が本作にも強く現れており、3人で手をつなぐシーンはもうなんとも、。。悶えますw

その上でちゃんと劇場映画としてのサービス精神も満載です。なるほどガタキリバからのコンボ勢ぞろいか、すげぇ。グリード達がメダル渡すシーンもいい感じでした。

しっかりストーリーの方は冬のMOVIE大戦に任せるとしてw、これはこれでとても楽しめるお祭り映画でした。




==== さて、それと本日放送の最終回。

なんともストレートで美しき終焉。よけいなヒネリのなさに喝采。

欲望メダルの塊で"モノ"でしかなかったアンクは仲間と培った"命"に満足して去っていく。

人を助けるために"どこまでも届く腕と力"を求めた映司は、仲間たちの腕に力強く抱きとめられて終わる。

なんでも自分で背負い込む映司の姿が自分とオーバラップし続けてきた本作。背負ってきたものを降ろす場所ができて本当によかった。そしてここ何年もいろいろあったボクもやっと降ろし方を見つけ始めましたよ。なんだか映司くんと一年間一緒に成長できた気がしてます。

あと個人的にヤラれたのは実はキヨちゃん人形。ドクター真木の想いに涙。美しき終末を。

『龍騎』に『電王』に『シンケンジャー』。小林靖子さんの本はやっぱいい。

なんにせよ一年間ありがとう、オーズ。毎週末が楽しかったです。
フォーズは心配ですが、まぁ毎年のことですねw



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【エクソシズム (2010)】

2011年08月19日 | 映画



最近は映画界で微妙にブームなのか、エクソシスト系の映画が結構作られている様子。こないだの『ザ・ライト』もそうだし、期待の『ラスト・エクソシズム』も10月に控える。別にウィリアム・フリードキン生誕何周年とかもなさげなのでこのブームはなぜだかよく分からないのだけど、個人的には結構うれしい悲鳴。たぶんボクらのような『エクソシスト』で育った世代がちょうど映画製作する側になって、あのオリジナルを懐かしんで作ってみたいのだと思う。

というようにボクのホラー/オカルト好きは『ゾンビ』と『エクソシスト』から多大な影響を受けているので、この系統の映画はとりあえず観てみてオリジナルとの差異を咀嚼してみるのがほぼ習慣化していたりする。その上でこの『エクソシズム』は、あのスペインのアトラクションゾンビ映画『REC』のスタッフが制作してたりもしてて、ボクの中では咀嚼決定路線の作品。


期待も高まったところでいざ観賞。ところがかなりツマラナイ。いつまでもなんにも起こらないし、悪魔払いが始まっても緊迫感ゼロ。「今日はここまで」ってなんだよっ。そんなエクソシズムありかっ!

と思いきや終盤に結構なドンデンネタばらしがある。「神の代弁人である神父 vs 悪魔」 という構図をガッツリ裏切り、なかなかに面白くお約束をひっくり返してくれる。これまでのエクソシスト映画をあざ笑うような新しい展開。エクソシスト系映画を観ていれば観ているほど騙される確率高し。オカルト映画ではあるけどサスペンスと言ってもいい。

前回『ザ・ライト』でも書いたように、エクソシスト系の映画には神様持ち上げ系でキリスト教(カトリック)の信仰がないと結構厳しいものもあるのだけど(たとえばキアヌの『コンスタンティン』とか)、本作はその逆を行くステキな展開。結局人間は愚かな生き物なのでした、というオチはホラーの王道に立ち返っており素晴らしい。

すべてが終わったあともう一捻りあってもよかったと思うが、まあこのプロット考えついただけでもめっけもん。ある意味オチ一発映画の部類でもあるけど、このやられた感は『スケルトンキー』並に面白かったかも。ただの亜流じゃあない小粒でもピリリとする作品。

怖いシーンはほぼ皆無。それとパッケージの写真は過去の回想時にちょっとしか出てこないブラフなのでご注意。予告編とかもネタバレ寸前なので興味ある人は観ないで観賞すべき。


フリオ・フェルナンデスなんだしfilmaxなんだから『REC』のアンヘラたんがゲスト出演とかしてるともっとステキだったのですがw


評価:★★★☆☆

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【コリン LOVE OF THE DEAD(2008)】

2011年08月16日 | 映画



ゾンビ映画大好きっ子としては、この『コリン』は必修科目。

約45ポンドで作られたという触れ込みでほとんどがfacebookなどの呼びかけで集まったボランティアということらしい。最近流行りの超低予算映画の部類。あちこちで賞取っちゃったりしたんで結構話題に。


こういう金無し手法で作られる作品は、だいたいアイデア一発勝負であったりハッタリでごまかしたりというのが多い中、本作は意外にストーリーも丁寧に作られており感心。お金のかかってなさは画面から見てとれるもカットや演出に工夫が凝らされておりそこそこ楽しめる。

で、「そこそこ」ってのがポイント。

予告編やらポスターやら、コリンくんが「シャーッ」ってやってる顔の映像が思いのほかよく出来ているので、過度な期待を持ってしまうと肩透かされる可能性大。前半のテンポの悪さや、わざとなのか旧式ハンディカメラの限界なのか暗くてワケワカメな映像やらでかなりの眠さを演出。危うく「停止」ボタンをチラ見するも、「ああ、これは超低予算で"そこそこ"映画なのだ!」と気持ちを切り替えて観ることで、本作の面白さも垣間見えるようになってきた。


本作が面白いのはやはりゾンビとなったコリンの目線で話が進む点。通常ゾンビ映画においてゾンビというのは極限状態を演出するただの記号やら道具であって、それにとり囲まれる人間側ドラマがメインになるのだけど、本作ではコリンを中心とし彼を取り巻く環境を描くことで目新しさを感じさせている。

ゾンビになったばかりのコリンが、他のゾンビのように人を襲ったりはしなかったり(でも食べるw)、音楽に興味を持ったりと、まだ人間の知性が微妙に残っているのかいないのかのさじ加減が大変面白い。街を徘徊する前半も当初は観ていて退屈だったのだけど「ゾンビって結局食い物(人間)探してずっとこんな状態で彷徨ってるだけなのだろうな」と思うと、それも恐ろしさと哀愁を感じさせるにはよい演出だと思ったりもする。

そういえば窓の外が明けてくるまでずっとドアノブをガチャガチャしているという表現で、もう人間の理性がなくなったのだということを魅せるカットは秀逸。低予算がゆえに直接的な表現を使わずに工夫された演出も散見され、ほほぅと思うカットも多数。

そんな微妙に憎めないコリンを観賞軸に据えることで、ゾンビ映画の定石である「人間の狂気」がより際立って見える。ゾンビに対しても火事場泥棒する不良、監禁拷問趣味のオヤジ、ゾンビ討伐隊の残酷さ、とゾンビの方がまともに見えるほどにこれでもかと人間の暗部を見せつける。このへんは監督のゾンビ映画愛を強く感じるところ。またボランティアにしては皆良い演技で、噛まれた人間の処分のシーンでは当初退屈だったはずの映画に魅入ってしまっている自分がいたりする。


で、あれこれあって最後にコリンが見る回想シーンは副題「LOVE OF THE DEAD」の真意であり、すべてが明かされる大事な場面のはず。なのに恋人がなんか頭悪くてゾンビをバカにしてて結局噛まれちゃってってところが感情移入するには少しイタダケナイ感じ。もっとコッテリした悲哀ストーリーにしてくれてもいいのに。終わりが良くなくて後味悪し。ここまで健闘してきたのに少し残念。オチとしてはすばらしく良いのだけど。


全体的にみて丁寧に作られたゾンビ愛あふれる映画。低予算でここまでできれば大金星。
ただし「安かろう、そこそこかろう」をお忘れなく。。。
ゾンビファンならネタとして観ておくのは必須。



■『コリン』予告編(Youtube)

評価:★★☆☆☆

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【おまえうまそうだな (2010)】

2011年08月15日 | 映画



草食恐竜に育てられた肉食恐竜の話。
子ども向けアニメであるが、決して子どもダマしではない。


「どうしよう、お肉がおいしいよう(T_T)」

これは、主人公ハートが自分が肉食竜であることに気がついてしまったときのセリフ。

親兄弟を食べてしまう側の生き物であるというその残酷な宿命を受け入れハートは母親の元を離れ一人生きていく。そんな彼がひょんなことから草食恐竜の卵の孵化に立ちあってしまいその父へと成長していくという神のイタズラ。

本作は子ども作品ながらも、そこに描かれているのは紛れも無い現実ばかり。食うか食われるかの弱肉強食の容赦ない世界。社会や立場の違いによる対立。個人の意志以上に尊重される群れの意志。

しかしその出自や立場の違いを越えられるものとして一本貫かれて描かれるもの、それは「相手を思いやる心」。

相反する立場であってもそれぞれが一生懸命に生きている結果が今の現実を作り出し、それは矛盾なくこの世界を成立させている。そこには単純に矛先を向けられる憎むべきワルモノも存在せず、魔法や奇跡が起きてご都合主義に物事が解決したりもしない。完全なる現実を見せつけながらも同時にそこで生きていくための真の道筋を示している。


そんな中もちろん親子愛モノである。泣き所も満載。
「ボク、かけっこ負けなかったよね」
「そんなこと知ってるよ。もう子どもじゃないんだ。」
涙腺決壊、はっとさせられるようなステキなセリフ達もあちこちに盛り込まれる。

作画やキャラデザが子どもぽいと大人が観るには敬遠されがちかもしれない。しかし捕食時の残酷な描写もこの作画だからこそサラリと見せられているのだと、のちのち関心させられたりもする。


ひさしぶりに良質なアニメを観た。本当に子どもに見せたい映画とはこういう映画だと思う。
『マイマイ新子と千年の魔法』とともに殿堂入り決定。



■『おまえうまそうだな』予告編(Youtube)

評価:★★★★★

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