明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
それと苦手な文章の練習用。

【エクスペンダブルズ2(2012)】

2012年10月27日 | 映画



ご存知、「筋肉アクション俳優の夢よもう一度映画」2作目です。

一作目では、ありそでなかったこの手の映画に「スタローンよくぞやってくれた感」から賞賛に値する作品ではあったのですが、いかんせん小粒感は否めないという感想を持ちました。スター勢揃いというにはちと不足、無用な人体破壊描写の挿入、アクションも頑張ってるけど歳が見え隠れ、魅力の薄いラスボスと、80年台アクションを見続けてきた期待値の高かったオッサン(私)には少々残念さの残る作品ではありました。

さてこの2作目『エクスペンダブル2』ですが、いやぁよく練ってきたなぁというのがまず第一の感想。もちろん1作目の成功から十分な資金もついたのでしょう。しかしそれ以上に前回の反省点をよく研究し、余分なものを排除、必要なものを大幅に追加と「新たな80年台アクションを現在につくり上げる」ことに大きく成功しています。

まずは豪華スター勢ぞろいというにふさわしいメンバー。何はともあれヴァンダムを敵ボスに持ってきた時点で前回の不満点がおおかた解消されています。憎むべき魅力的な悪役像を熱演し、未だキレのある後ろ回し蹴りでスタローンと闘ってくれます。チャック・ノリスの登場に感激し、シュワちゃん、ブルースも今回はカメオでなくキチンとアクションしてます。しかしご年配方には無理に疲れの見えるような肉体戦をさせることはなく、ちゃんと要所要所で押さえに入るという形で往年のスターは貫禄で魅せるという演出がニクイです。

また今回はストーリーが明確で良いです。前回はあまり魅力のない(失礼!)女性の救出と自分達の命も狙われているので闘うというちょっと残念な設定だったのが、今回は「仲間を殺された!悪いあいつをぶっ倒す!」という至極シンプルに設定されています。やっぱ男が闘う理由はコレでしょう。単純明快かっちょいい。あと細かい点ですが、今回はスプラッタ的な描写が極力排除されていた点も評価高いです。前回ではわざわざ体が吹っ飛ぶシーンなどを直接的に見せたりし派手さを演出していたのですが、実はソレは逆効果で主人公達が行なっている行為に残虐性が足されてしまうだけ。それよりも悪いキャラをキチンとした悪として描き、主人公達がそれをバシバシ殺していっても爽快感を感じれるように作るべきなのです。今回はその点を十分わきまえた痛快アクションとして完璧な出来だったと言えます。まあそれであってもこれだけ虫けらのように人が死んでいく映画ってのは20歳ぐらいまでの若い人たちはあまり観たことがないかもしれないので、どんな殺戮映画やねんと見えてしまうかもしれませんけどw

三作目の企画が進んでいますし超期待です。次はニコラス・ケイジとスティーブン・セガールですかね。よりお祭り感を期待します。さらに女性版エクスペンダブルズも作られるようで、私的には最強の肩幅女優ジェシカ・ビールを推します!


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【ゴッド・ブレス・アメリカ(2011)】

2012年10月17日 | 映画



『キック・アス』『スーパー!』に続く独善的思い込み野郎たちによる悪人殺戮映画ですw。三匹目のどじょうだろうと思って観はじめましたが、アプローチの仕方が微妙に違い別の目線で楽しめる作品となっていました。

前二作はヒーローに憧れる主人公達の正義の乱用をオチョくり風刺するという、いわゆるヒーロー物の飛躍型であるのに対し、本作はふつうのオッサンと少女がアメリカという国の壊れ具合を弾劾していくという社会派ムービー(のフリ)の飛躍型となっています。双方とも「社会の悪いバカどもをぶっ殺せ!」という痛快劇を狙っているという点では変わりませんが、『ゴッド・ブレス・アメリカ』では、笑いはありながらもストイックめなロードムービーという雰囲気となっており、『キック・アス』のようなカッコ良さや『スーパー!』のような脱力ギャグを目的としたものとは一線を画しています。

さて本作はアメリカのモラルの低下に一石を投じる社会派ムービーのフリをしていますが、実はただのオッサンの妄想自慰映画です。

低俗TV番組を喜ぶ同僚への説教と絶望、その会社を不本意なセクハラ扱いでクビに、さらに不治の病の宣告と、オッサンのストレスの鬱屈と社会への無力感はMAXに。その後自殺を計りますがTVに映るワガママセレブ女子を観て「死ぬべきはオレじゃない」と気づきます。死ぬ前に普段から気に入らないバカ隣人のスポーツカーを盗みその女子を成敗してみると、カワイイ女子高生が現われオッサンの行動を真正面から大肯定。「あいつもこいつも殺っちゃえ!」という"子供な"彼女に「ダメだ、死ぬべき奴だけを殺るんだ」と大人のオッサンはこれをたしなめます。くまちゃんヌイグルミを的(まと)に彼女に銃の撃ち方を教えながら優越感と親真似に浸り、しかも「私魅力ないかな…」と迫ってくるその彼女にオッサンは「某スターみたいなペドフェリア共と一緒にすんじゃねぇよ」と手を出しません。その後も(オッサン基準の)死ぬべき奴らを次々ぶっ殺し、最後は女子高生とともにボニー&クライドでジ・エンドへと、究極の自己陶酔にひた走ります。

なんて薄っぺらで小汚い自己憐憫にあふれた映画なんでしょうか。そこにあるのは「不幸な中年のオレの事を分かって!オレは正しい、世の中バカばっかり、みんな死んじゃえ。」まんまこれです。しかもそこに激しく自己正当化できるカワイイ理解者まで現れるという、ここまで直接的にオッサンの哀愁とエゴを描ききった映画はなかなかないです。『レオン』に通じるものがあります。スバラスイです。

前出の二作品と比較して観ると大変おもしろい仕上がりになっています。ちょうどこういうバランスになっています。


自己憐憫社会派気取り
   ↑
『ゴッド・ブレス・アメリカ』
『スーパー!』
『キック・アス』
   ↓
ヒーロー自己満

ボクは三作品のうちでは『ヒーロー!』が一番好みです。やっぱ悪趣味映画が好きなのですよ。エレン・ペイジがあんな状態ってスゴすぎw。もちろんヒットガールにも萌えましたけどね。


それにしてもキリスト原理主義者もモルモン教徒も、はては「glee」観てる人まで敵にまわして、この映画は成功したのでしょうか。。。ボクもglee観てるだけに殺られそうです。


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【トロール・ハンター(2010)】

2012年10月10日 | 映画



【ネタバレあり】

ノルウェー作品とのことでまたもや北欧映画。最近元気ですなぁ。まあボクが観てるのは『レイキャヴィク・ホエールウォッチング・マサカー』とか『処刑山デッド卍スノウ』とか『レア・エクスポーツ』とか変なのばっかりですけどね。

さて本作は例によってフェイクドキュメンタリー物です。これ系ってもういい加減市場から飽きられてもよさそうなものですが一応ジャンルとしては定着しましたね。『パラノーマル・アクティビティ』のショボさ加減も記憶に新しいのに、また今『グレイブ・エンカウンターズ』とか超ウケてますし、みんな懲りませんね。個人的にも『食人族』を子供の頃に観て以来やっぱ好きなんですよこういうの。最近の乱発されてる作品群を結構観てる中でクズ作品はやはり多いですが、たまに良い感じのモノ(個人的には『フォース・カインド』とか)引くとまた見ちゃう。そんな中でコレは結構当たりの部類に入りました。

トロールと言うのはムーミンのモデルにもなってるノルウェーの北欧神話に出てくる妖精らしいです。本作では全然妖精って感じでなく醜悪で下衆な生き物として描かれています。その下衆な生き物が実在し、それを政府からの依頼で秘密裏に駆除するオジサンを学生達が取材したってのが全体のプロットです。

トロール保安機関(TSS)という組織が存在したり、トロール駆除に使う様々な装備の現実的な手作り感とか、TSSにオジサンが駆除報告書を提出してたりと、クソ真面目に細かい設定が作ってあるところがフェイク好きにはたまりません。トロールとはオジサンひとりで闘うのですが、オジサン自体がもうこの仕事に嫌気がさしていることとトロールがそれほど強い訳ではないため、結構なヨッコラセ感が観ていてリアルでかなり面白いです。ポンコツスーツに身を包んだオジサンの場面は手に汗握りますよ!そして大爆笑!

トロール自体も単なるチラ見せにせず、かなりじっくり見せてくれるところがこれまでの映画との違いです。またその生態についてもクダラナイぐらいきちんとオジサンが説明をしてくれますので大満足w。最後の巨大トロールの登場は圧巻ですが、パッケージに載っちゃってるのはいかがなものか。そういう点からも単なる怪獣チラ見せ逃げ惑い映画『クローバーフィールド』より断然面白いです。フェイクドキュメントというか怪獣映画として鑑賞するとより楽しめるのではないかと思います。

また「トロールはキリスト教徒を嗅ぎ分ける」という設定は、たまたま町山智浩さんの『未公開映画を観るTV』で『 Until The Light Takes Us 』を観てましたので理由がわかり笑えました。ノルウェーの土着宗教で崇められていたトロールはキリスト教大嫌いなんですね~。こんなところもクダラナくていいですw

真面目すぎて笑える素晴らしいさじ加減の作品でした。


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【ファイナル・デッドブリッジ(2011)】

2012年10月07日 | 映画



【ネタバレあり】


死に様博覧会映画『ファイナル・ディスティネーション』の5作目です。どうも今回で完結の様子。永遠のマンネリ作品ではありますが、そうは言ってもニューライン・シネマのドル箱作品としてここまで続いたんだから偉いもんですな。まあアメリカにおけるポップコーンホラーとしては完璧な作品と思います。

このシリーズ知らない方に一応説明しますと、「大きな事故の直前に主人公が予知夢を見てその事故を仲間とともに回避。しかし運命は変えられず死が追ってきて皆死亡。」という話の繰り返しです。そして見所は「皆がどんな死に方をするか」にかかっており非常に悪趣味な映画と言えるのですが、なんというかその死に方へのコダワリというか凝り方がステキで根強いファンを持った作品になっています。

今回の『5』は、冒頭の橋崩壊の場面はシリーズ一凄惨なシーンで迫力満点でした。ここだけ見れば劇場3Dで観るべきだった。。と軽く後悔もします。ただやっぱりマンネリから脱するのは無理でしたね。もう死ぬバリエーションってあんまり無いみたい。というか製作者側は頑張ってると思うのですよ。鍼とかレーシックとかイヤ~な感じなシチュエーションを持ってきたりして工夫は見られるのだけど、やっぱ見ている方が慣れすぎちゃっててw。それもあってか、今回はいろんなフェイクギミックをチラ見させて、これで死ぬのかあれで死ぬのかと思わせといて、ああこっちかっ!っていうフェイントなヤラレ方が多かったです。しかしそのせいでこれまでのシリーズにあった、これがこうなってああ繋がってこう死ぬ!みたいな「ピタゴラ感」が減っててそこも残念に感じました。NHKの『ピタゴラスイッチ』って永遠のマンネリだけどいつまでも見てられるじゃないですか。死に方シチュエーションを増やすのも大事だけどこのピタゴラ感も大事なんですよ。また、人体破壊描写がCGに頼りすぎててより怖さがなくなってしまっています。CGでリアルさを追求すると恐怖感が薄れるんですよね。

それと『4』でも感じましたが、完全に新しいショッキングシーンを見せたいがための映画と化してしまっているのは少しさみしいです。やっぱり本作がシリーズ化となった要因は脚本の秀逸さにあったはずなのです。死の法則から逃れるためジタバタ抗い必死に生き残ろうとするが、でも死は訪れてしまうという登場人物達の一人ひとりの生き様が本当にハラハラして観られる映画だったですよ。それも『3』まで、いや『2』まででしたかね。そのへんちょっとおざなり杉だったかもしれません。

このシリーズは変わらない事に意義があるだとは思いますし、一つの歴史を作ったという意味では偉大です。が、やはりもう限界ですね。今回で終焉とするのは正しい判断と思います。『SAW』みたくなる前にやめときましょう。

トニー・"キャンディマン"・トッドの正体も明かされましたし、ラストはシリーズ見続けてきた人へのご褒美で上手にまとめたと思います。エンドクレジットは本当に「死に様博覧会」となっていて面白かったです。これまで楽しませていただきました、おつかれさまでした。



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【リミットレス(2011)】

2012年10月03日 | 映画




【ネタバレ注意】


これ、何気に観たのですが面白いです。

落ちぶれた作家がふいに手に入れたクスリで、なんでもできちゃう天才になっちゃう話。まあようするにドーピングで頭良くなるっていう話なのでかなり不謹慎でアブナイ設定なのだけど、こういう憧れってありますよね、特に自身がスランプだったりのときは。

クスリ飲んだときの意識の拡張や脳のリミッタがはずれた時の映像表現がすばらしくて、これ劇場でみてたら自分もトリップできてたかも~って思いました。実際のおクスリもこんな風になるのならみんな止められんだろなとそっち方面への興味がソソられます。(;´д`)ゞ ヤベェ

新作本を数日で書き上げ、スペイン語や中国語もすぐに習得、株でバリバリ儲けて、女にもモテモテと超うらやますい。脳のすべての記憶に瞬時にアクセスできるようになるということで、もともと賢いヤツの方がより効果が出るってところもなかなか面白い設定です。過去に観たブルース・リーの映画のシーンからケンカまで強くなってるところは、カンフー能力をダウンロードするネオ(『マトリックス』)みたいでした。

ただし後半はピンチに陥ってからの展開があんまりヒネリがなく失速ぎみ。作品冒頭ビルの縁に立つシーンはあきらかに脳のリミッタがはずれて意識が拡張している状態(某クボヅカくんの「I can fly!」)に思えたのに、あんなショボいシーンと繋げるってのは途中で脚本家が変わっちゃったの!?と疑問を呈したくなります。またチンピラくんも薬飲んでる(打ってる)割りに弱かったし。

ところでこういうお話は「そんなオイしい話はないのだよ」といわゆる“戒め”的なオチが用意されているのが普通ですが、本作における反省もなく罰も受けないラストは「それでいいんかいっ!」と逆に笑えましたw。まあ頭良くなってるんだからあれもありですね。最後にもっと多くのクスリ利用者がいることをチラつかせてくれるとより想像が膨らませることができてよかったと思いました。

にしてもヨゴレから議員、チャラ男までブラッドリークーパーはどんな役も似合いますね。


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